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食で世界はどこまで近くなる? -教師海外研修 授業実践レポート@白山市立東明小学校-

2025.12.01

教師海外研修は、教員が実際に開発途上国を訪問することにより、途上国の現状や国際協力の現場、途上国と日本との関係に対する理解を深めることを目的に、2025年6月28日より実施しています。帰国後は学校現場での授業実践等を通じて、その経験を児童生徒の教育に役立てていただきます。

JICA北陸とJICA東京との合同開催として行われ、1都7県(石川・東京・埼玉・千葉・群馬・新潟・長野)から地域・校種・教科の異なる24名の先生達が、タンザニア(7/22~8/1)とバングラデシュ(8/5~8/14)のコースに分かれて参加しました。

◎教師海外研修について詳しくはこちら

今回は、タンザニアコースに参加した白山市立東明小学校の水島一真先生が研修で得た経験をもとに実践した授業(対象:6年生)を訪問しましたので、レポートします。


児童たちのワクワクが広がる教室

授業のテーマは 「世界にはどんな食文化があるかな?」。でも、今回はただの調べ学習ではありません。
教室には、教師海外研修で海外に行った先生方が勢ぞろい。タンザニアに行った水島先生はもちろん、同じ研修に参加した先生が埼玉県から来校。さらにオンラインではタンザニアやバングラデシュコースに参加した他県の先生ともつながり、校内からはカナダ出身のALT(外国語指導助手)の先生も加わりました。まさに、それぞれ異なる国の“リアルな食文化”に触れてきた先生が集まる、特別な授業です。児童たちにとっては、その場で“本物の話”を直接聞ける貴重な時間。教室はワクワクした雰囲気に包まれていました。

「水島先生!ウガリってどうやって食べるんですか?」

授業が始まると、児童たちの質問は止まりません。水島先生は、現地の主食「ウガリ」や学校の食事情について、写真とともに紹介。児童たちは、初めて見る食文化に驚きと興味を隠せず、目を輝かせながら話に耳を傾けていました。

トウモロコシの粉×水=ウガリ。これぞタンザニアの定番です。

「はい!はい!」世界の食文化に、質問が止まらない!

オンラインの向こうから届く“バングラデシュやタンザニアのリアル”

続いて、教師海外研修に一緒に参加した他県の先生がオンラインから登場。画面越しに語られる現地の食文化やスパイスの話は、児童たちにとって新鮮そのものです。
「カレーの種類ってどれくらいあるの?」
「毎日手で食べるの?」「どんなスイーツがあるの?」
児童たちが次々と画面の向こう側にいる先生に質問する姿は、まるで海外と教室がつながる瞬間そのものです。写真を見ながら、バングラデシュやタンザニアの暮らしをよりリアルに感じることができた時間でした。

「先生、みんな手で食べてるの!?」バングラデシュでの食事の様子にビックリ!

教室に“リアルな声”が集まり、児童たちの興味が行動に変わる

水島先生をはじめ、世界を知る先生たちが1つの教室に集まることで、児童たちの学びは一気に立体的になりました。本棚から気になる本を手に取り、自分たちでも世界の食文化を調べようとする姿も見られ、日本との違いを楽しそうに探っていました。
「同じ“手で食べる”でも、国によって理由が違うんだね!」
「日本と似ているところもあるんだ。」
「もっと他の国の食べ物も知ってみたい!」
授業の終わりには、そんな声があふれ、児童たちが“世界を遠い存在ではなく、自分に近い存在として捉え始めた”ことが伝わってきました。

「どの本が世界のごはんを教えてくれるかな?」水島先生と一緒に本選び。

 「似ている?違う?」世界のごはん事情をみんなで共有!

現地で学んだからこそ届けられる授業

今回は、教師海外研修で得た経験を教室に持ち帰り、共有することで児童たちの学びを豊かに広げていく授業の実践でした。海外で学び、そこで得た気づきを児童たちに伝える― その一言一言が、新しい興味や問いを生み出していきます。教師海外研修は、こうした“教室に還る学び”を生み出すプログラムです。

先生の体験が、児童たちの新しい学びを生み出す瞬間。

黒板いっぱいの“気づき”。世界を知るほど学びが深くなる。

来年度、この教室に立つのはあなたかもしれません!

世界で学んだ経験は、児童・生徒たちの心を動かし、先生自身の授業づくりにも新しい視点や広がりをもたらします。教科書だけでは伝えきれない文化や価値観を実感し共有できるため、授業に“本物のエピソード”を取り入れることができます。
「児童・生徒たちに世界を身近に感じてほしい」、「自分自身も一歩踏み出してみたい」そんな思いを持つ先生方に、教師海外研修はピッタリの機会です!みなさんの挑戦が、きっと北陸の子どもたちの“ワクワク”を育む力になるはずです(2026年度は4月頃募集開始、夏頃現地渡航予定です)。

左から澤田将智先生(埼玉県立大宮東高等学校)、水島一真先生、平木裕子校長

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