アジ研サトカン先生によるバングラデシュ出張報告会を開催!

2023年1月26日

現地女性への聞き取り調査

2022年11月、ジェトロ・アジア経済研究所の佐藤寛先生(サトカン先生)にバングラデシュで実施中の草の根技術協力事業2案件の現地調査を行っていただきました。その後開催した出張報告会では、サトカン先生の切り口で、草の根レベルで知見を持つNGOや開発コンサルタントの力を更に生かしたODA事業のあり方・可能性についての議論に発展していきました。

サトカン先生、草の根案件を調査する。

アイ・シー・ネット、カウンターパートNGOとのフィードバックセッション

JICA東京では、バングラデシュで実施中の草の根技術協力事業(パートナー型)の2つの事業(「ハオール地域における災害に強い気候変動適応型農業の実践と普及」、「ミャンマー避難民ホストコミュニティの生計向上支援事業」)の実施状況を確認するため、2022年11月に現地調査を実施しました。その際、外部有識者として佐藤寛先生にも現地訪問をいただき、帰国後の2023年1月13日に出張報告会を開催しました。報告会は、佐藤先生と上記2事業の実施を担われているシェア・ザ・プラネット様、アイ・シー・ネット様をお迎えし、これに JICAバングラデシュ事務所及びJICA東京が加わる形で開催されました。

草の根技術協力事業の更なる有効活用とは?

出張報告兼意見交換会の様子(上段中央が佐藤先生)

当日の流れとして、2団体からの案件概要説明とJICA東京からの出張報告の後、佐藤先生から議論のポイントとして「日本あるいはJICA事業における草の根技術協力事業の有効性と活用方法の検討」について説明いただき、意見交換を行いました。
そのなかで、佐藤先生が「要請型の委託事業か提案事業いずれかだけでなく、実力のある市民団体や開発コンサルタント会社など、草の根技術協力事業のベテラン団体が、使いやすく実力が発揮できるスキームが必要ではないか」と問題提起されたことに対し、実施団体からは「技術協力プロジェクトの数パーセントをNGOに委託してみて、委託せず現地の行政にて実施した場合との違いを見極め、『いいとこ取り』をしていくのが良いのではないか」とのコメントが出されるなど、ODA事業において豊富な経験を有するNGO等の知見のより一層の活用の可能性・重要性が議論されました。
そのほかにも、佐藤先生より、「草の根技術協力事業を通じた現場に入り込んだ活動経験が日本の開発業界の若手を育成する機会にもなっている」点に触れ、「現地での事業成果の発現・達成以外にも、そうしたサブ的な側面も認識しておく必要がある」との発言がありました。

オール・ジャパンの目標を達成するアクターとして 

シェア・ザ・プラネットによる気候変動適応型農業の報告

意見交換を踏まえ、JICAバングラデシュ事務所の三浦次長からは、「バングラデシュではJICAの全スキームが使えることが利点としてあることから、シェア・ザ・プラネットさんなどとも積極的に対話を持ち、気候変動適応型というイシューについてスキーム横断的に取り組んでいきたい」との発言がありました。
 最後に東京センター・田中所長からは「事業開始から時間が経過し、草の根技術協力事業の果たすべき役割を再考する時期になってきている。JICAでは、グローバル・アジェンダという分野課題別の大きな目標を定め、多様なアクターと連携しながらオール・ジャパンとしてその目標を達成する取り組みを始めており、この大きな目標に向かって様々なアクターが色々な提案をしていけることが望ましい。その観点からも、今回のような議論を今後も行っていきたい」と述べました。

(主催:JICA東京センター・市民参加協力第二課)