研修での学びと実践!~教員のためのSDGs研修 東京報告会~

「先生って教える人だと思っていたら、教えるために沢山学ぶ人だった!」そんな衝撃を受けた報告会をご紹介します。

2023年3月3日

研修での学びを生徒に還元!    

去る2月19日、「教員のためのSDGs研修」に東京から参加した10名の先生方が、研修後の授業実践について発表をしてくださいました。「教員のためのSDGs研修」とは、開発教育・国際理解教育に関心を持つ教員が、JICA事業実施団体の活動現場視察や意見交換などを行い、その研修での学びを学校教育の場で役立てていただくためのプログラムです。(詳細は、関連リンクをご覧ください。)そして、この東京報告会はなんと3年ぶりの対面開催でした!

地歴公民科先生の発表の様子
高校生も参加していました!

今回発表をした10名の先生は、学校や指導学年、担当教科も異なります。
そのような中でも、多くの先生に共通していたのが「世界共通の課題が児童・生徒にとって『ジブンゴト』になる工夫がある」ということです。これを読んでいる皆さんにもすぐにまねしやすいツールをご紹介します。
まずは貿易ゲーム(注1)。数名の先生が実施されたようですが、ゲーム後の感想には「誰かから搾取したり、環境を壊したりして、知らないうちに自分が加害者になっているなんて考えてもみなかった。テストや受験のためじゃなく、学ぶ意味ってこれじゃん」というものもあったそうです。
そして、JICA東京が作成した「モノはどこからきているの?」カードゲーム(「モノ(カード)」にマッチする「原材料(カード)」を選び、二つをひっくり返して当たっていれば原産国の国旗が一致するというカードゲーム)を活用した授業もありました。こちらも日本で普段食べたり、使っているモノが実は途上国に由来するモノなのだと気づき、日本とのつながりを学ぶことができ、海外をより身近に感じることができるゲームです。これに近いことが、JICA教材「国際理解教育実践資料集」のワークシートにあるので、是非活用ください!

小学校の先生の発表の様子
全教科を担当する先生だからこそできた、教科横断的な授業の成果について発表をしています!

他にも、実際に学校やクラスに外国籍の子が増えている中で、異文化を理解して受け入れるために、体育・音楽・図工・道徳などの教科横断的な学習をした先生がいます。児童が各国のダンスに合うオリジナル民族衣装を作成して、運動会で踊るということを通して、人種や国籍を超えて互いを尊重することができ、教科横断的な学習ならではの相乗効果が生まれたそうです。

研修期間中、多文化共生、地方創生、難民問題、震災教育など多くのことを学び、その学びを自分だけのものではなく生徒に還元することで、生徒の新しい一面に気付いた先生も多くいました。

(*1)「貿易ゲーム」…「貿易」を中心に、世界経済の動きを擬似体験するシミュレーションゲーム。詳細は関連リンクからご確認ください。

参加者から先生にラブレター?!

ある先生が受け取ったラブレター。
発表を聞いた参加者からの温かいメッセージが沢山あります!

今回発表をした先生方には、発表を聞きに来た他の先生や参加者の皆さんから、付箋にコメントを書いた「ラブレター」がたくさん渡されました。今回は、ある先生に届いたものを一部紹介します。

☆「教育というものに熱を持たれている先生だと思いました。生徒は一人一人違うことを理解し、生徒とコミュニケーションをとられていて、素晴らしいと思いました。私も○○先生のような人になりたいと思いました。」
☆「対話をしながら、声掛けをしながら生徒に寄り添った授業がとてもよかったです。先生の『熱い想い』がバシバシと伝わってきました。」

研修中、先生方は何度もインプットとアウトプットを繰り返し、自分が考えた事や思いを共有し続けていました。メッセージからもわかるように、本当に皆さん熱心で、日々生徒と共に学び続ける姿に、私も感銘を受けました。

そして、実は今回の報告会で発表をしたのは、先生だけではありません。JICA東京市民参加協力第一課のインターン生が、教科書分析を基にした授業実践(小学校2校)の報告を行いました。授業実践はまだ他にも何校か予定しているとのことです!

市民参加協力第一課インターンシップ生発表の様子

   
報告者より
今回は、「教員のためのSDGs研修 東京報告会」についてお伝えしました。
研修で沢山の学びを得た先生からの授業は、児童・生徒が地域の課題を「ジブンゴト」として捉えて、解決に向けて自主的に取り組む方法を考えるだけではありません。多くの価値観に耳を傾け、互いに認め、尊重することの大切さを学ぶことができるものばかりで、こうした教育を受け育っていく子どもたちの未来はとても明るいなと感じることができた一日でした。
そして、コロナ禍でもともと予定されていた海外研修が中止になっても国内研修に参加して日々学び続け、教育現場で奮闘する先生方が本当に素敵でした。
JICAの「教師海外研修」に関心のある方は是非、これまでに掲載された記事をご覧いただき、来年度以降のプログラムへの参加をご検討ください!

報告者:猪原彩美(市民参加協力第二課 インターン)