JICA青年海外協力隊事務局 すべての人々が等しくスポーツを楽しめる平和な社会の実現に向けて

いま求められている、「スポーツ」を通じた国際協力

スポーツ、それは言葉や文化の違いを超えて楽しめるボーダーレスなもの。

スポーツ、それは言葉や文化の違いを超えて楽しめるボーダーレスなもの。

スポーツには人々を強く惹きつける力があります。それは、スポーツが楽しさや熱狂、感動をもたらすためであり、時にスポーツは生きがいの一つにさえなります。
また、スポーツには言語・文化・宗教など背景の違う多様な人々・地域をつなぐ力があります。

そんな我々に身近なスポーツは、古くから権利として尊重され、1978年11月、UNESCOで採択された『体育およびスポーツに関する国際憲章』に「体育・スポーツの実践はすべての人にとって基本的権利である」と示されたほか、21世紀に入ってからは、2015年9月に採択された『持続可能な開発のための2030アジェンダ』前文に「スポーツもまた、持続可能な開発における重要な鍵となるものである。」と明記されました。

しかし、開発途上地域においては予算、人材、関連機関の組織力等から十分な取り組みができていない場合が多く、特に障害者や女性などの社会的に弱い立場に置かれた人々のスポーツの機会は限られています。

一方で、日本にはスポーツを日常的に楽しめるものにした経験があり、上記のような課題に対し、JICAにおいてもスポーツを開発課題と捉え、JICAグローバル・アジェンダ「スポーツと開発」にて掲げた協力方針である3 つの柱(「①スポーツを楽しむ機会の拡充」「②心身ともに健康な人材の育成」「③社会包摂と平和の促進」)に沿って、日本の経験、強みを活かした事業を行っています。

3本柱の一つ「社会包摂と平和の促進」では、障害者・女性のスポーツ参加やスポーツを通じた平和構築を進めています。

3本柱の一つ「社会包摂と平和の促進」では、障害者・女性のスポーツ参加やスポーツを通じた平和構築を進めています。

そこで、スポーツそのものの開発、そして開発の手段としてのスポーツの活用の主流化を推進するため、今回、JICA-Netマルチメディア教材「JICA「スポーツと開発」事業の取り組み」を制作しました。

JICAの5つの取り組み事例を紹介

ブルキナファソで野球の普及活動を行う海外協力隊員

ブルキナファソで野球の普及活動を行う海外協力隊員

本教材は、最初にJICAグローバル・アジェンダ「スポーツと開発」の概要説明を行い、次に協力方針(3 つの柱)に沿って、それぞれの柱における代表的なJICAの取り組み事例を簡潔に紹介しています。
ブルキナファソやネパールで活躍した海外協力隊員、日本の学校体育の理念や指導方法を紹介する研修プログラム、女性がスポーツに触れる機会の限られていたタンザニアでの初の女子陸上競技会「Ladies First」、障害者の社会参加を促す障害者スポーツ普及促進プロジェクト、南スーダンでの民族間融和を目的とした全国スポーツ大会「国民結束の日」など、様々な面からのアプローチを通して「スポーツと開発」への理解を深めることができるようになっています。

関連リンク

スポーツと開発 身体と心が拓く、未来 mundi 2018年6月号

制作に当たっては、事例紹介や当事者へのインタビューを多く取り入れ、スポーツを通じた国際協力がどのようなものかイメージしやすいような内容にしました。また日本語、英語、フランス語、スペイン語版を用意しており、各言語版とも約30分のフルバージョン・約5分のダイジェスト版がありますので、様々な場面で活用することが可能です。

スポーツの強み、魅力を活かした国際協力

本教材は、スポーツを通じた国際協力の更なる推進に取り組んでいくため、スポーツ専攻の教員や学生、行政機関を含むスポーツ団体関係者、スポーツ関連事業の関係者等、「スポーツと開発」に携わる、もしくは興味関心がある日本及び途上国の関係者を対象としています。
また、1965年の発足時から90カ国に累計約5,000人の体育・スポーツ隊員を派遣してきているJICA海外協力隊の派遣前訓練や課題別研修等での活用も考えています。

「する」だけではなく「見る」、「支える」といった楽しみ方もあるスポーツは、対象とする地域や目的に応じて多様な取り組みが可能です。

「する」だけではなく「見る」、「支える」といった楽しみ方もあるスポーツは、対象とする地域や目的に応じて多様な取り組みが可能です。

スポーツを通じて多様な人々が交流してお互いを知ることで、相互理解や多様性を尊重する気持ちが醸成され、平和の実現へとつながっていきます。
さらに、スポーツにはさまざまな形態があり、「する」だけではなく「見る」、「支える」といった楽しみ方もあります。そのため、対象とする地域や目的に応じて多様なスポーツの取り組みが可能です。
本教材によって、国際協力におけるスポーツの強みや魅力を伝え、すべての人々が等しくスポーツを楽しめる平和な社会づくりに貢献できれば幸いです。

小川 直生
JICA青年海外協力隊事務局

このページで紹介している教材

JICA「スポーツと開発」事業の取り組み
JICAグローバル・アジェンダ「スポーツと開発」にて掲げた協力方針(3 つの柱)に沿って、それぞれの柱における代表事例を簡潔に紹介し、スポーツを活用してどのような国際協力ができるのかを解説します。 スポーツを通じた国際協力の更なる推進に取り組んでいくため、「スポーツと開発」に携わる、もしくは、興味関心がある日本及び途上国の関係者に向けて、JICAグローバル・アジェンダの概要及びJICAのこれまでの取り組みについて説明することを目的に作成されています。