ボランティアの話を聞こう!(「神戸市×JICA関西 国際教育モデル」実践授業in摩耶小学校)

2024.04.17

2024年2月、神戸市立摩耶小学校5年生の総合的な学習の時間において、JICA海外協力隊経験者3名による国際協力出前講座が行われました。

JICA関西と神戸市教育委員会は2007年から連携覚書を締結しており、2023年からは「神戸市×JICA関西 国際教育モデル」と称する授業実践を通じた教材開発を行っています 。
今回、摩耶小学校で行なわれた授業は、同モデルを通じて、JICAによる「国際協力出前講座」として実施されたものです。

授業を見学したJICA関西インターン生が、その様子をお届けします。

授業内容

今回の実践授業は、①道徳「クール・ボランティア」の授業で働くことや社会奉仕の意義について学んだ後、②総合的な学習の授業でJICA海外協力隊(以下、協力隊)経験者3名が講師として登壇し、その活動体験談から実際の「ボランティア・社会奉仕の精神を学ぶ」、という構成です。

[カンボジア:体育・図工・音楽を教えるお手伝い]

カンボジアではクモやコオロギが食べられていると聞き、驚きの声があがりました

日本で小学校教員として勤めていた講師は、カンポジアで情操教育(図工・音楽・体育)の重要性を伝えるために「小学校教育」の職種で協力隊員として派遣されました。カンボジアでは、現地の人々が互いに助け合う姿が印象的だったそうです。また、「子供たちの笑顔や頑張る姿」や「国や言葉の違いを超えた絆」がボランティアのやりがいとなったことをお話されました。講話の途中では講師がカンボジア滞在中に指導をしていた音楽隊が、阪神・淡路大震災からの復興を願って神戸市でつくられた合唱曲「しあわせはこべるように」を 歌う映像も鑑賞しました。講師が語られた「国を超える絆」の意味が、カンボジアの子どもたちの歌声を通じて、児童の皆さんに伝わったのではないでしょうか。

最後に、講師からは、ボランティアは「プレゼント交換のようなもの」で、自分がもっている素敵なものを相手に渡すと、渡した以上のものを得られること、そして、まずは自分にできることに一生懸命取り組むことの大切さを児童らに伝えられました。

[ネパール:算数・音楽・図工・体育を教えるお手伝い] 

ネパールでの先生の制服を着てお話をしてくださいました

講師は、小学生の時に阪神・淡路大震災に遭い、当時多くの人に助けてもらった恩返しをしたいという思いから、ボランティア活動をはじめ、その後協力隊に参加したそうです。日本で小学校の教員として勤めていた講師は、ネパールで算数指導や情操教育支援、日本文化紹介を中心に活動されました。その中で、「スプーンを使わずに手で食べる」等、はじめは驚いた習慣も、現地の文化と結びついたその行動の意味を知ることで理解できるようになり、自身が捉える世界が広がったと語られました。今回出前講座を実施した「摩耶」小学校の「マヤ」は、ネパール語で「優しさ」や「人を大事にする心」という意味があり、ネパールで大切にされている言葉だそうです。講師からは「マヤ」を受け取り、恩返しをするという連鎖の大切さを伝えられました。

[コスタリカ:10代の皆さんにスマホ動画の作り方を教える]

講師は、テレビ局に勤めていた経験を活かし、「映像」という職種で協力隊に参加しました。コスタリカの娯楽の少ない地域で 暮らす青少年たちに、映像を通し自身の地域の魅力を再認識してもらうこと、映像自体への興味を引き出すこと、そして、その映像で外部の人々に地域の特色や素晴らしさを知ってもらうことを目的とする「スマートフォンで撮影した映像を通して、コスタリカの豊かな自然を発信する」というプロジェクトに参加しました。コスタリカの若者に地域の魅力の再発見と映像技術の習得、映像を通した世界との繋がりから新たな楽しみを見出すことを目的とした活動をしていました。

コスタリカの若者からは、家族や先生など身近な人についての動画をつくりたいという声があがり、講師はそうした映像制作の支援も行いました。授業では、16歳の少女がつくった彼女の母親についての動画を鑑賞しました。動画制作を支援した講師は、コスタリカの人たちが「物事の良い面をみるポジティブな視点」をもっていることが印象的であったと語られました。
最後に、JICA海外協力隊の職種が約90種類あることを例にあげ、ボランティアでは、自分自身の得意分野を活かして活動へ参加したり、現地に貢献することが重要であると伝えられました。

授業を見学して

3人の講師が共通して強調されたのは、ボランティアは一方的なものでも、上下関係で行うものでもなく、相互が協力関係を築き、互いに学び、成長する機会であるということでした。
いざ実際のボランティア活動に参加するとなると、ハードルを感じることも少なくないでしょう。しかし講師が語ったように、大切なことは、まずは個々が好きなこと・得意なことに一生懸命取り組み、自分にできる分野から始めていくことです。摩耶小学校の皆さんが自分たちの貢献できることを見つけ 、「マヤ」の輪が広がっていくことを願います。

(JICA関西・市民参加協力課インターン 大曽根 葵)

参考リンク:
JICA関西国際協力出前講座
https://www.jica.go.jp/Resource/kansai/enterprise/kaihatsu/demae/index.html

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ