jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

「あとしまつ」という言葉の重みを実感!会宝産業を訪問しました! 

2026.07.09

JICA北陸でのOJTの一環で、6月23日、石川県金沢市に本社を置く会宝産業株式会社を訪問しました。
会宝産業は、使用済自動車を適切に分別・処理し、部品のリユース、資源のリサイクルを積極的に進めることで資源循環型社会の実現に取り組んでいる企業です。

同社は、 2025年度中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)に採択され、現在ブラジルで、「自動車リサイクル人材育成を伴う法規準拠型製品管理システム導入に関するニーズ確認調査」を実施しています(2026年5月~2027年4月)。これまでに、ブラジルのほか、ケニアやガーナで自動車リサイクルビジネスを展開するとともに、自社で設立した国際リサイクル教育センターを通じて途上国の人材育成にも取り組んでいます。

今回の訪問では、同社の事業内容や国際展開についてお話を伺った後、工場を見学させていただきました。環境への配慮を軸に、現場の工夫や社員一人ひとりの改善意識がどのように積み重ねられているのかを知ることができました。

「あとしまつ」の責任

まず、執行役員の鈴木様より、会宝産業の事業内容や国際展開についてお話を伺いました。
印象的だったのは、同社が大切にしている「あとしまつ」という考え方です。世界には多くの日本車が輸出され、長年利用されています。しかし、車が役目を終えた後の処理体制が十分でない国も少なくありません。会宝産業では、日本車が世界中で広く使用されているからこそ、「あとしまつ」にも責任を取るべきだという考えの下、使用済自動車を適切に分別し、再利用可能な部品を世界中に届けるビジネスを展開しています。

私はこれまで、自動車リサイクルを「環境対策」の一つとして捉えていました。しかしお話を伺う中で、それは単なる廃棄物処理ではなく、「資源を循環させる仕組みづくり」であり、「途上国の整備業界の安全性や収益性向上」にもつながる取り組みであることを知りました。環境とビジネス、そして国際協力が一体となった事業モデルに驚かされました。

また、OJTからの質問では、自動車産業における需給バランスの変化への対応や、社員一人ひとりが月に1件以上の業務改善提案を行う取り組みなどについて伺いました。会宝産業の競争力は、現場から生まれる改善の積み重ねに支えられていることを実感しました。

会宝産業株式会社の外観

データと現場がつながる工場見学

続いて、システム業務室主任の朝倉様のご案内のもと、工場見学をさせていただきました。
工場内で最も印象に残ったのは、徹底したトレーサビリティの仕組みです。私自身、「リサイクル工場」というと職人の経験や勘に支えられた現場をイメージしていました。しかし実際には、情報管理システムが高度に整備されており、一台一台の車両がデータによって管理されていました。

資源循環を支えるためには、現場作業だけでなく、正確な情報管理も不可欠であることを学びました。さらに、重機を使って使用済自動車を解体する様子や、部品を海外向けコンテナへ積み込む工程も見学しました。普段は目にすることのない現場を間近で見ることで、「廃車」が資源へと生まれ変わるプロセスを実感することができ、大変感銘を受けました。

使用済自動車に付与されているQRコード

工場での解体部品管理の様子

また、「一括撮影ボタン」という、雨天や降雪時でも効率的に車両全体の写真を撮影できる仕組みが導入されており、こちらは社員のアイデアから生まれたものだそうです。これは、使用済自動車の状態を記録するための写真撮影工程を効率化する仕組みで、ボタン一つで車両全体を撮影できるものです。特に雨天や降雪時にも作業効率や記録精度を維持できる点が特徴で、現場の負担軽減につながっています。

驚いたのは、この仕組みが経営層からのトップダウンではなく、社員のアイデアから生まれたということです。現場の課題に日々向き合う社員一人ひとりが改善提案を行い、それを実際の業務改善につなげている点に、同社の強みと企業文化を感じました。

日常にまで浸透する環境意識

見学後には社員食堂「会宝キッチン」で昼食をいただきました。栄養バランスに配慮された食事はもちろんのこと、印象的だったのは食器返却時のルールです。
利用者は食器に残った汚れを落としてから返却することが徹底されており、洗浄時の水や洗剤の使用量削減につながっているのだと感じました。工場のリサイクル技術だけでなく、こうした日常の小さな行動にも環境への配慮が根付いていることに、企業文化の一端を感じました。

会宝産業の社員食堂「会宝キッチン」にて

OJTを通じて感じたこと

今回の訪問を通じて、「自動車リサイクル」と聞いて私が抱いていたイメージは大きく変わりました。
会宝産業の取組は、単に使用済自動車を処理する事業ではなく、「あとしまつ」に責任を持つという理念のもと、資源循環、人材育成、国際展開、そして地域や社会への貢献を包括的に実現する取り組みでした。
現場で働く一人ひとりの改善意識と、世界規模の循環型社会の実現という大きなビジョン。その両方がつながっていることを肌で感じることができた、大変貴重な訪問となりました。
会宝産業の皆様、ありがとうございました。

●企業概要:企業概要 | 会宝産業株式会社
●参考:会宝産業株式会社| サポーター宣言 グローバル人材・CSR・BOPビジネスの可能性

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ