天理の小学生、エジプトの小学生と交流!(天理市連携授業in朝和小学校)

2024.04.17

2024年1月から2月にかけて、天理市立朝和小学校とエジプト日本学校(EJS)ポートサイド校とで全5回のオンライン交流授業が実施されました。
2023年、天理市・天理大学・JICA関西は、「開発途上国における国際協力推進と国際協力に資する人材育成」を目的とした、三者間連携に関する覚書を締結しました。また、天理市は、2020年東京オリンピック・パラリンピックにてエジプト柔道チームのホストタウンを務めるなど、エジプトと深い関わりがあります。
こうした背景から、天理市内でエジプトを題材とした国際理解教育/開発教育を始めるべく、この度、天理市立朝和小学校とエジプト日本学校(EJS)ポートサイド校における全5回の連携授業を実施する事となりました。
授業を見学したJICA関西インターン生より、交流の様子をお届けします。

画面越しに手を振りあう生徒たち(日本側の教室より)

交流にあたって

オンライン交流では、児童が代わる代わるパソコンの前で発表していく形をとりました。教室前方のスクリーンには、①発表スライド、②発言中の児童の顔、③日本側・エジプト側それぞれの教室全体と様々なアングルによる画面が同時に映しだされ、児童の臨場感を高める工夫がされました。
クラス同士の交流はもちろん、発言する前に名前を言ったり、自己紹介の時間を設けたりするなど、両国の児童一人一人の顔が見える場を作り、個人レベルでも親交を深めることを目指しました。また、交流は外国語の授業内で実施され、コミュニケーションは全て英語で行われましたが、発表スライドに写真と文字(キャプション)を多用することで、通信トラブルや言語の壁がある中でも、児童が目で内容を理解できるよう工夫もなされました。

授業内容

【第1回目(1月16日):学校紹介】
①はじめに
②日本の学校生活紹介
③エジプトの学校生活紹介
はじめに、エジプトと日本の位置や時差等を確認しました。学校生活紹介では、使っている教科書や周辺の観光地、給食などを互いに発表しました。

【第2回目(2月13日):Q&A】 
①天気や気温の共有
②日本からエジプトへのQ&Aタイム
「どんな学校行事がある?」、「エジプトの有名人は?」等。
③エジプトから日本へのQ&Aタイム
「テストはある?」、「休憩時間は何をしている?」等。
事前に、聞きたいことをまとめて送りあい、回答スライドを用意しました。

授業で使われたスライド

【第3回目(2月20日):お互いの国のイメージ共有】
①天気や気温の共有
②日本の児童より、エジプトのイメージの発表
ピラミッド、童話「アラジン」等。
③エジプトの児童より、日本のイメージの発表
アニメやゲーム、柔道、テコンドー等。
互いにイメージギャップがあったようで、発表の度に驚きの声があがりました。

【第4回目(2月22日):Q&A、児童同士の交流】
①天気や気温の共有
②日本からエジプトへのQ&Aタイム
 「お年玉はある?」、「野球を習っている人はいる?」等。
③エジプトから日本へのQ&Aタイム 
 「日本で有名なテレビゲームは?」、「学校では何を食べる?」等。

④個人紹介
日本・エジプト共に、代表して2~3名の児童が好きな食べ物の紹介や特技を披露。クラスの中の子ども達個人について知る機会となりました。
⑤じゃんけんゲーム
前回までの交流を踏まえ、更なるQ&Aで相互の理解を深めました。また、自国のじゃんけんの掛け声を教えあい、オンラインじゃんけんを行いました。日本はグー、チョキ、パー、エジプト(アラビア語)はハガー、マス、ワラです!

【第5回目(2月27日):文化紹介】
①天気や気温の共有
②じゃんけんゲーム
③日本の文化紹介(食・アニメ・音楽・歴史)
④エジプトの文化紹介(挨拶の仕方、宗教・イスラム、お祈りの仕方、ラマダン 、ピラミッド、寺院、ナイル川、芸術、宝石、服)
授業後にはエジプトの教室から「Miss you!」という声があがり、5回の交流を通じて子供たちの間に絆が生まれていたことを感じました。

【ビデオレター交流】
5回の交流を通じても伝えきれなかった内容や、お互いの感謝の言葉などについては、ビデオレターを通じた交流を行う予定です。

授業を見学して

通信トラブルや言語の壁がありつつも、ジェスチャーを使うなどしてコミュニケーションを図り、お互いを理解しあおうとする児童の姿勢に感銘を受けました。また、発表後には毎回自然と拍手が生まれていたことも印象的でした。
交流をはじめた頃、朝和小学校の子供たちに聞いたエジプトのイメージは、「砂漠」や「ピラミッド」といった漠然としたものでした。しかし、児童らの実施後アンケートからは、「エジプトの私服が想像通り」「エジプトは砂漠のイメージしかなかったけど、イルミネーションや建物がめちゃくちゃきれいで、想像していたものだけじゃないんだなと学んだ」など、具体的なイメージが多く挙げられていました。2か月にわたる交流を終えた今、エジプトと聞けば、エジプトの具体的な事柄や、交流した「あの子」の顔が思い浮かぶようになったのではないでしょうか。
学校や地域の狭い世界で生活をしている中で、そこにある価値観が絶対的であるかのように感じてしまう小学生も少なくないでしょう。しかし実際には、自分が今いる場所は広い世界のほんの一部であって、世界には多様な文化・多様な価値観が存在するということに気が付くことは、多文化共生の観点から大切ですし、またもしかすると、今いる環境に馴染めないと感じている子供にとっても、大きな発見になるのではないかと思いました。

(JICA関西・市民参加協力課インターン 大曽根 葵)

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