第8回 予算執行管理強化に関する諮問委員会(2018年11月16日開催)議事録

国際協力機構

日時

2018年11月16日(金)11:00~12:40

場所

独立行政法人 国際協力機構(JICA)本部(東京都千代田区)会議室

出席者

委員:敬称略

細溝清史、座間敏如、園田雅宏、児玉尚剛(冨山和彦委員代理)

JICA

北岡理事長、加藤(宏)理事、長谷川理事、本清理事 他

議事要旨

予算逼迫問題の原因究明と改善策の提言をとりまとめた報告書案の審議を行い、報告書の最終化にあたり必要な追記・修正事項を確認した。また、委員から、本委員会の提言に対するJICAの実施状況のフォローアップの必要性につき指摘があり、北岡理事長からの要請を受け、本委員会のメンバーがフォローアップに当たることとなった。
各委員から示された主な意見は以下のとおり。

技術協力事業の特性に応じた予算管理

  • JICAの技術協力事業は、国外の様々な事業環境のもとで実施し、また相手国等との共同実施で自分単独では完結しないといった不確定要素や、人づくりの成果は評価が難しいといった特性がある。提言では技術協力事業の特性に応じた予算管理が求められることを指摘する。
  • 技術協力事業には様々なリスクがあり、中にはコントロールできないリスクも含まれる難しさがある。しかし、コントロールできないことを理由にリスクの特定すら諦めてしまうのではなく、まずはリスクを書き出し、それぞれどんな対策をしているのか、もう少し何かできることはないか、有効な対策の事例があるか、それを横展開できないか等、組織的な取組を行い、暗黙知を形式知に転換するアプローチをとることで、人材の育成と組織の成長につながる。

自律的予算管理に向けた人材育成

  • 具体的改善策のうち「自律性を重視した合理的な予算管理手法の確立」は、JICAとして予算管理のスキルを備えた専門人材をどのような動機付けのもとで採用・育成するのかに結び付く提言である。
  • 民間企業ならばどの部門であっても収益マインドを持ち収益に敏感になるのと同じように、公的資金を扱う組織はどの部門であっても予算管理のマインドを持たなければならない。提言ではこの点を組織文化と人的評価の問題に帰着して指摘する。
  • プロジェクトマネジメント人材はどの組織でも不足している。予算管理マインドの定着に加えて、事業管理と予算管理のスキルを持つプロジェクトマネジメント人材を組織としてどう育成するかも重要。

提言に基づく業務手順の実行可能性

  • 報告書の改善策を業務フロー各段階に反映させた手順が机上の空論にならないように、次回委員会までに組織内で予算担当部局から現場に至るまで、実行可能性を確認すること。実行可能な手順とするには、例えば事業執行に遅れが発生した場合の報告に対し、次年度に事業とともに予算を繰越し、次年度には繰越された予算をきちんと別枠で再配分する等のインセンティブを与える仕組みの検討が必要。

外部への発信と協働の強化

  • サービスデザイン思考の導入・展開で例示したデジタルガバメント実行計画は、政府が様々な政策を実施する中で、外の情報を中に取り込んでいくアウトサイド・インだけでは社会の変化に追いつけないため、インサイド・アウト、すなわち政府が何をやろうとしているかを早めに外部に伝え、それに対する反応を見ながら政策を早めに見直していく取組。電子化推進のEガバメントから、外部との協働を進めるデジタルガバメントに変わってきている。JICAでも、何をしようとしているのかを説明会等で外に伝え、フィードバックを得て一緒に考えていくインサイド・アウトの強化を検討すべき。

改善策の実施状況フォローアップ

  • 予算逼迫問題の原因と改善策を報告書にとりまとめた後に、提言を受けたJICAの今後の対応をフォローアップすることも重要であり、その仕組みを検討すべき。
  • 本委員会の役割は原因究明と改善策の提言であったが、北岡理事長からの要請を受け、提言に対するJICAの取組状況のフォローアップも本委員会が行うこととし、然るべき時期(例えば半年~1年後)に進捗確認の機会を設ける。

以上