ースタートアップチャレンジへの道のりー より良い生活のために人々を繋げる JICA研修員インタビュー Vol.1

#11 住み続けられるまちづくりを
SDGs
#16 平和と公正をすべての人に
SDGs
#17 パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs

2024.03.28

村岡所長と対談

広島大学在学中のJICA留学生、RADYAN PUTRA PRADANAさん(以下、プラダナさん)が同大学の他のインドネシアからの留学生と共にエントリーをしたチームが、「東広島市・学生発スタートアップチャレンジ2023」にて採択された10件の1つとなりました。チームメンバーであり、昨年9月に博士課程を修了した元JICA留学生のREZA ABDULLAHさん(以下、レザさん)と共に、JICAインドネシア事務所での勤務経験を持つ所長の村岡と対談し、スタートアップチャレンジに応募したきっかけ、日本での生活、日本語について、更には、日本インドネシア両国関係の今後の発展について、語りあいました。有意義な時間となりましたので、2回に分けてお届けします!

左より、プラダナさん、村岡所長、レザさん、民間連携事業担当:藤原

JICA中国:藤原 寒い中お越しいただきありがとうございます。スタートアップチャレンジの採択おめでとうございます。まず、お二人についてお伺いします。広島大学とJICA中国がある東広島市に来る前は何をされていたのでしょうか。

プラダナさん この貴重な機会をいただきありがとうございます。私はインドネシアで公務員として、また研究者として、気象気候地球物理庁で働いてきました。2008年から15年間働いていました。東広島に来てからは広島大学で博士号を取得するためにJICA SATREPS プロジェクトにてインドネシアでの低炭素グリーン建築設計の開発を研究しています。東広島市は、留学生も多く、彼らと交流したり勉強したりするのがとても快適です。日本の多くの大都市のように混雑していないので、とても快適だと感じています。生活の質が非常に高い東広島に住むことができてとても幸せです。

レザさん とても光栄な機会をいただき、本当にありがとうございました。私も、プラダナさんと同じ公務員として、国土交通省でシステム情報アナリストとして働いていました。子供の頃日本のアニメをよく見ていましたが、今のように私が日本にいることは想像できませんでした。JICAのおかけで日本に来る道を切り開くことができました。広島については、歴史上、原爆ドームを知っていましたが、あいにく東広島市、この西条というエリアは聞いたことがありませんでした。インドネシアに居たときは、住まいも仕事も首都圏だったので、自宅から会社まで、1時間半ぐらいかかることもありました。東広島に住み始めてから効率的に時間を使うことができます。家族との時間も増えました。

JICA中国所長:村岡(以下、所長) 私は2023年の3月までインドネシア事務所にいたので、貴方たちの話を聞いてジャムカレット(ゴム時間※)を思い出しましたよ。この東広島に滞在してからの幸せの話を聞きましたが、反対に困難だったことや大変だったことは過ごしていてありましたか?

プラダナさん 初めて東広島に来た時のことをよく覚えています。新型コロナウイルス感染症の真っ最中でした。隔離を必要とする時でした。日本に出発するまで、特に東広島市に来るまでが大変でした。講義がスタートしてからは、授業はオンラインで参加しました、外にも出られませんでした。私にとってはとてもストレスを感じる環境でした。

レザさん 私の経験は、今回のスタートアップ企画に参加する一因となりました。一緒に来日した妻がここ西条で娘を出産したのですが、妻は線維症になり体に痛みを感じたのです。22時か23時でした、息が苦しいと妻が言い出したのです。私は救急車を呼んで彼女を病院へ送り届けなければなりません。大変な状況でした。電話をかけなくてはならないのに、その時の私は日本語を話すことができません。夜中まだ起きている友人に電話を掛け支援をお願いしました。救急病院に辿り尽きましたが、医師、看護師とも英語を話せませんでした。再度友人に電話をし、通訳をしてもらいながら私は妻にインドネシア語で通訳をします。とても時間がかかりました。妻も大変だったと振り返ります。

所長 それは大変でしたね。奥様はその後元気になったようで良かったですね。お話を聞いて、スタートアップの課題に取り組む理由の一つがわかりました。ここ東広島市に住む外国籍の人達の状況についてはどう感じますか?特に困難なのはやはり、緊急で病院に行くときですかね。

プラダナさん 特に、初めて日本に住む外国人は皆そうだと思います。日本の大学に留学するまでも非常に限られた範囲で準備しました。私達の様に特別な分野の知識・スキルを持った者でも、コミュニケーション能力、日本語能力という点では、それほど十分ではありません。私達インドネシア人だけでなく、他の国から来た外国人にとってもかなりチャレンジングなことです。もちろん母国と日本両国の違いにカルチャーショックを受けることはごく普通で当たり前のことですけれど。

所長 そうですね。私もインドネシア駐在中は、病院で医師とコミュニケーションをとるのが大変でした。私の症状を詳細に、正確に英語で説明することができませんでした。スタートアップチャレンジに参加するにあたって、このアプリを開発するのにどのような苦労がありましたか?

レザさん 私達はまず短期、中期、長期のロードマップ(進行計画表)を作成しました。短期的には、通訳者及び外国人技能実習生を受け入れ可能な協働組合とコラボレーションを行う予定です。広島大学に通う留学生は3. 4か国語を話します。そのうちの1か国語が日本語ですね。しかし、彼らは自分のスキルの使い方を知りません。通訳としてアルバイトで経験を積むことは、学生の更なる日本語学習の励みになると確認しています。広島には多くの技能実習生の受入れが可能な組合がありますが、インドネシアに限らず来日希望者の母国語を話す通訳者がいないことを理由に来日を断ろうとするケースがあります。しかし大学にはその国の言葉を話す留学生がいます。ここを繋げることができれば、通訳者によって効率的かつ効果的に需給をマッチさせることができます。

プラダナさん 多くの外国人が、コミュニケーションの問題でいかに苦労したかの経験を他の人々と分かち合いました。毎年多くのインドネシア人が来日しますが、同じような問題が繰り返し起こります。

レザさん 2つの困難を感じるパターンがありますが、1つ目は一般的な生活に関するものです。インドネシアでは大多数がイスラム教徒で、1日に5回礼拝をします。そのため礼拝場がイベント会場近くにあると多くの活動に参加できて助かります。また、食事についてもハラル食品があると助かります。日本ではおいしい食べ物の香りが漂っても、食べられるかどうかわかりません。食事をもっと楽しめたらと思います。2つ目は、来日目的に基づいた個人に関するものです。来日目的には2つあり、留学と仕事です。留学生として来日して大学では無償で日本語コースの受講ができました。困ったことがあれば行政に相談助けてもらえました。大変感謝しています。

仕事で来日するケースは年々増加しています。彼らは技能実習生なので、日本に来てすぐ働きながら必要な技能を習得しなければなりません。多くは日本語を上手に話すことができませんが、1年後には日本語の試験を受けて水準に達しない場合、継続して雇用してもらうことが出来ません。このような状態ですので来日当初は通訳者が同行する必要があります。通訳者は単に通訳するだけではなく空港の出迎えから、ゴミの出し方など日常生活に必要なルールを彼らに教え日本での生活が円滑に行えるよう支援する必要があります。広島ではインドネシアの外国人労働者送り出し機関としてつながっている組合が約170社ありました。組合はインドネシアの送り出し機関と日本の受入会社の間にいます。組合と技能実習性、特定技能実習生は継続した面談をします。組合は通訳のサービスが必要です。ここが今回このアプリケーション開発を提案した大きな理由の一つです。

所長 ありがとうございます。なぜあなたたちがここ東広島市の外国人住民をサポートするためにこのアプリを開発したのかもよく理解できました。先日、成果発表会が行われたそうですね。反応はいかがでしたか?

プラダナさん とても貴重な機会となりました。エントリー19組の中から10件の採択案件の1つに選ばれました。中でも私達は唯一の留学生参加者となりました。他のチームのアイデアも素晴らしかったです。私達はこのようなチャンスを知り、短い期間の間で、この問題を解決するために技能実習生や特定技能実習生らにインタビューをし、サンプルを収集するなど、一生懸命努力しました。私達は彼らのサポートをしながら、この種の問題を解決したので、参加できてよかったです。。

続きは、part2へ

発表会での様子(レザさん提供)

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