ザンビアのスラムにおけるHIV孤児とNPO団体「礎(いしずえ)の石孤児院」 の話【JICA基金】

今回は「世界の人々のためのJICA基金」を活用し、ザンビアでスラムにおけるHIV孤児と向き合う、NPO団体「礎(いしずえ)の石孤児院」の活動をご紹介します。

2023年3月15日

ザンビア共和国ルサカのストリートチルドレン 

開発途上国の1つであるザンビア共和国。首都ルサカには約1万4千人のストリートチルドレンがいると言われています。

育児放棄や家族に見捨てられて帰る家がない、家庭が貧しく食べるために日中は路上で働く子ども、家族はいるが家に居場所がない等様々な理由でストリートに子どもたちが出てきます。路上では、警察当局の取り締まりなどの大人からの暴力・差別、性的搾取、感染症、貧しさから空腹を紛らわせるため安価なドラッグを使用する生活など、子どもたちにとって常に危険と隣り合わせの環境です。

スラムにおけるHIV孤児の支援を行うNPO団体「礎(いしずえ)の石孤児院」のはじまりの背景にも悲しい差別がありました。

「ある日100人近くのストリートチルドレンが、選挙が近い街の景観を綺麗にするという理由で逮捕、勾留されました。普段炊き出しに来ている子供たちだったので、警察に抗議に行きました。するとあなたが身元引き受けをされるなら良いと言われ、その日のうちに全員、連れ帰りました。そこからシェルター運営が始まりました。
ストリートから抜け出したい子供や、助けが必要な子供たちを受け取ります。シェルターで大事にしていることは、3食しっかり与えるということと、ドラッグをやめるということと、暴力や性的なことなどのストリートの文化から離れることです。もちろん、ストリートの子どもたちはすぐにそれを守ることはできません、何度もルールを破り、何度も逃げだします。しかし、本当に謝って戻ってくる場合は何度でも受け入れます。彼らの最後のセーフティネットになるためです。」(礎の石孤児院HPより)
中にはストリートの風習から抜け出せず、またストリートへ戻って行ってしまう子どもたちもいます。
礎(いしずえ)の石孤児院では以前はストリートチルドレンの支援を中心に行っていましたが、現在は子ども達がストリートに出る前の支援が重要と考え、スラムにおけるHIV孤児の学校運営と給食支援を行っています。

礎の石孤児院の活動と子どもたちの言葉 

大好きな給食の時間と笑顔の子どもたち

礎の石孤児院では、子どもたちがストリートに出る大きな要因の2つ、食べ物と教育に着目し、シェルターを運営、教育支援、給食、技能訓練、トラウマカウンセリングを行い、子ども達が路上生活から抜け出し、社会の一員として前向きに人生を歩めるように支援しています。

「現在1年生から7年生の子ども達が約70人在籍しています。その子どもたちの全員が食べ物もなく、教育も受けることのできなかった子どもたちです。食べ物を探しにストリートにいつ出てもおかしくない子どもたちでした。今彼らは制服を着て元気に勉強しています。給食ではお腹いっぱいご飯を食べて、ドラッグを吸う必要もありません。」(礎の石孤児院HPより)

みんなで一緒に勉強に取り組む子どもたち

新しい教科書が届きました!

これまでに約10人の子どもが卒業していきました。
卒業した子どもたちからは、「まさか自分が8年生(中等教育)になれるとは思わなかった。」「母がとても喜んで、泣きながら親戚に電話していたのが嬉しかった。」と、将来に向かって前向きな気持ちを聞くことができました。

最後に、礎の石孤児院 現地責任者 青木ムタレ桜子氏に活動のやりがいと今後の活動について聞きました。
青木ムタレ桜子氏「私たちの目標は、子どもとその家族、そしてコミュニティが、私たちの学校を通して成長し、発展していくことです。多くの家庭が様々な問題を抱えているので、その対応と解決には時間がかかり、一歩進んでニ歩下がるような時もありますが、そのような状況でも子どもが元気に学校に通い続けているのを見ることが、やりがいとなっています。
現在は、中高等学校建設のための資金づくりに挑戦しています。また、世界的な企業がCSR ※1の一環で、オンラインで英会話教室を開いて下さっていて、子どもたちがとても楽しみながら英語も学んでいます。」

※1CSR・・・ Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)の略称。

途上国のチカラになる

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(※下記関連リンクより)

報告者:市民参加協力第二課 前田真鈴(インターン)