JICA海外協力隊がつなぐ日本とウガンダ 〜兵庫ブレイバーズKato選手〜

2023.09.06

8月25日、神姫バスキッピースタジアムで野球の関西独立リーグ兵庫ブレイバーズの公式試合が開催されました。この日は、ウガンダでビジネスを展開するサラヤ株式会社とJICA関西が共催して「ウガンダKato選手Day」としてKato選手を紹介するセレモニーも開催しました。球場の出入り口にはJICA関西のブースを設置し、JICA海外協力隊の紹介、野球指導で世界各地に派遣された隊員のパネル写真やユニフォームの展示を行いました。
また、ウガンダ出身で京都大学の大学院に通うJICA留学生(長期研修員)のCharlotte Nabasaさん(以下ナバサさん)にウガンダ国歌を独唱していただきました。同郷の二人は試合前に交流し、祖国を感じる機会を持てたようです。Kato選手は、大阪ゼロロクブルズとの試合の五回裏の途中から左のワンポイントとして登板し、力ある直球でこの回を無失点に抑えました。

ウガンダ出身のお二人。左がナバサさん、右がKato選手。

五回途中で登板するKato選手

兵庫ブレイバーズは、兵庫県三田市、西脇市を拠点に関西独立リーグで活躍する球団で、「野球を中心としたスポーツを通じ、青少年の健全育成・スポーツの振興・賑わいのあるまちづくりを活動方針に、地域の活性化に貢献すること」を球団設立の趣旨とし、活動をしています。これまでに6人のウガンダ人選手を受入れ、選手たちは球団の一員として活躍しています。

兵庫ブレイバーズのウガンダ人選手受入れは、JICA海外協力隊としてウガンダに野球を教えるために派遣された田中勝久さんがきっかけでした。田中さんは、ウガンダの野球少年の夢が「コーチになること」と聞きショックを受けました。そこで、野球を安全に楽しむ場所を作り、子どもたちがプロ野球選手やメジャーリーガーといった大きな夢を持てるようにと思い、ウガンダ野球に関わってきました。田中さんがウガンダで野球選手を教える中で、2012年に一人の選手に兵庫ブレイバーズのトライアウトに挑戦することを勧めて以来兵庫ブレイバーズでは、ウガンダ人選手を受入れています。
一方、ウガンダでは、2020年東京オリンピック予選で、兵庫ブレイバーズに所属していた選手たちが大きな役割を果たし、アフリカ大会準優勝という結果をもたらしました。現在、ウガンダ野球は、9つのクラブチームがあり、各チーム20名ほどの選手が所属、メジャーリーグ球団(ドジャース、パイレーツ)と契約している選手も輩出するようになりました。

田中さんの他にも野球を教えるため、JICA海外協力隊で世界へ派遣された隊員はたくさんおり、これまでで36ヶ国671人が各地で活躍してきました。その中には、今年夏の甲子園におかやま山陽高校の監督として出場された堤 尚彦監督、後にワールド・ベースボール・クラシックのブラジル代表コーチになられた黒木 豪さんなどもいらっしゃいます。
今回のイベントでは、同じく野球隊員として2017年からブラジルで活躍された廣瀬 拓哉さんが、野球隊員としての経験を話しました。

そして、「スポーツを通じて、世界と日本が繋がることができるように、好きなこと得意なことを伸ばすことは人生を豊かに楽しむツールになります。そして、好きなこと、得意なことを伸ばすことができる環境を作ることは、様々な可能性を広げることにつながると信じています。野球は、その1つのツールであり、文化や言葉が通じなくても、それぞれが持つツールで繋がることができます。」とスポーツを通した国際交流の意義を紹介しました。

廣瀬さんは、JICA海外協力隊帰国後に子どもの選択肢を広げる活動として、年齢、性別、国籍、関係なく混ざり合うチームをコンセプトに、放課後に野球教室や勉強レッスンなど開き、子どもたちの居場所を作る活動に取り組んでいます。

JICA海外協力隊でブラジルにて野球指導を行った廣瀬さん。

また、廣瀬さんは「野球をツールに世界と繋がれるJICA海外協力隊を是非、選手にも体験してもらい、セカンドキャリアに繋げて欲しいです。」と話します。野球という夢の膨らむツールを提供することで、子どもたちの人生の選択肢を広げるサポートをすることができます。スポーツを通した国際協力という新たなキャリアとして、JICA海外協力隊に参加することは選手にとっても将来につながる選択肢となるのかもしれません。

田中さんのウガンダでの活動から約10年を経て、Kato選手のように日本で全力で野球に打ち込み、プロ入りのチャンスを掴むという夢に近づいている選手がでてきました。JICA海外協力隊の草の根レベルでの支援を通じて、かつてはコーチにしかなれないと思っていたウガンダの子どもたちの夢は大きく広がってきています。今後も、現地の人々と共に生活し、同じ目線で途上国の課題解決に取り組み、様々な人々の人生の一部に関わっていくそんな隊員たちの活動が続いていくことを願っています。

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