第5回児童労働撤廃世界会議でサイドイベント「児童労働撤廃のための統合的地域アプローチの促進:ガーナの児童労働フリーゾーンを事例に」を実施しました

2022年8月2日

概要

  • 会議名:第5回児童労働撤廃世界会議 サイドイベント「児童労働撤廃のための統合的地域アプローチの促進:ガーナの児童労働フリーゾーンを事例に」
  • 日時:5月19日(木)18:15~19:15(日本時間)
  • 会場:オンライン(ZOOM)
  • 共催:ガーナ政府、特定非営利法人ACE、JICA

登壇者(敬称略)

モデレーター

  • 岩附 由香 特定非営利活動法人ACE 代表

スピーカー(登壇順)

  • Peter Antwi Deputy Director / Focal Person on Child Labour, Ministry of Employment and Labour Relations, Ghana
  • 白木 朋子 特定非営利活動法人ACE 副代表
  • 山下 契 JICA ガバナンス・平和構築部 ガバナンスグループ 法・司法チーム 企画役
  • Andrews Addoquaye Tagoe Deputy General Secretary for the General Agricultural Workers Union(GAWU)of the Trades Union Congress-Ghana / Regional Representative Global March against Child Labour(Anglophone Africa)
  • Sophie Tüllmann Scientific Collaborator at the Swiss Platform of Sustainable Cocoa(SWISSCO)

背景・目的

SDGターゲット8.7では「2025年までに児童労働を撲滅する」という目標が掲げられていますが、今でも世界で約1.6億人の子どもたちが児童労働に従事しています。タイムリミットが迫る中、5月15日~5月20日に南アフリカのダーバンで第5回児童労働撤廃世界会議が開催されました。

同会議期間中に実施された本サイドイベントは、特に農業分野における児童労働撤廃を促進する取り組みとしての統合的地域アプローチの可能性について議論することを目的に実施されました。

内容

  • 本イベントでは、ガーナ政府の児童労働フリーゾーン(Child Labour Free Zone / 以下、CLFZ)や欧州のカカオプラットフォームの取り組みについての発表が行われ、約60名が参加しました。
  • 各登壇者の発表内容を以下に紹介します。
    • ガーナ労働・雇用関係省のPeter Antwi氏は、ガーナ政府によるCLFZの取り組みについて紹介。ガーナ政府は、2020年に策定されたガイドラインに基づき、地方自治体、地域社会などの関係者が協力して児童労働撤廃に向けた取り組みを行う統合的地域アプローチを採用しています。教育や福祉を含む子どもの権利の確保、児童労働の防止などの対策の実施状況をモニタリング・評価し、一定の水準に達している地域がCLFZに認定されることになっています。
    • ACEの白木氏は、JICAの委託を受けて実施したCLFZ実証調査の結果を報告。2つのカカオ生産地区を対象に実施されたパイロット活動を通じて、CLFZ指標を標準化することの有効性、統合的地域アプローチの必要性、啓発がコミュニティの行動を促し、行動が変化をもたらすこと、既存のシステム・プログラム間の連携・調整の重要性が確認されました。調査結果を踏まえて、今後、CLFZガイドラインの一部改訂や、普及展開のための戦略策定に取り組む必要があるものの、児童労働撤廃に向けたマルチステークホルダー連携による包括的なアプローチとしてのCLFZの有効性が強調されました。
    • GAWUのAndrews Addoquaye Tagoe氏は、CLFZの一環として取り組む「トーカー・モデル」(TORKOR MODEL)について報告し、地域住民の自助努力を引き出すエンパワーメント、農協や教会、自治体など多様な関係者の連携の重要性を指摘しました。同モデルは、カカオやタバコの生産、漁業などのセクターにおけるあらゆる形態の児童労働撤廃を目指し、既存のコミュニティ・システムを利用して児童労働のモニタリングを行っています。
    • SWISSCOのSophie Tüllmann氏は、カカオのバリューチェーンにおける最悪の形態の児童労働と強制労働の撤廃を目指して策定したSWISSCOロードマップ2030「Tackling Challenges Together」について紹介。児童労働監視・是正システム(CLMRS)、コミュニティ開発プログラム、人権デュー・ディリジェンス・プロセスの活用など、包括的なアプローチをとおして、カカオ農家の生活収入の向上、環境にやさしいカカオのサプライチェーンの実現などを目指しています。CLFZに対しては、革新的かつ体系的な地域ベースのソリューションの提供、官民およびセクターを横断した協力関係の強化に関する期待が表明されました。
  • 本イベントで経験共有、議論が行われた児童労働撤廃に向けた統合的地域アプローチの重要性については、児童労働世界会議の成果文書「Durban Call to Action on the Elimination of Child Labour」にも明記されました。
  • JICAは今後も、「開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム」の活動、ガーナ政府のCLFZ普及の取り組みへの協力などを通して、児童労働撤廃に貢献していきます。

【画像】

Andrews Addoquaye Tagoe様の発表の様子

【画像】

ACE 白木様の発表の様子

参考資料

サイドイベントの概要、録画は以下URLよりご覧いただけます。

当日の資料は以下からダウンロード可能です(いずれも英文)。

参考サイト

ガーナ政府の取り組み

スイスサステイナブルカカオプラットフォーム

ACE

JICA

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