第7回 予算執行管理強化に関する諮問委員会(2018年10月4日開催)議事録

国際協力機構

日時

2018年10月4日(木)14:30~16:20

場所

独立行政法人 国際協力機構(JICA)本部(東京都千代田区)会議室

出席者

委員:敬称略

細溝清史、上山隆大、梶川融、座間敏如、園田雅宏、児玉尚剛(冨山和彦委員代理)

JICA

北岡理事長、加藤(宏)理事、長谷川理事、本清理事 他

議事要旨

諮問委員会の主な指摘事項に関する対応策案について、JICAから説明を行った後、その内容につき審議を行った。今後、事務局は本日出された意見をもとに次回委員会までに業務改善案を完成させることとし、次回委員会では提言案の検討を行うこととした。各委員から示された主な意見は以下のとおり。

戦略的な資源配分

  • 資源配分に係る方針を描く際には、大きな流れとして達成したい目標を指標(KPI)で示すとともに、評価と結びつけるべき。日本ではアウトカムを計算せずに方針が設定されることが多いが、諸外国では方針にアウトカムとしてKPI的なものをできるだけ入れて計画・評価している。KPIの設定は○×評価をつけるためではなく、内部の議論を惹起すること自体に意義がある。
  • 要望調査に際しては日本政府の大きな方針の下、相手国が求めるアウトカムに対してどのような技術協力が最適か、要請内容をブレークダウンして方針と個別案件の両面から検討すべき。例えば研究開発の場合、どんな研究開発が日本の研究開発の進展に意味があり、その進展が世界への貢献に拡がるかという観点から優先分野を判断する。

理事会・理事の役割

  • 技術協力プロジェクトはかなり案件数が多いが、管理が手薄にならないよう、理事会や新設の技術協力事業委員会は、全体をみて案件採択を考えなければならない。
  • 理事会で議論を尽くすことが難しい場合は、理事会の前に議論の場を別途設ける方法もある。
  • 理事会は個別プロジェクトではなく、プログラム全体の方針を考えるべき。
  • 理事は予算要求の段階から財務的な観点に関与し、所掌する業務目標を実現するために必要な予算規模を把握すべき。財務的な強さが組織の強さにつながる。

成果の集計単位

  • 中期目標で掲げられている評価指標と個別プロジェクトのKPIに少し乖離があるのではないか。組織全体と個別プロジェクトの中間で括ったKPIを設定し、地域あるいは課題のストーリーでパフォーマンスを評価すべき。

プロジェクト管理のPDCA

  • 課題部が一元的に案件実施の責任を負う体制とした場合、どこかに牽制機能を持たせるべきではないか。地域部は予算計画だけでなく、プロジェクトのCheck、Actionにも関与すべき。
  • プロジェクト終了時には、プロジェクトの成果だけではなく、予算執行管理の観点からも評価すべき。

対応策の実施に向けた留意点

  • 業務改善策が実際に実施可能な内容かを十分に確認すべき。業務マニュアルを作成する際は、業務を実施のレベルに落とし込み、1)書式のフォーマット、2)スイムレーン(部門間の役割分担、作業プロセスの流れ、各段階の所要時間を図示して業務が回るかを確認)、3)各段階の判断基準、をそれぞれ整理すべき。
  • モニタリング運用上の仕組みとして、案件担当者が情報更新・入力を正確かつ速やかに行うことと、悪い情報こそ速やかに報告するようなインセンティブ設計が必要。
  • 様々な提言を受けて改善策をまとめた結果、合成の誤謬が生じる可能性がある。実際の運用上の課題は、運用の中で修正をかける必要がある。また、システム化する際は、まずマニュアルでフローを回して、十分機能するかを確認してから行うべき。

ITシステム運用の留意点

  • システムのマニュアルには、データを取り出すところまでしか書かれていないものが多いが、取り出したデータの見方の説明が必要。すなわち取り出されたデータが、どの期間のデータから、どのように導き出された数値なのか分かるようなアルゴリズムまたはプロセスを盛り込むべき。
  • 新システムを構築すると、例えば二重計上が除外されていなかった等の問題が発生することがあるが、リテラシーがなくても数値の誤りに気付くことのできる方策を講じるべき。

事務的業務負荷の抑制

  • 対応策の導入は事務的な負荷がかかるので、IT化による省力化に加えて現行業務から不要部分を削減する取り組みも必要。
  • 管理部門のマネジメント業務の増加傾向には、業務統合パッケージが充実してきたのでICT化でルーチン業務をできる限り省力化すべき。
  • 業務改善案については、できるところから少しずつという形にすべき。あれもこれも一度に改善しようとすることで、現場が回らなくなる危険がある。

以上