協力隊経験者が語る出前講座のコツとは…?

2023年2月24日

皆さんは、講師としてお話をする際、どのようなことを心掛けてしていますか?
JICAには、「国際協力出前講座」というプログラムがあります。「国際協力出前講座」とは、開発途上国の実情や、日本との関係、国際協力の必要性について考える機会に、JICA海外協力隊経験者や開発途上国からの研修員を講師として紹介するプログラムです。
先日、出前講座の講師経験が少ない方々を対象としたセミナーが開催されました。JICA長野デスク、木島史暁(きじまふみあき)さんからのデモンストレーションで、皆さんはどのようなアイディアやヒントを得たのでしょうか…?
今回は、長崎からJICA東京のインターンに参加している、猪原からご報告します!

講座で見つけた自己紹介のヒント

木島さんの自己紹介
協力隊時代の写真と日本の有名な俳人、正岡子規との比較写真を使っています!

今回、出前講座のデモンストレーションを務めたJICA長野デスクの木島さんは、2018年から2020年まで、JICA海外協力隊としてウガンダに派遣されていました。
講座では、まず自己紹介から入るのですが、さっそく、受講者を引き付けるポイントがありました。例えば、出身地を伝える際、地名だけではなく「長野県山ノ内町といえば志賀高原が有名ですよね」というように、出身地の有名なものを一緒に伝えると、多くの人が反応してくれるそうです。また、木島さんは自己紹介の写真にも一工夫。今の姿とのギャップがあればあるほど、掴みとして効果的になるとのこと。
   
自己紹介が終わると、いよいよ本題です。木島さんの講義には、受講者の関心を引き付ける3つのヒントが隠されています。

受講者の関心を引き付けるコツとは…?

①遠い世界の話を「SDGs」で身近なものにする例

   
①遠い世界の話を「SDGs」で身近なものに
講座は、「世界の現状」→「SDGsについて」→「協力隊事業について」→「体験談(SDGsも絡めて)」→「まとめ」という流れで行われています。協力隊派遣国についてだけではなく、世界の現状について話したり、途上国のトイレの写真とSDGsの6つ目アイコンを一緒に表示すことで、「海外」の話を身近に感じてもらえるような工夫をしているのです。

②受講者への問いかけ
「196という数字、これは何の数字でしょう?」
「そのうちの143、これは何の数でしょう?」
木島さんの講義では受講者へのこのような問いかけが行われています。(答えはこの記事の最後、「報告者より…」に記載しておきますね!)。答えを示す際には、地図や写真、絵などを見せると、可視化されてより分かりやすくなります。特に写真は、協力隊時代などに自分で撮った写真を使う事で、講座を受けた人しか見ることのできない、特別なものにもなります。
    
③現地の状況を実感してもらう工夫
写真を見せながら、派遣国と日本とのつながりを話したり、現地での生活をそのまま話すことが受講者の関心をひきつけるコツです。遠い国にあるものが日本製品だったり、一見過酷そうな現地での生活が本当は「楽しい」ということ等を伝えることで、受講者に驚きを与え、関心を引くことができます。また、現地の就学率や5歳未満児の死亡率等を伝える際、受講者に一度立ち上がってもらい、その割合ずつ着席してもらうと、実際の数値を体感することができるというアイディアも披露されました。

セミナーを終えて…

参加者からは、「まだ2回ほどしか出前講座をしたことはないが、木島さんのお話を聞いて、自分の出前講座に自信が持てた。」、「今後、自分が出前講座で講師をする際に、今日聞いたことを実践してみたい。」との声がありました。
私も、今後出前講座のような機会があった際には、木島さんから教えていただいたアイディア、コツを取り入れて実践してみたいと思いました。
   
報告者より…
皆様、はじめまして。JICA東京市民参加協力第二課インターン生の猪原彩美と申します。現在、長崎大学の2年生で、開発経済学のゼミに所属しています。JICAとNGOの連携や国際協力に興味があり、JICA東京では、2023年2~3月の約1か月間、実習をさせていただきます。
今回は、JICAの取り組みの一つである「国際協力出前講座」の、講師の皆様を対象としたセミナーについてご紹介しました。いかがだったでしょうか?(ちなみに、途中にあった196・143の数は、世界の国の数(196カ国)と、そのうちの途上国の数(143カ国)です!)
これからも、JICA東京の取り組みや、国際協力について、皆様に興味・関心を持っていただけるよう、インターンの視点も取り入れながら、わかりやすくお伝えしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

市民参加協力第二課 猪原彩美(インターン)