田中理事長が米国ワシントンDCでのIMF・世銀年次総会に参加

2013年10月16日

田中明彦JICA理事長は、2013年10月10日と11日の二日間、IMF・世界銀行年次総会の開催に合わせ米国ワシントンDCを訪問し、総会出席者と面談するとともに、公式イベントに登壇しました。

総会の大きなテーマの一つは、世銀キム総裁が力強く表明した、2030年までの世銀グループ二大戦略(貧困撲滅と繁栄の共有促進)を達成するための世銀組織改革です。また、もうひとつのテーマとして、IMFラガルド専務理事が主張した、高齢化や不平等など新たなリスクが生じる中で将来世代の幸福にもつながるグローバル経済の構築に焦点が当てられました。

理事長は10日、ナイジェリア連邦共和国のンゴジ・オコンジョ・イウェアラ財務大臣、インドネシア共和国のムハンマド・ハティブ・バスリ財務大臣らと個別に会談しました。オコンジョ・イウェアラ財務大臣との間では、ナイジェリア向けの新規案件等について意見交換が行われました。バスリ財務大臣との会談では、大臣から、マクロ経済政策の説明とともに、持続的な成長のために必要なインフラ投資への支援について要望を受けました。

また、10日の夕方には、国際金融公社(IFC)で行われた「公共財のための新たな資金源の活用」と題するパネルディスカッションに理事長が登壇しました。ここでは開発途上国の公共財整備を推進するためにいかに民間資金の動員を図るべきかについて意見が交わされました。パネリストとして、途上国側からはコロンビア財務大臣が、公的セクター側としてJICA、国際金融公社(IFC)、多国間投資保証機関(MIGA)が、民間セクター側として金融・投資業界から複数名が参加し活発な議論が展開されました。理事長はこの中で、国やセクターに偏りなく都市開発、教育・保健、農業などの開発分野に資金を取り込む枠組み作りの必要性を指摘するとともに、その実現に当たってはODA(政府開発援助)が開発事業のリスクやコストの軽減に役立つことを主張しました。

ブルッキングス研究所主催イベントに登壇 (左端)

さらに、11日午後、ブルッキングス研究所で行われた「脆弱国支援と包摂的成長の役割」と題するパネルディスカッションに登壇し、アフガニスタンや南スーダン、ミャンマーなどにおけるJICAの協力事例とともに、JICAが脆弱国で進めてきた「すべての人々が恩恵を受けるダイナミックな開発」の取り組みを紹介しました。

なお、今回のタイミングでは、JICAもメンバーとなっている新興国・地域開発金融機関とのネットワーク、国際開発金融クラブ(International Development Finance Club: IDFC)の総会も開催され、グリーン・ファイナンスに係る加盟機関間の協力の方向性に係る議論が行われました。同会議には、バン・キムン国連事務総長も急遽出席し、気候変動ファイナンスのスケールアップ(拡大)実現に向けたIDFCの貢献について期待を表明しました。