jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

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AI 協力

JICAのAI分野における協力とは?

JICAは長年、「人間の安全保障」の理念を掲げ、個人に焦点を当てた開発支援を推進し、「保護」と「エンパワーメント」を両輪とする支援を展開してきました。AI時代においても、AIがもたらす新たなリスク・持続可能な成長の両面を踏まえ、「人間一人ひとり」に着目した取組を進め、「人間中心のAI」を掲げています。

開発途上国では、教育やヘルスケア、交通といった公共サービスにおいて、人手不足、行政の非効率性、データ不足等により、人々が十分なサービスを受けられない、サービスへのアクセスに格差があるといった課題が生じています。これらの課題は、AIの活用によって大きく改善できる可能性がある一方、デジタル格差やアルゴリズムによる差別といった新たなリスクが発生するという側面もあり、AIの利活用・展開には慎重な設計が必要です。

JICAでは、こうした状況を踏まえ、リスクを踏まえながらAIの利活用による恩恵を最大限享受できるよう、持続可能な成長を支えるAI戦略の策定や、AIリテラシーの向上等を通じて個人の「保護」を強化しています。また、人々の生活や産業の発展に繋がるようなAIユースケースの社会実装を通じて、個人の「エンパワーメント」を促進しています。

AI分野での協力は、JICAがこれまでのODAで構築してきたパートナー国との信頼関係や、構築・整備協力してきたインフラ等の物理的なアセット、その知見・ノウハウといった、JICAの強みが活きる領域であり、積極的に取り組んでいます。

JICAにおけるAI協力の考え方と取組方針

JICAでは、革新的な可能性を秘めるAIの機会とリスクの両方を捉えた包括的な開発支援を進めるため、開発途上国向けのAI支援を体系的に整理したAI支援戦略を策定しています。この枠組みと開発途上各国における支援を土台とし、JICAは、AI戦略策定・実施やAI国際枠組への参画に対する支援、競争力強化に資するAIユースケース推進および基盤モデル研究・開発やAI人材の育成、AI-readyデータ整備や計算資源などのAIインフラ構築、そしてAI安全性の担保などに貢献していきます。その際に、相手国政府の政府・産業界・アカデミアを繋ぎ合わせるだけではなく、日本の知見や国内のステークホルダー、他ドナー・国際機関、ASEAN・アフリカ等の地域的なイニシアティブを結びつけることにより、AI支援の効果を最大限高めています。

例えば競争力の向上においては、エチオピアの農業保険会社に対し、AIを活用した収穫の高度化・効率化を図るユースケース創出を支援しています。また、AIイネイブラーの開発に含まれるAI人材の育成においては、ナイロビ大学のAI修士プログラム向けカリキュラム策定の支援を提供しました。

AI分野での支援を開始、国際的な連携を強化

JICAはすでに、開発途上国におけるAI支援を進めています。 例えば、AIインフラでは、インド政府のIndiaAI MissionというAI戦略に対して、AI-readyなデータ基盤の設計および構築において様々なドナー・関係機関を取りまとめて協力し、数千の質の高いデータセット・AIモデルや計算資源を一元的に活用できるプラットフォーム「AI Kosh」の開発に貢献しました。また、AI技術では、エチオピアの農業保険会社との協業により、AIを活用した農業の収量予測の高度化・効率化を図るユースケース検討を進めているほか、エジプト政府・アカデミアと組んだエネルギー・保健医療のユースケースの実装を図っています。また、AI人材の育成においては、東大や京大等と連携しながら、ケニア・ナイロビ大学に新設するAI School向けカリキュラム策定支援を実施しました。これらを通じて、様々なドナー・機関との連携も深めています。