愛媛県立土居高校 742キロメートル離れたところから、こんにちは!-愛媛の高校生たちが、オンライン授業で元・ルワンダ隊員に出会う-

2020年11月10日

身に着けてほしいのは"グローバルな視野" そのために先生は?

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「世界を知る授業」を他の先生方が取り入れられるように、と越智先生(画面一番右)には昨年、JICA-Netの映像教材を活用した「授業のヒント」にも協力いただいています

「生徒には"英語力"だけでなく、"グローバルな視野"を身につけてほしい、と思って授業を組み立てています。本校の約半数の生徒は高校卒業後、地元の製造系企業に就職するのですが、関わる製品は世界中に輸出されますし、海外からの同僚も増えているんです。」

こう語るのは、愛媛県立土居高校で英語を教える越智由佳先生。英語や探求学習で、生徒たちに世界と向き合う授業に取り組まれてきました。生徒に伝えるためには、まず自分が誰よりも学ばねばならない…そんな姿勢で、越智先生はこれまでJICA教師海外研修でパラグアイ訪問したり、開発教育指導者研修に参加し全国の先生方と授業内容を磨きあったり、また国際協力出前講座を通じて隊員経験談を生徒共に学んだり…と日々ご自身へのインプットを欠かしません。
さらに、教育系のNGOや環境系の市民団体からも学び、また日本語教育についても通信で勉強し…と、生徒のために学びを止めない越智先生、今年は高校二年生に「WaterCrisis(水不足)」をテーマに、JICA-Netマルチメディア教材「世界につながる教室-授業で使える映像教材-(水と世界・ルワンダ・国際協力)」を使って、授業を組み立てられました。

水が豊かな日本で、WaterCrisis(水不足)をどう学ぶ?

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正解はない授業。生徒同士で話し合い、問いかけ合いながら学んでいきます

SDGsのゴール6にも「水と衛生」がかかげられていますが、現在、世界において「安全な水の確保」にかかわる課題は深刻なものです。しかし、いつでもどこでも蛇口をひねれば飲める水が出てくる日本において、なかなかその課題を実感するのは難しいもの。そこで越智先生は、次のような順をおった授業を計画されました。

まず、そもそも水が人間にとっても、地球にとっても必要不可欠な資源であることを理解する。そして「水」が国境を越えて、世界を循環していることを理解する。

日本、そして世界各国の人々の水の使用量を知る。水は世界をめぐっているが、日本のように水が使える国は決して多くはないことをふまえ、水が手に入りにくい国の様子、としてルワンダの村落部の子供の映像を視聴する。それをSDGsの視点で振り返ると、確かに水には課題があるが、魅力的な部分もあること、一概に「水が足りないかわいそうな国」とは言い難いことを知る。さらに、ルワンダの村落部で「水の防衛隊」として活動していた富田隊員の映像を視聴する。

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映像に映った富田隊員の話を真剣に聞く生徒たち

富田隊員に、Zoomを活用して、オンラインでお話を伺い、現地の様子を質問してみる。

情報として知った「水が不足している地域」を、実際そこに生活し、水課題の解決に取り組んだ人の声を聞いて理解を深める、という流れです。

東京にいる富田隊員から、ルワンダの話を聞く

【画像】四国中央市土居町で、ルワンダの村落部の水事情について話ができる人を探すのは難しいですが、オンラインシステムを活用すれば、そのハードルはグンと下がります。そこで、映像にも出ている、3月に帰国してきた富田隊員に30分ほど現地の様子や活動を話していただきました。

大学卒業後、化学メーカーに就職した後、途上国の人たちに役立つことがしたい、と協力隊に参加した富田隊員。現地での実際の写真をまじえながら、千の丘の国とよばれるルワンダで、丘の下にある水源までの水くみ仕事がいかに大変か、そしてその水の衛生状況が健康リスクにかかわっていることなどお話しくださいました。そして現地の人たちに「手洗い」や「水を入れる容器の洗い方」を教えたり、井戸を使い続けられるような維持・管理方法を共に考えたりといった活動をお話しくださいました。

オンラインを通じて語られる富田隊員のルワンダの話に、生徒の皆さん、いつも以上に真剣に耳を傾けており、青年海外協力隊の活動や、国際協力に興味を抱いた生徒もいたそうです。録画してある映像教材、そしてオンラインでの生の配信が全国、全世界あちこちでの学びの機会となっていけばと願い、またその一助となるよう取り組みます。

八星 真里子
教育コンサルタント(元・JICA広報室)

奈良市立都祁小学校の事例

奈良市立都祁小学校における本マルチメディア教材の活用や、富田隊員・ルワンダ現地と接続したオンライン授業について、論文で取り上げていただきました。
木村裕、中陽佑「小学校の外国語活動における開発教育の実践事例の検討-実践を進めるうえでの検討課題と取り組みのあり方に焦点をあてて-」『人間文化』(滋賀県立大学人間文化学部研究報告)49号、2020年、pp.32-43

このページで紹介している教材

世界につながる教室-授業で使える映像教材-(水と世界・ルワンダ・国際協力)

私たちが生きていくのに欠かせない「水」は、国境を越え世界をめぐる大切な資源でもあります。その水をテーマに、「水と世界」「国際協力」を知ることができる、授業でも活用しやすいショート映像を用意しました。舞台としたのは、ICT分野など発展しつつも、水においてはまだまだ課題のあるルワンダ。この国の概要や、ここに暮らす少年の一日、水分野の国際協力に携わる人々のインタビューなどがあります。また、この映像教材を授業で使うヒント、学校の先生方が実際に途上国現場に学びに行けるJICA教師海外研修や、JICAの開発教育支援事業についての紹介映像もございます。