【福井県】福井大学連合教職大学院で考える、より良い学びのかたち
2026.07.10
JICA北陸でのOJTの一環で、福井大学連合教職大学院を訪問しました。
教育水準の高さで知られる福井県では、大学、自治体、教育委員会、学校現場が連携し、授業研究を軸とした教員養成が行われています。また、生徒主体の学びを重視していることも特徴の一つです。福井大学連合教職大学院はその中核を担い、教員同士が授業や子どもたちの学びについて語り合い、実践を振り返りながら学び合う文化を支えています。
こうした福井の教育モデルは、JICAの本邦研修や草の根技術協力事業を通して、これまでにアフリカ、南アジアをはじめとする様々な国に広められてきました。今回は、そのエッセンスについて、福井大学連合教職大学院に在籍するJICA長期研修員のお二人からお話を伺い理解を深めました。
福井大学連合教職大学院では、パレスチナとマラウイ出身のJICA長期研修員2名が学びを深めています。
研修員の方々は、出身国と日本の授業の進め方や学習に対する考え方の違いに大きく驚いたそうです。
例えば、日本では授業の合間の10分休憩が当たり前で、1日の授業は6コマ程度ですが、マラウイでは休憩時間は確保されておらずに生徒は授業を自由に出入りし、1日の授業はなんと9コマもあるそうです。
マラウイの授業システムが当たり前だと思っていた研修員にとって、日本の学校における休憩の概念は印象的で、生徒と教員双方の集中力の維持と授業効果の向上に重要なのだという気付きを得たそうです。
福井大学附属義務教育学校
研修員の方々によると、アフリカの教育現場では、教師が生徒へ一方的に知識を伝える授業が中心となっているケースが多いそうです。その目的は、生徒をテストに合格させることにあります。
背景には、教師としての評価が生徒のテスト結果によって決まるという事情があります。
そのため、授業では生徒の理解を深めることよりも、試験で点数を取るための知識を効率よく教えることが重視される傾向があります。
一方、日本の教育では、生徒が知識の背景や仕組みを理解することが大切にされています。特に印象的だったのは、実験を重視する授業です。生徒が自ら観察し、考え、結果を確かめながら学ぶことで、単に答えを覚えるのではなく、本質的な理解につなげています。
研修員のお二人は、日本の授業は進度だけを見れば遅く感じられるかもしれないと話していました。しかし、その分、生徒が物事の本質に触れながら深く考え、知識を身につけていることが印象的だったそうです。
今回の訪問を通じて見えてきたのは、「知識を教えること」と「理解を育むこと」の違いです。
研修員の方々にとって、日本の教育は単に正解を教えるのではなく、生徒自身が考えながら学ぶ仕組みとして映っていました。実験や対話を通じて学習を進める授業は、自国の教育を見つめ直す上でも、多くの示唆を与えているようでした。
また、お二人に共通していたのは、日本で得た知見を自国の教育現場へ還元したいという明確な目標意識です。その姿勢からは、教育をより良くしたいという強い思いが感じられました。
福井大学に在籍する長期研修員との対話は、日本と他国の教育制度の違いを学ぶ機会であると同時に、教育の本質とは何かを考える機会にもなりました。
生徒が自ら考え、理解を深めながら成長していく学びの重要性を改めて実感するとともに、こうした福井モデルの教育を通じて、途上国における質の高い教育の実践が広がり、子どもたちの学びの改善につながっていくことを願っています。
●参考:研修員受入事業(長期)