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第10回HYOMIC研修会「共に生きる〜身近なことから考える〜」がユースチームにより企画・実施されました。

2024.04.18

2017年3月、兵庫に活動拠点を持つ複数の国際協力団体によって兵庫・国際協力同志の会HYOMIC (Hyogo Network of Copemates for International Cooperation)が立ち上げられ、JICA関西は参加団体の一つとして、県内の国際協力推進に向けた活動を行っています。阪神・淡路大震災以降、兵庫では神戸を中心に様々な市民団体(NGO/NPO)が発足しました。今では多くの団体が、国内外で培った知見を活かし、国際協力や多文化共生の分野で活躍しています。地域社会での活動を大切にしながら、その経験を活かして国際協力活動にも取り組んでいるNGOとJICA関西を中心とした兵庫ならではの集まりの場を作ることを目指したのが、HYOMICです。HYOMICは、「若い世代が積極的に参画する機会」を大切にし、次代の国際協力事業を中心的に担っていく若い世代が知見を高め、ネットワークを広げていくことを目指しています。

活動の一環として、年に1回、HYOMIC幹事団体(JICA関西、公益財団法人PHD協会、NPO法人FMわぃわぃ、NPO法人多言語センターFACIL、認定NPO法人Future Codeの学生部BYCS)の若手職員やインターン経験者(学生)等のユース世代が企画・運営を行うイベントを「HYOMICユース企画」として実施しています。

3月3日、第3回目となるHYOMICユース企画の研修会をJICA関西にて行ない、「多文化共生」をテーマに参加者とディスカッションしました。
企画に携わったメンバーから、イベントの様子をお届けします。

HYOMIC主催イベント開催報告「共に生きる〜身近なことから考える〜」

イベントでは、外国にルーツを持つ方の協力を得て、日本で生きる外国人が、日常生活で起こりうる困りごとや、それに対して日本人が外国人に対してできる実際の短期的・長期的ネクストアクションについて参加者とともに話し合いました。また、日本に住む日本人・外国人それぞれの視点から、「多文化共生」に対する認識について、考え方や価値観を掘り下げて考えました。
ユースを中心に企画した本イベントですが、世代や国籍を超え、多様性のあるメンバーでテーマについて話し合うことができました。

■プログラム:
14:00 オープニング(開会の挨拶)JICA関西
14:05 主催団体の活動紹介・協力者の紹介
   ・JICA関西
   ・公益財団法人PHD協会
   ・NPO法人多言語センターFACIL
   ・認定NPO法人 Future Code 学生部BYCS
   ・イベント協力者(9名)の紹介
14:20 ワークショップ
15:10 グループディスカッション
15:50 クロージング(閉会の挨拶)

ワークショップ・グループディスカッション

■ワークショップ
 日本人参加者と外国にルーツを持つ協力者が7グループに分かれ、中央に「日常生活」という付箋を貼った模造紙に、様々なテーマにまつわる在住外国人の日々の困難・苦労・不安や認識のギャップなどを書き出し、グループ内に共有しました。
せわしない毎日を生きる日本人の私たちが、気づかないうちに流しがちな日常の些細な出来事も、外国人にとっては大きな出来事となることがあります。ワークショップは、日本人参加者にとって、立ち止まって外国人の目線で日常を振り返る良い機会となりました。また、協力者からの認識共有は、世代・国籍を超え、多様な価値観・考え方・感覚に歩み寄るきっかけとなり、さらに議論が深まりました。どのグループも議論が白熱しており、盛り上がりを見せていました。
 ワークショップ後半では、グループごとに議論した内容について全体共有を行いました。日本は住みやすく、良い国だという意見も挙がった反面、多くのグループから、「日本の制度の柔軟性の無さ」に関する意見が挙げられていました。時間に厳しすぎたり、外国人に住居を提供しないルールの施設があったりと、外国人にとっては日本での生活は生きづらい面があることも訴えられました。その他、多くの公的手続きにおいて外国人が理解できる言語での書類が準備されていない、そもそもの手続きが煩雑であるなどの意見が挙げられ、まだまだ多文化共生社会に向けての課題が残っている現状が浮かび上がりました。

■グループディスカッション
 ワークショップを踏まえそれぞれが感じたことや学んだことをグループディスカッションを通じてまとめ、共有しました。「Yチャート」と呼ばれる手法で振り返りを行い、印象に残ったことや学びになったこと、発見した課題や認識のギャップ、短期的・長期的に自分ができることや変えたいことを整理しました。各自による学びを落とし込む作業、そして他人の気づきや感じたことに耳を傾ける時間は、個々人にとってかけがえのないものになっていたと思います。
 あるグループでは、「深く浸透している日本社会の習慣や考え方は、あえて言葉に出して説明していくことが大切だと感じた」、「多国籍・多様なメンバー構成による課題発見・提案プロセスやプロジェクトを広げていくべきだ」という意見が挙がっていました。前者については、外国人が既に知っているかもしれないと憶測で日本の習慣等についての発信を控えるのではなく、言葉にしてコミュニケーションを取っていくこと、後者については、より多様な背景を持った方々と接し、共に考えていくことを、自身も意識していきたいと思いました。

最後に~HYOMICユースの感想

最後に、今回ユースメンバーとして、この企画に微力ながら携わらせて頂けたことに、感謝いたします。「多文化共生」という言葉をよく耳にする世の中ですが、その言葉を発するだけでは何も変わらないと痛感しました。「多文化共生」に向けて実際に行動を起こすこと、具体的に何ができるかを考えて輪を広げて行くことに意味があるのだろうと思いました。1人でも多くの方が生きやすい社会へと世の中を変えていくには、現実を見ること、そして私たちと世界は、もっと寄り添い、もっとお互いをリスペクトし合えると信じていくことが大切です。私たち一人ひとりの行動と言葉が、今日も誰かを救っていくことに繋がって行くのではないでしょうか。

第10回HYOMIC研修会・企画ユースチーム
記:坂本 泉・中里 向日葵
(JICA関西2023年度インターン生)

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