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- JICA地球環境部 日本の防災の技術や経験で世界に貢献する-ベトナムでのASEAN向け展示会で映像を上映-
ベトナムで開催された展示会で上映
展示会会場の全体の様子
2023年10月9~12日、ASEAN防災閣僚級会合(ベトナム・ハロン)の会場で、防災展示会が行われました。その際JICAの出展ブースで、JICA-Netマルチメディア教材の映像「洪水に負けない国づくり」と「日本の災害経験と仙台防災枠組への反映」を上映しました(いずれもダイジェスト版・英語版)。
展示会では、カウンターパートであるベトナム農業農村開発省をはじめとして、ASEAN加盟各国等の防災担当省庁の閣僚級や職員、さらにWorld BankやUNDP、AHAセンター等の機関職員等、少なくとも100名程度がブースに訪れました。
日本の防災の技術や経験をわかりやすく伝える
ベトナムをはじめASEAN地域では、日本と同様、気象や地形等の条件のために洪水や土砂災害をはじめとする自然災害が頻発しています。このため防災の取り組みを進めることは非常に重要であり、JICAでは日本の有する防災の技術や経験を活用しながら、協力を進めています。
展示会では、そうした日本の技術や経験をわかりやすく伝えたいと考え、上述のような映像を活用することとしました。
ブースでの映像上映の様子
もともとは私が4年ほど前に国土交通省で勤務していたとき、JICA防災グループの方から教えて頂いた「洪水に負けない国づくり」の映像を視聴したことがあり、それがわかりやすくて印象に残っていた――というのが今回この映像の使用を考えた発端でした。そしてウェブで調べているうちに、JICA-Netマルチメディア教材の映像はYouTubeチャンネルにも掲載されていることを知りました。YouTubeで閲覧しながら使用する映像を選定しやすかったのも便利でありがたいことでした。
映像により伝えた、日本の技術や経験の例
「洪水に負けない国づくり」では、日本での洪水対策の考え方やその効果を説明しています
今回上映した「洪水に負けない国づくり」では、洪水の経験等を踏まえて河川ごとの特性に合わせた河川計画を策定し、事前投資を行うことで着実に対策を進めるという日本での洪水対策の考え方やその効果を説明しています。加えて、災害発生後の早期復旧や「より良い復興」(Build Back Better)の意義についても、2015年9月に発生した関東・東北豪雨を例に解説しています。
また「日本の災害経験と仙台防災枠組への反映」では、日本の災害経験と、そのたびに行政が主体となって法制度等を見直してきた歴史を振り返りつつ、2015年に策定された「仙台防災枠組」の内容やそこに日本の経験がどのように反映されたかを解説しています。さらに、仙台防災枠組の理念に沿った世界での取り組みの例として、日本がスリランカ、タイ、フィリピンの各国と協力して行ったプロジェクトを取り上げています。
なお展示会にはホスト国のベトナムの参加者が多く来場すると考えて、ベトナム語字幕を付けて上映しました。
「日本の災害経験と仙台防災枠組への反映」では、仙台防災枠組の理念に沿った日本の世界での取り組みを取り上げています。
展示会会場はASEAN防災閣僚級会議の会場(右手の白い建物)の前に設置されました。
展示ブースへの訪問者の様子。ベトナムにおけるJICAの防災分野の協力について紹介するパンフレットを手にしています。
夜間もブースをライトアップして上映しました。
映像とパンフレット等による効果的な発信
今回ブースでは、上記のもの以外も含めて数点の映像を上映したほか、ベトナムにおけるJICAの防災分野の協力案件について紹介するパンフレット等も配布しました。
これらを通じて、防災分野において日本の技術や経験を基に海外に貢献できることを、ベトナムをはじめASEAN各国の方々に向けて効果的に発信できたと考えています。
展示に関わったJICAスタッフと今回の展示をサポートして頂いたベトナム農業農村開発省(MARD)堤防管理・防災局(VDDMA)の方と一緒に。
一緒に準備をしたJICAベトナム事務所の稲森真希子さんとLe Thi Ngoc Diepさん、本部から支援して頂いた地球環境部防災グループの石川大朗さん、そして展示会をサポートしていただいたベトナム農業農村開発省堤防管理・防災局(VDDMA)の皆様に感謝したいと思います。
今後も機会があれば、今回ベトナム語字幕を付けた映像等を活用して発信を行い、協力を深めていきたいと思います。
鈴木高
JICA長期専門家(ベトナム農業農村開発省 防災アドバイザー)
このページで紹介している教材
洪水に負けない国づくり
JICAは、日本の洪水対策に係る知識・経験を活かし、抑止減災、事前準備、応急対応、復旧・復興まで、シームレスな防災協力に取り組んでいます。
本教材では、JICAの防災協力の背景にある日本国内の河川整備の考え方、「平成27年9月関東・東北豪雨」における復旧・復興の取り組み等を通じ、事前投資をはじめとする総合的な視点からの防災の重要性を国内外の防災協力関係者に効果的に伝えることを目的としています。
日本の災害経験と仙台防災枠組への反映
2015年に策定された防災の国際潮流である仙台防災枠組には、①事前投資の重要性、②防災の主流化、③ビルド・バック・ベター等、日本の提言が数多く盛り込まれています。日本がこれらを提言した理由を、日本の代表的な災害経験とその教訓を紹介しながら解説します。
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