持続的開発と防災の主流化

JICAは、災害に脆弱な開発途上国に対し、災害発生前の予防である「防災」に高い優先順位を置き、防災の視点をあらゆる開発のセクターに取り入れ、防災投資への予算を拡大する「防災の主流化」の促進と普及に努めてきました。これは、開発途上国において、災害を未然に防ぎ、被害を軽減するための防災事業に十分な予算が振り分けられず、結果として災害によって人命だけでなく経済的成長の成果と機会が繰り返し奪われ、貧困からの脱却と持続的開発を困難にしていることが多々あるからです。

JICAは、災害多発国である我が国の知見も含めたポジション・ペーパーを作成し、UNDP、世界銀行等と定期的に協議を行い、開発課題に防災の視点を組み込むことの重要性を共有してきました。また、国連人道問題調整事務所(OCHA)や欧州委員会(EC)人道援助・民間保護総局(ECHO)等の人道支援機関とも、人道支援から復興に向け、災害前より強靭な社会を形成する「より良い復興(Build Back Better)」の考え方について共有してきました。その結果2015年3月14日から18日まで仙台にて開催された第3回国連防災世界会議の成果文書「仙台防災枠組2015-2030」にJICAのポジション・ペーパーと整合性の高い内容が反映され、その後のSDGs形成過程において議論の土台の一つと位置づけられました。また同枠組を推進する国連国際防災戦略事務局(UNISDR)と連携協定を締結し、防災の主流化からの持続的発展への貢献を進めています。