とある大学生の日々~②「共創」編~

JICA東京インターンシップ生の活動日記第2回は、JICAが掲げる「共創」の理念について書いていこうと思います。

2023年3月27日

—「共創」とは—

【画像】「共創」という言葉を初めて見る方もいると思います。まずは「共創」の言葉の意味について考えていきます。ネットで調べたところ次のように定義づけられていました。「異なる立場や業種の人・団体が協力して、新たな商品・サービスや価値観などをつくり出すこと。」(共創(きょうそう)の意味・使い方をわかりやすく解説 - goo国語辞書)つまり1つのグループだけではなく、色々なバックグラウンドを持つグループ同士が協力して新たな何かを作り出すことを言います。これを国際協力に置き換えて考えてみます。この場合、日本と対象国(日本が支援をする相手国)が協力して新たな価値を創造することと定義づけられます。それでは「協力」とは具体的にどういうことを示すのか、「新たな価値」とはどのようなことかについて考えていきます。

—日本と対象国の協力とは—

まず日本の開発途上国への支援に関する基本方針を定めた「開発協力大綱」と呼ばれるものがあります。これは日本政府が定めたものでJICAもこの方針に従い業務を遂行しています。そこには次のような記述があります。「~国際社会が直面する課題の解決のために開発途上国と協働する対等なパートナーとしての役割を~」。つまり日本と開発途上国は対等な立場であるということが明確に示されています。支援をする側の立場が上になることは起きうることですが、JICAの行う開発支援では対象国を対等なパートナーとして捉えています。この姿勢はJICA事業のいたるところに表れています。例えばJICAが行う研修員受入事業においては、研修事業をKnowledge Co-Creation Program、研修員のことをTraineeではなくParticipantと表記しています。ここには共に研修を作り上げる姿勢が表れています。これはまさに対象国をパートナーとして対等に捉えていることの表れであると感じました。

—対等な立場での支援から生み出されること—

フィリピン国向け「高品質な気象観測・予報・警報情報能力強化プロジェクト」の国別研修における報告会

インターンシップを通して感じた、対等な立場での支援から生まれた新たな価値の事例を紹介します。先日、フィリピン国向け技術協力プロジェクト「高品質な気象観測・予報・警報情報能力強化プロジェクト」の国別研修における報告会に参加しました。この研修はフィリピンから来日している気象関係者が日本の最新技術を学ぶプログラムです。その報告会での日本の講師の方のお話がとても印象的でした。そのお話の中では「今回の研修で日本がフィリピンから学ぶことも多いと感じた。例えば台風などはフィリピンでも非常に多く発生しており、その技術を日本でも活かすことが出来る。今度は日本からフィリピンに人を派遣したい。」と仰っていました。他にも例えば津波や地震への備えなどについては、フィリピンの知見を日本の防災に活かすことができると思います。このように地理的類似性や地域間連携の観点も踏まえながら、その分野に関する知見の共有や最先端技術を学ぶことで、日本にもさらなる発展をもたらします。

JICAは開発途上国支援を通して得た多くの知見があります。この知見を日本に還元していくこと、それも「共創」です。例えば学校教育との連携や民間企業との連携などがあります。また地方において研修事業を行うことで、地方創生やその地域に活力をもたらすなど新たな価値を生み出すことが出来ます。

対象国を友人と捉えて共に歩み、対象国の発展はもちろん、日本にも新たな価値がもたらされる。こんなにも「共創」という言葉は素敵なことを表しているのです。

JICA東京 人間開発・計画調整課 インターンシップ生 田中竜太