~ラオス国 教員養成校の先生を対象に手話講座を実施~

バイリンガルろう教育メソッドとは!?「手話を学び、インクルーシブ教育の実践に貢献したい。」教員養成校の指導教官の熱い想い。

2022年12月9日

ラオス語の手話講座とは!?

特定非営利活動法人アジアの障害者活動を支援する会(以下、ADDP)は、現在、ラオスにてJICA草の根技術協力事業「知的・発達障害を持つ子供の社会自立を目指したインクルーシブ教育・就労支援の実践」プロジェクトを実施中です。このプロジェクトでは、教員養成校をカウンターパートとして、インクルーシブ教育指導のできる教員養成校の指導教官の育成を1つの目標としています。インクルーシブ教育指導とは、知的障害や発達障害、聴覚障害、視覚障害等を持つ生徒が、健常者の生徒に交じって一緒に教育を受けることができる教授法のことです。

11月14日、ADDPは、首都ビエンチャンのドンカムサー教員養成校の指導教官を対象に手話講座を実施しました。この手話講座は、教員養成校の指導教官がインクルーシブ教育の教授法を学ぶためのトレーニングの一環として実施されました。ADDPの職員でもある二人の聴覚障害者が、手話の基礎を教員養成校の指導教官に教えました。参加した指導教官は皆、手話での会話を通して熱心に学んでいました。講師役を務めたADDPの職員二人は手話教授法や手話分析法・言語法を600時間学んだ手話専門家です。

ラオス語の語順は日本語とは異なり、例えば「私は、食べる、マンゴーを」となりますが、手話の語順では「私は、マンゴーを食べます」となります。このように、ラオス語と手話言語は、語順などの点において異なっており、聴覚障害者は、ラオス語と手話言語の2つの言語を覚える必要があります。この講座では、ただ手話のやり方を覚えるだけではなく、聴覚障害者への理解や共感も得ることができるよう工夫されていました。

指導教官のみなさんは手話を学ぶ第一歩を踏み出しました。手話をマスターした指導教官から勉強を学ぶことを心より楽しみにしている多くの聴覚障害の生徒がいると聞いています。ラオスのろう教育の発展はまだ始まったばかりですが、バイリンガルろう教育メソッド(ラオス語の読み書きをしっかり学び、授業はラオス手話で行われるスタイル)を用いて、学力をつけ大学進学も目指しています。このビジョンに指導教官のみなさんも大いに共鳴しています。

ADDPが進めるこのインクルーシブ教育が、パイロット校であるドンカムサー教員養成校とサワンナケート県教員養成校、さらに全国の教員養成校へと広がることで、インクルーシブ教育を実践することのできる指導教官が数多く養成されます。そして近い将来、障害が理由でこれまで小・中学校で教育を受けることができなかった子どもたちも学校で教育を受けることができるようになることが期待されています。
    

【画像】手話の意味を当てる5択クイズ!皆さん、積極的に参加されています。

【画像】二人一組で手話の内容を確認している様子。息もピッタリです!

【画像】ADDPの職員でもある二人の聴覚障害者が、手話の基礎を教員養成校の指導教官に教えています。