複数の前金払と部分払が混在する場合の取扱い

2021年7月5日
調達・派遣業務部

1.背景・経緯

コンサルタント等契約における「前金払」については、契約約款第16条(前金払)第1項において、「契約金額の10分の4を限度」と規定していますが、過大な前金払額の支払いを抑制するため、当機構の会計細則を改正し、契約履行期間が12ヵ月を越える場合は、契約金額全体の10分の4ではなく、12ヵ月分の10分の4を上限とすることになりました。

これを踏まえ、2020年4月以降に公示しているコンサルタント等契約については、契約履行期間が12ヵ月を越える契約について、契約書本体において前金払を複数に分割し、前金払の請求限度額を制限する運用を開始しています。

この場合、複数回の前金払と部分払が発生する可能性が出てきますが、その場合の「部分払」における「前金払金額の償却」方法について、案件ごとに発注者・受注者で合意する必要が出てきています。

この合意内容については、多様なオプションが取り得るため、これまで契約交渉相手先から要望があった場合に個別の協議を行っていましたが、当該協議には多大な時間を要することとなっています。

そのため、前金払と部分払が混在する場合の取扱いにかかる基本的な対応方法を以下のとおり整理して解説しますので、複数の前金払が設定されているときに契約交渉に際して部分払を提案される場合や契約変更で部分払を追加する場合、予めご理解いただきますようお願いいたします。なお、以下の運用により難い場合は個別に対応いたしますので、ご相談ください。

2.前金払上限の設定

契約履行期間が12ヵ月を超えるため、前金払の上限額を契約金額の4割未満に制限する必要がある場合、企画競争説明書/入札説明書において、制限の内容を記述しています。例えば、契約履行期間が32ヵ月である場合に以下のとおり規定していました。
1)第1回前金払(契約締結後):契約金額の15%を上限とする。
2)第2回前金払(契約締結13ヵ月以降):契約金額の15%を上限とする。
3)第3回前金払(契約締結25か月以降):契約金額の10%を上限とする。
前金払の制限については、原則として、この規定のとおりとさせて頂きます。

上記は、契約履行期間中にほぼ均等に経費が支出されることを想定したものです。一方で、例えば、支出が均等ではなく1年目に集中する場合など、当該制約では契約業務の適切な履行に影響があると考えられる場合は、制約条件の変更について協議させて頂きますので、ご相談ください。

3.前金払の全額償却

複数の前金払と部分払が混在し、部分払の後に前金払が発生する場合、過払いを防ぐとともに、簡潔な計算とするため、部分払に際して、先行する前金払の金額を全額償却して部分払の請求額を算定することとします。部分払に関する契約約款の条文を契約書本紙の部分払の条項において、以下の通り上書きします。

【契約約款】
第17条
7 前項に定める部分払金の額は、次の式により算定した金額を上限とする。この場合における契約金相当額は、受注者が提出する契約金相当額計算書に基づき、発注者が定め、受注者に通知することとする。
第1項の契約金相当額 ×[10分の9 - 前金払の額/契約金額]
【上書き内容】
第1項の契約金相当額 × 10分の9 -(前金払の額)

例えば、以下の支払方法が想定されます。先行する前金払の金額を全額償却する都合上、部分払は先行する前金払の全額償却が可能な時期で設定する必要があります。

【支払方法例】

1)第1回前金払(契約締結後):
契約金額の15%を上限とする。
2)第1回部分払:
第2回現地セミナー実施までの業務を対象とする。
(第一回進捗報告書に基づき、業務履行の完了確認を行う。)
部分払の上限額は次式により算出した金額とする。
【第1回部分払の契約金相当額】×(10分の9)-【第1回前金払の支払額】
3)第2回前金払(契約締結13ヵ月以降):
契約金額の15%を上限とする。
4)第2回部分払:
母子手帳運用ガイドライン作成までの業務を対象とする。
(第3回進捗報告書に基づき、業務履行の完了確認を行う。)
部分払の上限額は次式により算出した金額とする。
【第2回部分払の契約金相当額】×(10分の9)-【第2回前金払の支払額】
5)第3回前金払(契約締結25か月以降):
契約金額の10%を上限とする。

(注)部分払の時期、回数によっては、過払い防止のため、その後の前金払の上限が変更になる可能性があります。

この方法で計算する場合の、契約書本体及び部分払の契約金相当額計算書は以下の通りとします。

【契約書本体】

【部分払】

なお、当初契約に含まれない部分払や前金払を追加する際は、三者打合簿にて上記の計算方法を合意し、前金払を追加する場合は追って契約変更を行います。
本運用については、7月15日以降に契約締結の案件及び同日以降に部分払を追加する前金払が複数設定されている契約に適用します。

4.その他留意事項

契約期間の全体にわたって、主管部門の監督職員とともに支払計画と支出実績の適時な把握の励行をお願いいたします。特に、契約締結後に当初の契約にはなかった部分払(場合によっては前金払)の追加を検討する場合には、契約期間の開始時点に遡って支払方法、支払時期及び支払金額を点検し、契約期間をとおして適切な支払い計画とすることにつき、ご協力をお願いいたします。

以上