ガーナ「西アフリカにおける感染症対策の拠点として」

日本のガーナへの医療協力については1968年の基礎調査実施を皮切りに開始し、1979年には無償資金協力により野口記念医学研究所を設立しました。以後、継続的に技術協力を実施しています。また、2017年は明治時代にガーナに赴き黄熱病の研究に尽力した野口英世博士(1876~1928年)の来訪から90年目の節目にあたり、これを記念して現地ではシンポジウムが開催されました。

感染症の発生や流行を防止するには、発生動向調査(サーベイランス)が重要とされています。JICAは2016年から「ガーナにおける感染症サーベイランス体制強化とコレラ菌・HIV等の腸管粘膜感染防御に関する研究」を開始し、東京大学医科学研究所、国立感染症研究所、三重大学・病院とともに、野口研及びガーナヘルスサービスと協力し、下痢症、エイズ、出血熱等の主要感染症のサーベイランスシステムの強化と、コレラ菌・HIVを対象として病原体の遺伝子レベルの個体差などが感染症に及ぼす影響と相互作用の解明を通じた新規診断・予防・治療法の開発を目指したプロジェクトを実施中です。これにより、未知の感染症と遭遇した際に、新たな病原菌を見つけることも期待されています。

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野口記念医学研究所に残る野口博士が使用していた顕微鏡

さらに、「野口記念医学研究所先端感染症研究センター建設計画」では、病原体が外部に漏洩することがないよう封じ込める構造を持つ実験棟の新設に向けた施設・機材の整備も行っています。これによって、野口研の研究機関及び教育機関としての活動範囲の拡大を図るとともに、西アフリカ域内の感染症対応能力強化に貢献する拠点ラボとしてさらなる機能強化を図ります。

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