【10月15日は世界手洗いの日】世界に広がれ!JICA「健康と命のための手洗い運動」:この1年間で約3億人にその大切さが伝わりました

2021年10月15日

【画像】

学校で友達を一緒に手洗いをするパレスチナの子どもたち

毎年10月15日は「世界手洗いの日」。石けんを使った正しい手洗いを世界中に広めていくため、2008年の国際衛生年を機に制定されました。世界を見渡すと、給水施設の設備が整わず、手洗いの習慣がないことなどから、いまだに約8億人の子どもたちが影響を受け、下痢や感染症により命を落とすこともあるとされます。

新型コロナウイルスの感染が収まらないなか、積極的に手洗いの大切さを広めていこうと、JICAは世界中で「健康と命のための手洗い運動」を推進しています。より多くの人々にメッセージが伝わるよう、昨年、正しい手洗いを紹介した漫画を発表。これまで34言語に翻訳されました。さらに、学校現場での手洗い指導、保健施設での手洗い指導、民間企業と連携した市民向けの手洗い啓発活動、運輸交通のプロジェクトでの手洗い啓発など、さまざまな分野での取り組みを進めています。その結果、この1年間で約3億人に手洗いの大切が伝わりました。

そして、大事なのはこれからです。手洗いが日々の暮らしの習慣となるよう、さらに工夫やアイデアを絞り、世界中に正しい手洗いを広めていきます。

【画像】

正しい手洗いを紹介した漫画(井上きみどりさん作)

漫画は34言語に翻訳、アニメーションも登場!

正しい手洗いを紹介した漫画(井上きみどり作)は、昨年10月にJICAウェブサイトで紹介するやいなや、各国のJICA事務所のスタッフらが自ら翻訳を手掛けて、現地語版を制作しました。今やその数は34言語に上ります。

漫画をもとにしたアニメーションも生まれました。南米ボリビアでは、メジャーなテレビ局のメインニュース番組で、毎日放映され、ボリビア人と日本人は比較的容姿が似ていることもあり大人気!手洗いの大切さがじわじわと、そして多くの人に伝わっていきました。モンゴルでは、目が見えない子どもたちにもわかるよう音声を工夫、さらに手話通訳もつけたアニメーションが制作され、モンゴル教育科学省や関係機関のホームページに掲載にも掲載。それぞれの国で、正しい手洗いを伝える重要なツールとなっています。

【画像】

【画像】

手洗いの大切さを伝える方法は、それぞれの暮らしの中に

日本では当たり前の「手洗い」が、衛生に対する考え方の違いなどから途上国では、まだまだ習慣化されていません。そのため、JICAが途上国のさまざまな課題を解決するために展開するプロジェクトの現場でも、手洗いの大切さを伝えています。

インドでは、新型コロナ感染予防の促進も図ろうと、手洗いを含む衛生啓発活動「アッチー・アーダット(ヒンディー語で良い習慣という意味)」キャンペーンを実施中です。活動に賛同する13の民間企業・日本の自治体と協調し、衛生製品の提供をはじめ、正しい手洗いの仕方、マスクの付け方、爪の切り方等を、さまざまなツールを使ってインド全土に広めています。正しい手洗いを紹介した漫画は、なんとインドのヤクルトレディがヤクルト飲料の販売の際に、住民に手渡しで配布しています。

【画像】

(左)水道などの手洗い設備のない家庭でも感染予防に有効な手洗いが実施できるLIXIL製「SATO Tap」を使用して、手を洗う子どもたち
(右)正しい手洗いを紹介した漫画をヤクルトレディが飲料と一緒に手渡し

手洗いの方法を子どもに教えるエジプトの保育士

就学前の子どもたちに向け、正しい手洗い方法を伝える動きが進んでいるのはエジプトです。遊びを通じて子どもたちの自主性や創造性を高める「遊びを通じた学び」の取り組みのなかで、手洗いの方法を塗り絵にして、子どもたちが楽しみながら学べるよう工夫。保育士たちは、家庭でも手洗いが習慣になるよう、働きかけています。

また、ケニアでは、日本ハビタット協会と連携して、各家庭へのトイレ建設や手洗い場の設置を進めています。誰でもすぐに設置できる手洗い装置のTippy Tap の設置方法も指導し、徐々に住民の手洗いへの意識が高まっています。

【画像】

Tippy Tapは、水を貯めた容器やペットボトルを吊るして簡単に手洗いができる装置

「JICA健康と命のための手洗い運動」事務局は、今後について次のように語ります。

「取り組み開始から1年が経過し、様々な広がりを見せた手洗い運動。今後の課題は、手洗い行動を習慣化、定着化させることです。そのためには、幼少期からの継続的な啓発が効果的であり、母子保健分野での妊産婦に対する啓発や幼児に対するしつけ、基礎教育分野でのカリキュラムへの組み込みなどが重要です。引き続きJICAの様々な分野での協力に手洗いの促進を組み込み、効果的だった好事例を他国にも紹介するなど、感染症に強い社会の基盤づくりへ貢献したいと考えています」