jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

メッセージ

パートナーシップで未来を創る:ビジネスとの共創を通じた社会課題の解決への取組

世界が直面する課題は、かつてないスピードで複雑化しています。そうした課題に対応するためには、国や地域を超えた協力が不可欠です。国連の持続可能な開発目標(SDGs)においても、ゴール17「パートナーシップで目標を達成しよう」が掲げられ、幅広い主体からあらゆる利用可能な資源を動員してパートナーシップの再活性化を図ることが強調されています。

JICAは長年、公的部門を主たるカウンターパートとして、世界の開発途上国の社会課題解決に取り組んできました。しかし、これらの国々が成長を遂げるにつれ、民間部門=ビジネスの役割はますます重要になっています。企業の皆様が有する優れた製品・技術・サービス・ノウハウは、教育、保健、インフラ、環境など、さまざまな分野で課題解決に大きく貢献できる可能性を秘めています。

さらに、開発途上国への資金の流れにおいても、かつての援助資金中心の頃とは異なり、民間資金が主要な位置を占めるに至っています。

また、企業関係者の皆様の間でも、SDGsや社会的課題への関心が高まり、新興国・開発途上国の新たな市場やこれら国々の課題をビジネスの機会と捉える動き、さらにはSDGsや社会課題解決を経営戦略に取り込む動きが広がっています。こうした潮流は、新たなビジネス機会であると同時に、社会に持続的な価値をもたらすものです。

JICAは日本と開発途上国の「Win-Win」の関係を重視しています。ビジネスの成功、すなわち、質の高い製品やサービスの導入による社会課題の解決は長期的なパートナーシップを生み出します。このWin-Winの関係は、JICAのこれまでの取り組みよりも、さらに大きく、持続的な効果をもたらし、スケールアップにつながっていくことが期待されています。

2023年6月に改定された「開発協力大綱」でも、様々なパートナーとの共創、特にビジネスとの連携が重視されています。それに続き、2025年4月には国際協力機構法が改正され、海外投融資のツール拡充を含め、より幅広いパートナーとの連携が可能となりました。

JICAはこのような潮流の中で、調査支援や海外投融資などの民間連携事業を積極的に推進し、企業の皆様とともに持続可能な未来を築いて参ります。

中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)は、日本の民間企業等が自社の優れた製品・技術・サービス・ノウハウを活用して開発途上国の課題解決に貢献するためのビジネスづくりをサポートする事業です。JICA Bizでは、ビジネス段階に応じた2つの支援メニュー「ニーズ確認調査」、「ビジネス化実証事業」を用意しており、ビジネスモデルや事業計画を支援し、当該ビジネスの成功確度を高め、開発途上国への裨益を実現・拡大することを目指しています。
公募提案による本事業は、各社の創意工夫に富んだ企画を盛り込んでご提案いただくことも特徴となっており、近年では革新的な技術やアイデアを持つスタートアップ企業からのご応募も増えています。

海外投融資は、開発途上国において民間企業・金融機関が行う開発効果が高い事業に融資や出資等を行うもので、開発インパクトの創出と財務的リターンを同時に達成するインパクト投資です。民間の金融機関のみでは対応が困難な開発途上国の開発事業に対してJICAが融資や出資等により支援します。海外投融資も企業の皆様の持つ事業の立案・運営ノウハウを開発途上国の開発に活かし、ビジネスの力による課題解決・発展を目指すものです。海外投融資を活用した開発事業への投資を目指す日本企業の皆様にご利用いただける制度として、事業計画の策定を支援する「協力準備調査(海外投融資)」も用意しております。SDGsの達成には民間資金の役割が重要です。JICAは海外投融資を通じて、民間資金動員の触媒となるとともに、JICAが有する知見等を活用しながら開発事業を推進することで、開発インパクトの最大化を目指します。

これら事業を開始して以来、全国の数多くの企業の方々に活用いただいています。その一方で、国内にはJICAの制度を利用し、海外に展開頂ける企業がまだまだ多くいらっしゃると思います。今後とも、JICAは国内に深く根を張った国際協力を進めることで、開発途上国と日本との双方の発展に貢献していきます。

JICAでは、企業の皆様とJICAがそれぞれの強みを生かして、共に社会課題解決やSDGs達成を目指す「企業との共創推進(Private Sector Engagement)」の取り組みを開始し、国や課題・テーマのラウンドテーブルの開催やWebページやメールマガジン・SNS等での共創事例の情報発信も進めております。これは、これまでの、公的部門を主な共創パートナーとしてきたJICAにとっては、新たな取組、時代の変化に合わせて自ら変わっていくプロセスでもあります。

JICAには、国内15カ所、海外約100カ所に拡がる拠点ネットワークや、これまで現場で培った開発途上国関係者との信頼関係があります。これに加え、国内の企業支援機関、各地の商工会議所などの経済団体、地方金融機関等、地方自治体とも協働し、オールジャパンの体制で事業に取り組んでいます。企業の皆様がJICAと共創いただくことにより、皆様のビジネスが更に拡大・発展することを願っております。

理事 原 昌平