教室の向こうに広がる世界 - 教師海外研修inタンザニア



2025.09.09
この夏、JICA東京・JICA北陸合同で開催した2025年度教師海外研修(一般コース)の一環で海外研修が行われました。
この研修は、先生たちが普段の教育現場を離れ、世界の課題や多様な文化に直接触れることで、新たな学びを日本の子どもたちへ還元することを目的としています。
今年度はアフリカのタンザニアと、アジアのバングラデシュ。各コースに12名ずつ、あわせて24名の先生たちが参加しました。石川県からは白山市立東明小学校の先生がタンザニアコースに参加しました。11日間の研修を終え無事に帰国しましたので、その研修の様子をご報告します!
海外研修中は、小学校や中学校、障害児・者訓練校、職業訓練校など、さまざまな教育機関を訪問しました。現地の児童・生徒たちの生活や学びの様子、現地の先生たちの授業に触れることで、「教育のあり方は国ごとに異なる」ということを実感し、現場を肌で感じたからこそ、改めて考えさせられることも多くありました。
心に残った場面のひとつが、福井県からJICA海外協力隊に参加している巣守隊員が活動するムワンバオ小学校での交流です。子どもたちは「Karibu!(ようこそ)」と笑顔で迎えてくれ、日本から来た先生たちに興味津々。日本の文化を紹介する一環として、手つなぎ鬼や馬飛び、長縄、だるまさんがころんだといった遊びに加え、七夕の習慣も紹介し、短冊に願いごとを書く体験も一緒に楽しみました。
言葉は違っても、身体を動かして遊ぶうちに子どもたちの表情が和らぎ、写真に写る彼らの笑顔は、まさにそのひとときを物語っています。
だるまさんがころんだに大盛り上がり♪
長縄に挑戦!息を合わせてジャンプ!
一方で、視察を通じて教育現場の課題も垣間見えました。「将来の夢は?」と尋ねても、子どもたちからは具体的な答えが返ってこない場面もありました。日々の生活に一生懸命な子どもたちにとって、遠い未来を思い描くのは簡単ではありません。
参加した先生たちは、この現実に戸惑いながらも「教育が子どもたちの未来をつくる」という思いをあらためて胸に刻みました。
研修は学校だけではなく、JICAがタンザニアで行っている「有償資金協力」「無償資金協力」「技術協力プロジェクト」の現場も視察しました。例えば、電力インフラの整備、農業の振興などといった取り組みは、タンザニアの発展を支える大切な基盤になっています。
「国際協力」というと少し抽象的に聞こえるかもしれませんが、実際に現場を見ると、日本の支援が確かに形になり、タンザニアの人々の暮らしを支えていることが実感できます。先生たちからも「教科書やニュースで見るだけでは分からない、リアルな協力の姿を知ることができた」という声が上がりました。
今回の海外研修は短期間でしたが、参加した先生たちにとっては「知る」だけではなく、「問い直し」や「授業に活かす」ための大きなヒントを得る機会となったようです。同時に、タンザニアと日本の教育や社会の課題には共通点があることにも気づかされた、という言葉もあり、「異なる社会を見ることで、自分たちの教育現場を新しい角度から見直す」、そんな貴重な体験になったのではないでしょうか。
今後、先生たちはこの経験をそれぞれの授業に取り入れ、子どもたちが「世界とつながっている自分」を実感できるような授業を実践していきます。
海外での体験は終わりではなく、これから子どもたちに国際理解や多様性の大切さを伝える出発点。子どもたちが世界をより身近に感じられるきっかけになることを願い、JICA北陸としてもその取り組みを引き続き応援していきます!
仲間とともに歩んだ11日間 - 帰国前の報告会にて
未来へつなぐ想いを込めて、みんなで「エイエイオ~!」
scroll