性的搾取・虐待及びセクシャルハラスメントの撲滅に向けて(理事長メッセージ)

近年、開発及び人道支援分野における、性的搾取・虐待及びセクシャルハラスメント(SEAH:Sexual Exploitation, Abuse, and Harassment)に対する問題意識が高まっています。

このような背景のもと、2019年7月12日、OECD開発援助委員会(DAC)において、「開発協力と人道支援における性的搾取・虐待・セクシャルハラスメント(SEAH)の撲滅に関するDAC勧告」(以下、「DAC勧告」)が採択されました。DAC勧告は、開発協力・人道支援関係者による、相手国の人々を含む、組織内外の人々に対するSEAHを撲滅することを目指しています。SEAH撲滅のためには、被害者保護等、被害者の視点に立った対応を行いながら、「ゼロ・トレランス」(SEAHを一切容認しない姿勢)で、厳格に対処することが求められます。

JICAとしても、SEAH撲滅に向けて、主体的に組織・事業両面における対応強化策を検討し、実施しています。既に、役員レベルの責任者を任命し、また、JICA職員に対してはSEAH防止のための研修等を実施しています。更に、事業関係者についても関連する規程の改正等により、通報窓口の設置を含めSEAH防止の制度化に取り組みます。万一、事案が発生した場合は、被害者保護に努めるとともに、「ゼロ・トレランス」の姿勢で厳格に対処します。

SEAHは、被害者の人権を著しく損なうものであり、言うまでもなく、「人間の安全保障」、SDGsの達成、そして「信頼で世界をつなぐ」というJICAビジョンのいずれとも、全く相反するものです。そのため、JICAはSEAH撲滅のための行動を率先して取ると同時に、JICAが協力する相手国に対してもその重要性を伝える等、この問題の解決のために積極的に取り組んでまいる所存です。

2019年11月20日 北岡 伸一