平成21年11月
業務の適正性、経済性・効率性の確保について
契約における競争性の導入状況等について
- 1 . 関連公益法人との競争性のない随意契約について、関連事業部と協働し、特に高い質の確保が求められることを随意契約の理由としているものについて、プロポーザル方式等を20年度から大幅に導入している。
- 2 . 第三国調達支援事務所以外の事務所による第三国調達も可能であり、必要があれば、そうした事務所と協議して調達を依頼できる。ただし、事務所が設置されていない近隣国となると、その国における企業情報や当該機材に係る市場情報をどうやって調べるか等、難しい問題もある。有力な情報が得られ、かつ、契約リスクを避けられる等の条件を満たすのであれば、第三国企業との直接契約も認められている(平成18年10月19日付調達部長通知。)。また、1000万円を超える現地調達については、調達計画をJICAホームページに事前公表し、当該国以外の企業に対しても現地調達参加への門戸を開いている。「一定のものに係る日本での購入」については、在外事務所備品のパソコンソフトウェアライセンス等が該当し、実施済みであり、今後も該当するものが発生すれば対応したい。特命随意契約については、当部として必要な指導を在外事務所等に対し行っているが(特命随意契約を避ける、やむを得ない場合は対外的理解可能な説明を残す等)、ご指摘の点も合わせ、今後とも徹底を図りたい。
- 3 . 在外事務所での契約では、当該国で契約できる企業台帳の整備の必要性を調達セミナー等で指導しており、企業情報を得るにあたって他の援助機関や当該国政府機関の調達先の情報も得るように指導することとする。
プロポーザル方式契約締結後の特命随意契約について
当初から複数年にわたる実施が想定されている業務または事業に係る契約に関し、「複数年度契約に係る事務取扱いについて」(20年8月1日付財務部長通知)を定め、複数年度契約とする契約の具体的な要件や、承認の手続き等の事務手続きに関し、職員に周知した。なお、国内機関の建物管理契約については、複数年度契約の適用を検討したが、一定期間の質の確保が求められることから、毎年の競争契約や3年の期間の短縮は困難であると考えられる。特に、毎年度の契約更新では、毎年の実績評価により業務の質を確保するとともに、業務仕様、契約額見直しによるコスト削減が可能であるのに対し、複数年度契約で毎年度契約を見直す方法ではこれらの点を十分に確保できないため、従前と同様の契約方法とした。
コンサルタント契約(業務実施契約)について
- 1 . 現地調査費において定型的なものは、定額支給を試行している。精算時の事務の軽減のために、精算以前に何度かに支払い行為を分け、精算確定していく方法も取っている。平成20年度において、受注者からの成果品引渡し後、受注者からの請求に基づき精算確定額の概算額(契約金額の90%以内)を精算確定に先立って支払う方法(概算払い)の実績は354件中66件(18.6%)と改善されている。まずは精算確定に先立っての概算払い制度を更に紹介し、定着していくよう取組むこととする。また、概算額を契約金額の90%を超えて支払うことについては、業務実施契約における成果品引渡し後、契約書に基づく検査のステップを要することから、慎重に検討する必要がある。
- 2 . 平成20年11月に不可抗力に関する通知の制定を行い、現地作業期間中の待機について、待機期間に応じて直接人件費等を支給するよう対応済みである。
経理体制の強化について
以下のとおり、在外事務所経理体制の強化のための対応・検討をしている。
- 1 . 駐在員事務所に係る契約担当役の事務について、21年度より在外から本部に移管するべく、体制等について検討中である。それ以上の経理事務の移管については、在外における現地事情・商習慣の正確な把握が本部では困難であることや、費用対効果に係る課題もあり、慎重に検討してまいりたい。
- 2 . 経理人材育成業務の実施方針を策定した(2009年1月26日付決裁)。この中で経理業務においてナショナルスタッフに期待する業務レベルを明記した。具体的には、事業担当者と経理担当者に区分し、経理担当者については、会計機関の管理下において予算執行の仕組みを理解し決議書等の起案を行うとともに、経理システムでの入出金処理、振替伝票等の起案、月次報告書類の作成ができることを期待している。このため、事務所におけるOJTとともに、別途、ナショナルスタッフを対象とした経理研修を実施していくこととしている。
- 3 . 新たに再任用を希望する職員がおらず、現時点では経理経験のある職員の再任用はできていないが、今後とも、再任用を希望する者の適性・能力を勘案の上、可能な場合には活用を図っていくこととしたい。
- 4 . 現時点では、総合職管理職層で経理部門を希望しているものはおらず、転向は実現できていない。種々の経理体制強化策の中で、転向を奨励することの妥当性や実現可能性等を見極めた上で、本件取り組みの是非を検討したい。
- 5 . 本部の決算に関連する業務については、平成20年度から専門会社に一部業務を委託した。在外事務所における業務委託や専門機関からの人材派遣、出向者の受入れ等については、是非を検討したい。
事業要員にかかる縦割り予算から横断的予算への移行と有効活用について
在外事務所の業務やニーズに効率的に対応した体制を構築すべく、予算、業務内容、職名が異なっていた在外事業支援要員(企画調査員、ボランティア調整等)の制度の見直しを行った。具体的には、現地のニーズに応じて、より柔軟に事業支援要員の業務を実施できる制度に改善した。
国際緊急援助活動における費用負担等について
1)費用負担について
予防接種に関して、本年(平成21年)4月、防衛省、外務省との三者協議を実施。当方より効率化(接種内容や対象者の絞り込み)と説明責任(接種記録の提供)の観点から問題意識を説明のうえ、防衛省側での内部検討を申し入れた。継続協議予定。
2)支払い手続きについて
上記三者協議の進展を見つつ協議事項としていく方向。
法人契約型技術協力プロジェクトの見直しについて
- 1 . 課題部にて調査研究を実施し検討したが、現時点で一律の基準設定は困難。協力課題毎の契約実績/情報を各課題部に蓄積し、関係者と共有できる体制作りを進め、体系化を進展させたい。
- 2 . 課題部内で業務指示書のあり方を検討中であるほか、課題部新規配属職員への共通研修を2ヶ月に1回の頻度で実施中。このような取組みを通じ、業務指示書に限らず業務の質の向上を図ることとし、技術審査に関する専門部署の設置は当面行わないこととしたい。
事業効果に関する事項
ボランティア事業と相手国とのパートナーシップの育成について
途上国や国際機関における新たなボランティアプログラムの創設に際し、JICAの44年におよぶボランティア事業の経験と実績が評価され、平成19年度には、ポーランド、アフリカ連合(AU)からの調査団を受け入れた経緯がある。その後、国連ボランティア(UNV)関係者との協議により、制度設計等で検討段階にあるアフリカ連合ボランティア(AUV)について、相互に支援していく必要性を確認した。また、カンボジアで開催された国際ボランティア会議(IVCO)では、国際ボランティア派遣団体が派遣国へ与える効果やインパクトについて参加国(50名)と協議を行った。
海外長期研修制度における地域性・言語性を重視したオファー型留学について
- 1 . JICAの協力重点地域や援助人材が不足する地域の専門家育成の必要性・重要性については従来より指摘されており、平成20年度募集からは募集分野(研修テーマ)を提示する際にテーマの中に地域研修や語学研修を含め、地域的専門性を有した人材の育成に取組んできた。
- 2 . 海外長期研修はこれまで「JICA職員枠」と「一般募集枠」とで形成されていたが、23年度派遣分より職員に対しては人事部主導の留学制度が設けられ、切り離される予定のところ、海外長期研修については一般募集における人材養成・活用計画の再検討を行う予定。右検討において、具体的に研修内容(含む研修実施場所の指定等)にまで踏み込んだオファー型研修の実施可能性について、人的ネットワーク構築も視野に入れて検討していくこととする。
- 3 . なお、帰国後の活用については、市場からの人材の調達が進む中、公平な競争性を確保しつつ優秀な人材が引続き国際協力の現場で活躍できるようにフォローアップ(各種情報提供)を図っていく所存である。
その他
JICAの技術協力における施設の建設や資機材の調達等に関する契約の競争性、透明性の向上に向けた取組の状況及び落札率の状況について
21年度支援要員の派遣は、在外事務所の早急なる調達機能強化のために、在外事務所からの要請ベースではなく、機材調達支援業務で提供する契約事務への段階に応じた助言・支援(スポット支援)や仕様書作成から入札評価までの契約手続きの包括的支援(パッケージ支援)の促進を図り人員を戦略的に配置することとした。また、機材調達内規の整備、予定価格作成方法の指導を行うと伴に、赴任前研修等の研修の充実を図るべく取り組みを進めている。この点は今年度在外事務所長会議の全体会議及びグループ全域において各所長に説明済み。
以上
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