【TICAD9に向けて】アフリカ人留学生の更なる飛躍を後押し:ABEイニシアティブ研修員との交流会を実施しました

2月28日、「ABEイニシアティブ」プログラムを通じて2022年度に来日したアフリカ人留学生(以下、ABEイニシアティブ研修員)の代表33人が、日本・アフリカ連合(AU)友好議員連盟所属の国会議員、日本企業関係者、およびアフリカで事業を行うJICA海外協力隊経験者らと交流しました。今回のメインセッションであるグループディスカッションでは、アフリカと日本の架け橋を目指す研修員たちと、彼ら・彼女らを激励する日本関係者との間で活発な意見交換が行われました。

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日本とアフリカの架け橋を目指して

今回の交流会は、半年から1年先に帰国を控えたABEイニシアティブ研修員に対して、以下2つを目的として開催しました。
① 研修員の帰国後の活躍に向けた日本関係者からの期待の共有
② 研修員の帰国後の活動において重要なパートナーとなる日本企業関係者やアフリカでの社会課題解決に取り組む日本の若者(JICA海外協力隊経験者)らとのネットワーキング機会の提供

交流会の冒頭、AU議連会長である逢沢一郎議員からは、AU議連はアフリカの応援団であり、ABEイニシアティブ研修員をぜひ応援し、日本とアフリカをWin-Winの関係にしていきたい旨、また研修員の方々には、日本での経験を活かし、日本企業への就職や母国での起業など、様々な形で日本とアフリカの架け橋となり、それぞれの国・立場から活躍してほしい旨、激励の言葉が贈られました。

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研修員に激励のメッセージを送る逢沢一郎議員

日本での学びを生かして日本とアフリカの課題解決へ

研修員代表の挨拶を務めたウガンダ出身のワムビ・ジョサム・マーティン氏は、小さい頃から「MADE IN JAPAN」の商品に囲まれて育ち、日本に関心を持ったとのことで、「トヨタ、ソニー、東芝といったブランドを生み出した技術革新の国である日本で学びたいという思いは、東アフリカで広く共有されています」と語りました。

ABEイニシアティブ研修員として2022年に来日したワムビ氏は、現在、山口大学でデータ分析と機械学習について学んでいます。IT・AI・IoTを活用して社会課題解決を目指す株式会社スカラにおけるインターンシップにて、愛媛県伊方町が直面する医療課題を調査したことを契機に、高齢者の慢性疾患をリアルタイムでモニタリングする技術を開発する研究を開始しました。

この研究の成果を踏まえて、ワムビ氏は、山口県宇部市の医療を変革することを目的としたスタートアップ、「ケンコーコネクト」を設立しています。2023年5月に開催されたクリエイティブ・ビジネス・カップ・ジャパン・ピッチにおいては、ライフサイエンス・イノベーション特別賞を受賞しました。

「このベンチャーは単なるビジネスではなく、日本とウガンダ、そしてアフリカ大陸をつなぐ架け橋となるものです」と語るワムビ氏。日本での学び、そしてインターンシップでの経験を最大限に活かし、今後日本とアフリカのために大いに活躍していきたい、と力強く今後の目標を語りました。

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研修員代表挨拶を行うワムビ・ジョサム・マーティン氏

連綿と続いていくABEイニシアティブ研修員の絆

「今回の交流会は自分の視野を広げるきっかけとなりました」と語るナイジェリア民間セクター出身のイディアロ・アブドゥラジズ氏は、国際大学で国際経営学について学び、日本企業とナイジェリア市場を繋ぐオンラインマーケットプラットフォームの立ち上げを目指しています。

今回参加したグループディスカッションでは、自分の国で抱える課題が他の国でも共通していることに気付く機会になったと話します。「アフリカが一つとなるために、そしてアフリカと日本、お互いがWin-Winの関係で寄り沿うためにも、ABEイニシアティブ生のつながりは非常に重要だと感じます」。イディアロ氏は、アフリカ全体が協力し合うこと、また日本と協力していくことの重要性について語りました。

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国際大学で学ぶイディアロさん(左) とABEイニシアティブ修了生のシャイマさん(右)

「“Senpai”(先輩)として自分の話をプログラム修了後の一つの例として共有できたことが嬉しかった」と語るのは、ABEイニシアティブを経て、現在は日之出産業株式会社に就職し、海外プロジェクトを担当するモロッコ出身のムリーベト・シャイマ氏。今後のビジネスパートナーにもなり得るような研究を行う研修員との出会いもあり、非常に有意義な時間を過ごせたと話してくれました。

シャイマ氏が働く日之出産業株式会社は、横浜市に本社を置く排水処理の専門企業で、これまでに50名以上のABEイニシアティブ研修員を受け入れています。「ABEイニシアティブインターン生が参加するFacebookグループがあり、新しいインターン生を受け入れた際には、過去のインターン生を招いてオンラインミーティングをしています。“日之出ファミリー”としてのABEイニシアティブの繋がりを今後も大切にしていきたいです。」かつては、自身も本企業のインターン生だったシャイマ氏。現在は、受け入れ企業の一員として、アフリカからの留学生の受け入れにも携わっています。

「ABEイニシアティブとの出会いは私の人生を変えました」

IT教育(プログラミングスクール「ディープロ(DPro)」)・人材紹介・アウトソーシング事業を展開する株式会社ダイビックは、ABEイニシアティブ研修員のインターンを受け入れる企業の一つです。ABEイニシアティブ生のインターンを受け入れたことをきっかけに、スクールのカリキュラムを英語・仏語・西語に翻訳し、アフリカの若者にWebアプリ開発や機械学習を就業レベルまで学べる講座を提供しています。

「インターン生を受け入れるまでは、アフリカでのビジネス展開は考えてもいませんでした」と語る野呂浩良代表取締役は、インターン生から聞いたアフリカの「現場の声」をきっかけに、アフリカへのビジネス展開を検討。アフリカ全土にIT教育と雇用の機会を届けるため、現地のコンピュータサイエンス系大学への寄附講座の提供やアウトソーシング事業を展開していくビジネスモデルは、日本政府からも注目されています。

第7回アフリカ開発会議(TICAD7)ではアフリカ・日本スタートアップピッチに登壇した野呂氏。「TICAD7の際、偶然にも隣の席に座っていた日本人女性が今のビジネスパートナーとなり、妻となりました。まさにアフリカとの出会いが人生を変えたのです」とのスピーチには、会場が驚きに包まれました。

まさにABEイニシアティブとの出会いが公私ともに影響を与えた野呂氏、「人との出会いを何よりも大切にしてほしい」とスピーチを締めくくると、会場からの割れんばかりの拍手が送られました。

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研修員にメッセージを贈る株式会社ダイビックの野呂浩良代表取締役

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