2022年4月1日
(JICAとの契約により海外渡航される事業関係者向け)新型コロナウイルス感染症流行下における海外渡航にかかるリスク事項説明
1.JICAの状況認識
- 1 . 現下、全世界的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行は収束を迎えておらず、完全な収束への道筋はいまだ見えていません。
- 2 . 各国における医療体制、COVID-19対応体制(検査体制、感染者の受け入れ・治療体制、国外への緊急移送など)は徐々に強化されてきました。一方、流行の状況は国によって一様ではなく、また時間の経過とともに改善、悪化を繰り返しています。渡航先国において実際にケースが生じた際に、直ちに医療機関のケアを受け、また国外への移送を行うことが難しいケースも発生してきました。
- 3 . 各国において、ワクチン接種が進みつつありますが、国や地域によって接種率に大きな隔たりがあります。また、発症や重症化の予防にワクチンの効果が確認されている一方、感染予防効果については現時点では十分とは言えず、実際にワクチン接種後の感染事例も報告されています。
- 4 . 各国の水際対策、航空便の再開などには、国によっては依然引き続き障壁があり、国際的な人の往来の平常化には至っていません。
- 5 . そのような状況下、国際社会は、COVID-19と共存しながら社会経済活動を進めていく方向にあります。国際機関、欧米主要ドナー、中国を含む新興国は開発途上地域での支援を再開・本格化しており、日本政府も国際協力の重要性を強調しています。JICAとしては、COVID-19が開発途上地域の社会経済に大きな影響を与えていること、国境を超える課題に国際社会が連帯して乗り越えるべき時期にあることなどを踏まえ、国際協力がこれまで以上に必要とされているとの認識にあります。COVID-19の影響によるリスクが払拭されない環境下においても、可能な限りの対策、措置を講じつつ、JICA関係者の渡航、事業を推進していく方針です。
- 6 . ここに現地で想定されうるリスクをご説明し、現地で遵守・徹底すべき「行動規範」をお示しします。それらをご理解いただいた上で、現地への赴任、並びに渡航時及び現地での感染防止策遵守・徹底のご意思を確認させていただきたいと存じます。
2.想定されうるリスク
- 1 . すべての事態をあらかじめ列挙することは困難ですが、コロナ下での海外渡航により想定される主なリスクには次のようなものがあります。
医療・渡航管理面
- ア.渡航先国または移動途上において、COVID-19に感染する。
- イ.COVID-19に感染した場合、あるいはそれ以外の疾患・傷病罹患時に、渡航先国で適切な医療を受けることが困難となる。
- ウ.COVID-19に感染した場合、あるいはそれ以外の重篤疾患・傷病罹患時に、渡航先国外への緊急移送が手配困難となる。
- エ.渡航先国や本邦における水際対策措置の厳格化や急な変更により、移動経路上で搭乗や出入国におけるトラブルが発生する。
- オ.COVID-19に関する誤った情報や知識による感染・重症化リスクの拡大及び感染者やその支援者に対する偏見や情報漏洩により人権が侵害される。
- カ.COVID-19以外の傷病についても治療が遅れる。
治安面
- キ.治安の急激な悪化又はその他不測事態発生時に、COVID-19起因の障害により、渡航先国内外への移動、避難が困難となる。
- ク.景気低迷や雇用不振も背景に、COVID-19によるロックダウン等により市中の人通りが減少している中で、強盗被害等、犯罪のターゲットとなる(外国人を対象としたヘイトクライムを含む)。
- ケ.一時帰国措置等による不在期間中に、留守宅/プロジェクトオフィスへの侵入盗の被害に遭う。
(2)上記(1)のような事態が生じた際、JICAは可能な限りの対応を行いますが、新型コロナウイルス起因の障害により、結果として有効な手立てを確保できない可能性があります。
3.感染予防策、感染拡大予防策の遵守
(注)以下案内は渡航者本人向けの内容ですので、コンサルタント等契約受注者におかれては、貴下業務従事者に対して徹底頂くようお願いします。
- 1 . JICAは、渡航者に感染予防策、感染拡大予防策を徹底していただけるよう、別紙「新型コロナウイルス感染症流行下における海外渡航 行動規範(以下、行動規範)」を定めています。
- 2 . 渡航にあたっては、2.想定されうるリスクを認識した上で、「行動規範」の遵守をお願いします(本内容は、ワクチン接種の如何に関わらず、必ず遵守願います)。
- 3 . JICAは感染及び重篤化の予防のため、渡航前の新型コロナウイルスワクチンの接種を推奨しています。渡航後に接種を希望し、接種場所への移動に制限がある等、自身(所属先含む)での対応が困難である場合、在外拠点に支援を求めてください。
- 4 . 各渡航者においては、COVID-19以外の傷病に罹患・発症するリスクを最小化するとともに、重大交通事故、犯罪被害防止にも努めていただけますようお願いします。
- 5 . 渡航先国における滞在リスクが高まった場合、JICAは渡航者や随伴家族の避難帰国を再び命じることがあります。現地滞在中は常に渡航先国を離任できる準備を整えておいていただくとともに、JICAから避難指示があった場合は、これに従っていただくこととなりますので、予めご了解ください。
4.海外渡航に係る判断
専門家、調査団等として渡航する事業関係者向け
- 1 . 上記説明を踏まえ、渡航者は、任意で渡航先国への赴任を辞退し、また、JICAとの契約を解除することができます。
- 2 . ご自身の意思で、契約解除せず、渡航先国への赴任を選択される場合は、前出「行動規範」の遵守・徹底にご協力をお願いします。
コンサルタント等当機構との法人契約に基づき渡航する事業関係者向け
- 1 . 各受注者におかれましては、上記を踏まえ、派遣に関する打診を受けた段階において、現地渡航の可否をご検討いただくこととなります。派遣が可能であると判断された場合でも、実際の現地渡航については、各種制約や制限がある場合がありますので、案件ごとに監督職員にご相談ください。
- 2 . 渡航や現地におけるリスク対応のため、追加的経費が必要になる場合は、事業実施に係る経費としての支出の可否を検討いたしますので、監督職員にご相談ください。
- 3 . リスクを勘案し、現地渡航を行わないと判断される場合は、その旨監督職員にご相談ください。その場合、引き続き日本から遠隔で業務を実施する、もしくは他の代替案についてご提案いただき、監督職員と協議してください。
- 4 . 一旦派遣を実施したものの、現地における感染状況等により、受注者の判断で日本に帰国することも認めますので、監督職員もしくは在外拠点にご相談ください。
5.JICAによる支援(コンサルタント等当機構との法人契約に基づき渡航する事業関係者向け)
上記に関し、JICAは受注者各社に対し、以下の支援、連携を行う所存です。ただしCOVID-19のリスク環境下、上述「2.(2)」のような事情が生じる可能性があります。このほか、渡航先国により、状況は様々ですので、ご不明な点は事業主管部/JICA在外拠点にご相談ください。
- 1 . 現地での保健医療情報の提供
- 2 . 各国ごとの渡航フローに基づく手続き支援(渡航先国における出入国許可、国際航空便搭乗確保など)
- 3 . 渡航先国におけるCOVID-19感染時の対応の支援。
- 4 . 渡航先国におけるCOVID-19以外の重篤疾患・傷病時の対応支援。
(注)上記5.の内容はコンサルタント等契約受注各社向けの案内であり、専門家、調査団等として渡航する事業関係者に対してはJICAが直接支援を行います。
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