JICA南アジア部 日印協力の果実・デリーメトロを紹介する

2022年11月8日

オンラインセミナーで活用

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オンラインセミナーでは、教材にも出演しているデリーメトロ公社の広報部門Principal Executive Directorを務めるAnuj Dayal氏が登壇しました。

2022年9月28日に開催したオンラインセミナー「【日印協力のシンボル、デリーメトロの20年】デリーメトロは人を運ぶだけじゃない!?インドの生活にもたらしたものとは?(JICAによる日本・南西アジア交流年シリーズ第3弾)」で、JICA-Netマルチメディア教材「デリーメトロが人々の生活を変える -JICAが協力するデリーメトロ整備-」を上映しました。
本セミナーは、今年で日本とインドの国交樹立70周年を迎えたことを節目に、JICAが長年に渡って協力してきた「デリーメトロ」について紹介するものです。
セミナーでは、教材にも出演しているデリーメトロ公社の広報部門Principal Executive Directorを務めるAnuj Dayal氏が登壇し、いまや世界最大級のメトロとなったデリーメトロが、インド人の日々の生活、環境、価値観、そして社会全体にどのような変化や影響を与えたのかについて説明しました。

インドの人々の生活や行動を変えたデリーメトロ

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デリーメトロの現在1日の乗客数はおよそ500万人、全長はおよそ390キロメートルにも及びます。

インドの首都デリーで、市民の交通手段として親しまれているデリーメトロ。本教材では、日印協力のシャイニング・イグザンプルとも呼ばれるデリーメトロについて、日本の協力によって浸透した、1)安全管理・工期遵守、2)整列乗車・定時運行、3)女性専用車両・障害者配慮、4)環境負荷軽減、などの社会インパクトをDMRC(デリーメトロ公社)及びJICAの関係者のインタビューを交えながら紹介しています。
JICAは開業前の1995年から、安全で誰もが安心して利用できる現在のデリーメトロの整備に貢献してきました。デリーメトロがインドにもたらしたものは、単純な交通の利便性だけではありません。日本を参考として、女性専用車両や防犯カメラの導入によって女性が安心して利用できるメトロを実現し、より多くの女性がデリーメトロを利用することで女性の社会進出を後押しました。また、交通渋滞によって深刻な大気汚染が広がっていたインドにおいて、デリーメトロの整備により、自動車等による温室効果ガスの排出が抑制され、2011年~2018年の間で年間約53万トンのCO2の削減が見込まれています。

日印協力の成果を広く一般へ

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デリーメトロ公社では現在、女性の雇用推進にも取り組んでいます。

登壇者によるプレゼンテーションの後、本教材を上映しました。セミナーには、70名以上の参加者が参加しました。
本セミナーのアンケートでは、回答者の約8割が「よい」、「大変よい」との回答をいただきました。具体的な感想としては、「歴史的にみても、宗教を生み出してきたインドは、新しいことに取り組むのが得意なのでしょうね。メトロについても、驚きました。素晴らしいです」「女性専用車両の確保が女性の社会進出に影響を及ぼしているという点が印象深かったです」「インドの内側から見たデリーメトロの貢献度が写真とコメント等により多面的かつ大変分かりやすく表現されていると思います」「デリーメトロと日本の協力、特に定性的な効果についてよく理解ができました」等のコメントをいただき、デリーメトロへの理解が深まったことが伺えました。
教材ではデリーメトロの成果を具体的な例をあげて簡潔にまとめられており、長さも11分と短いため、セミナーはもちろん、国際協力の授業の教材として、展示会場での上映等様々なケースで使用することができます。
本教材でインド社会に対するJICAの国際貢献について触れ、多くの人々が国際協力に興味を持ち、理解を深める助けとなることを願います。

阪本 昌則
JICA南アジア部南アジア第一課 調査役

このページで紹介している教材

デリーメトロが人々の生活を変える -JICAが協力するデリーメトロ整備-

JICAが長年にわたり協力を行い、シャイニング・イグザンプルとも呼ばれるデリーメトロ(デリー高速輸送システム建設事業)について、日本の協力によって浸透した、1)安全管理・工期遵守、2)整列乗車・定時運行、3)女性専用車両・障害者配慮、4)環境負荷軽減、などの社会インパクトをDMRC(デリーメトロ公社)及びJICAの関係者のインタビューを交えながら紹介するもの。
デリーメトロを例に、インド社会に対するJICAの貢献を紹介すると共に、日印の国際協力について理解を促進する。

関連案件:デリー高速輸送システム建設事業フェーズ1~4