JICAボツワナ KAIZENが変える医療の現場-保健医療サービスの向上を目指して-

2020年10月27日

5S/KAIZEN活動キックオフイベントで活用

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5S/KAIZEN活動キックオフイベントの様子

JICAボツワナ支所は、ボツワナでのコロナ期におけるJICAの貢献策の一つとして、ボツワナ生産性センター(BNPC)に病院におけるKAIZENを委託しました。
2020年9月17日、ボツワナのハボロネ市内モデル病院における5S/KAIZEN活動キックオフイベント時に、JICA-Netマルチメディア教材「What is KAIZEN?あなたが変える医療の質」を上映し、病院におけるKAIZENに関するプレゼンに活用しました。上映には、保健省や病院関係者等約30名が参加しました。

5S-KAIZEN-TQMとは?

KAIZENとは、主に製造現場の問題を現場主導で継続的にひとつずつ解決していく過程で、業務のムリ、ムラ、ムダをなくし、限られた資源で業務の効率化と品質管理を目指す手法です。JICAは途上国の医療現場にKAIZENを導入し、5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)の導入から始め、TQM(Total Quality Management総合的品質管理)を目指す保健分野向上のためのアプローチ、5S-KAIZEN-TQMを取りまとめました。JICAの協力を通じ、2015年時点で全世界の22か国、500以上の医療施設で5S-KAIZEN-TQMが実践されています。

KAIZENの基礎を学ぶために

「What is KAIZEN?あなたが変える医療の質」では5分間の短縮バージョンを用い、現場の医療従事者や患者らが感じている不便な点をひとつひとつ拾って見直すボトムアップアプローチであること、その結果としてタンザニアの病院において時間やコストの削減や来院者に対するサービスの向上につながった声を伝えました。日本の病院での取り組みを例に、KAIZENのプロセスの具体的な7つのステップの説明するフルバージョンについては、贈呈した教材によって自学自習を勧めました。
今回の上映により、病院関係者に対して病院におけるKAIZENの具体的イメージを共有することができ、またボツワナ生産性センターのコンサルタントたちが活動しやすくなったものと思います。マルチメディア教材は視覚に訴えることができるので、概念を共有するために有効なツールであると実感しました。

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医療廃棄物の分別の向上のため、ごみ袋の在庫管理を徹底。ゴミ袋を院内で作成することでコストも削減されました。

状況に合わせた媒体の活用

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QITメンバーによる院内でのKAIZEN活動についてのミーティング風景

職員として以前からJICA-Netライブラリの存在は知っていました。本教材はJICA-NetライブラリYouTubeチャンネルに掲載されていますが、ボツワナのネット状況ではYouTube動画の再生は確実ではないこともあり、DVDによる教材の複製を依頼しました。複製教材はプロジェクターに投影することで多くの人が鑑賞することができ、またメディアをそのまま供与できるという点でYouTubeより利点があると感じました。一方YouTubeでは、事前に教材の内容、今回でいえば病院におけるKAIZENを端的に説明した内容であることを確認できた点が便利だと思います。

多くの途上国では保健資源が不足しており、サービスの提供が難しい状態です。途上国にKAIZENを導入することで保健資源が適切に使われ、サービスが提供できる状況を作っていくのは大切なことです。KAIZENの基礎を解説するこの教材は、今後も、KAIZENの導入を考えている病医院のマネジメントクラスや病医院内の各部門KAIZENチームの人たちに、有効に使うことができると考えています。

山田 健
JICAボツワナ支所

このページで紹介している教材

What is KAIZEN?あなたが変える医療の質

本教材は、開発途上国の医療従事者や保健省質管理部局関係者のカイゼンへの理解を促進することにより、医療機関でカイゼン活動が実践/推進されることを目的としています。
カイゼンの概要と変遷、カイゼンの実施体制と7つのステップ、福岡県飯塚病院やタンザニア公立病院でのカイゼン活動等の紹介で構成され、大変理解しやすい内容となっております。日本語・英語・フランス語・スペイン語・アラビア語の5ヶ国語対応。