【富山県】実践報告!インドネシアの離島で取り組まれている「環境教育」授業

2025.03.12
富山県にある一般社団法人インドネシア教育振興会とJICAは、経済発展とともに年々深刻になるインドネシアのごみ問題や環境問題の改善を目指して2014年からインドネシアの環境問題解決のために協力してきました。2021年9月からは草の根技術協力事業として「インドネシア国離島でのデジタル教材と日本式授業研究を活用したSDGs環境教育支援プロジェクト」を実施しています。
これまでの取組みの中で確立した南タンゲラン環境教育モデルを応用し、南タンゲラン市より東に位置している小スンダ列島のタバナン県、西マンガライ県、クパン市に環境教育を広める活動を行っています。
環境についてのグループワーク風景
本プロジェクトでは、地方の教育局所属の教育関係者を対象に2023年9月に本邦研修を行い、「課題追及・問題解決型」の授業を学びました。研修後、参加者は「問題解決型学習(PBL)」の授業を実践することで、PBL授業のメリットやインドネシアで実践する場合の課題などについて理解を深めました。
さらに、2024年8月には、各地域からモデル教員を選定し、「南タンゲラン市研修」を行いました。この研修では、先行する南タンゲラン市のデジタル教材を活用した授業を観察し、実際に授業案作りも行いました。教育大学の先生のアドバイスを受けながら、活発な意見交換がおこなわれ、最後の授業案の発表にいたるまで全員参加型の研修になりました。その後、「南タンゲラン市研修」の学びを離島に広めるために、離島の教員を対象にした「授業研究アプローチによる環境教育研修」が2024年9月中旬に行われました。参加した教員は、「デジタル教材の適切な使い方を理解できた」「今までは教科書通りに教えていたが、児童の関心事項を知り、理解した上で、授業をする大切さを学べた」とこの研修を通して得た学びについて語っていました。
研修で開発したマテリアルを活用した授業
2024年10月からは対象地域の48校で「モデル校で環境教育の実践」が行われています。
従来のインドネシアの教育方法では「知識伝達・知識蓄積型」授業が行われていますが、対象地域の教員は9月の研修で学んだ、デジタル教材を活用し、オンライン授業やグループディスカッション、ワークショップなどを取り入れた問題解決型学習を実践しています。 その中の一つには、学校敷地内にコンポストを作成し、ごみの再循環に取り組んでいる学校もあります。
環境教育に「問題解決型学習」授業を組み合わせた実践的な授業を行うことで、児童は楽しく学ぶことができ、また、日本式授業研究の導入により教員間で交流が行われ、教員の指導意欲が高まり、継続的な学習につながっています。
対象地域のみならずインドネシア全土に「環境」教育が広がることを期待しています。
屋外での授業の実践
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