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2024年度・JICA関西教師海外研修 ペルー研修現地レポート 【前編】

2024.09.24

JICA関西は、関西2府4県の教職員を対象に「教師海外研修」を実施しています。教師海外研修は、教職員の方々が実際に開発途上国を訪問し、国際協力の現場や開発途上国の現状・課題、日本との関係について理解を深め、その成果を、学校現場での授業等を通じて次代を担う児童・生徒の教育に役立ててもらうことを目的としています。研修は1年間かけて実施され、海外研修を中心に、日本国内で実施する事前研修・事後研修、そして海外研修経験に基づき帰国後に参加者の所属校で行われる授業実践、年度末に実施される報告会で構成されます。
 2024年度は、2023年度に引き続き、南米・ペルー共和国を研修国として実施しました。10名の先生方が、2024年8月に参加した海外研修の様子を現地レポートとしてお届けします。

2024年8月11日(日)ペルー到着~ペルー国立考古学・人類学・歴史博物館

日本時間8月10日午後1時に空港に集合してから約31時間。空港で初めて見るペルーの景色にこれからの10日間への期待が膨らみました。
ホテルのチェックイン、昼食後はペルー国立考古学・人類学・歴史博物館へ。プレインカと呼ばれる、インカ帝国が栄えるずっと前にもペルーには偉大な文明があることを知り、案内人の方の熱量が高まるのと共に展示品や資料の魅力に引き込まれていきました。ペルーの歴史について自分が表面的な知識しか持っていなかったことを痛感しました。
その後に行ったスーパーマーケットでは、フルーツや野菜が大量に陳列される様子に、現地の食生活の様子が伺えました。
(京都市立小野小学校 廣部 功生 先生)

2024年8月12日(月)JICAペルー事務所 、ペルー日系人協会(APJ)、日本人ペルー移住史料館“平岡千代照”

朝から夜までフル稼働な一日で、濃密な研修の開始です。
まずはJICAペルー事務所を訪問し、所長より激励のお言葉を頂戴しました。事務所の会議室には日本とペルーの国旗、そしてJICAの旗があり、私達は大きなプロジェクトに関わらせて頂くということを実感し、身が引き締まる思いでした。
 その後のブリーフィングではペルーの教育制度について学びました。日本とペルーの教育制度の違いの中で特に印象的だったのは、小学生のうちから留年制度があるという点です。ペルーの教育は、義務教育終了時に実社会で生活できる力をつけることを目標にしており、教育課程の修了のみならず、しっかりとした実力がついていることが重視されているそうです。
 午後からはペルー日系人協会(APJ)の会長や役員の方々からの説明を受け、館内施設見学、日本人ペルー移住資料館の見学をさせて頂きました。戦時中から戦後にかけては日系社会にとって大変厳しい状況で、日系人が迫害を受けたり、日系学校を閉めざるを得ない状況になったりしたそうです。しかし、その苦難を乗り越え、現在ペルーでは日系校が全国にあり、各地で日本式の教育を行っています。移住資料館の見学を通して、私達はペルーにおける日系社会の団結力や絆を感じることができました。また、厳しい状況を生き抜かれた移民1世や2世の方々の逞しさを感じ、敬意が芽生えました。
夜にはAPJ関係者や、日系校の教師の方々が集まり、レセプションが開かれました。訪問したそれぞれの場所で、多くの方々から心づくしの歓迎を受けた一日でした。日系社会や日系人のことを一生懸命に私達に伝えようとしてくださる熱い気持ちが宿った目は、私達の心に強く響きました。
(大阪市立今津中学校 野瀬 晴佳 先生)

2024年8月13日(火)日系校ラ・ウニオン校への訪問、ホームビジット

本日はペルー最大規模の日系校である日系校ラ・ウニオン校を訪問しました。
到着後、ラ・ウニオン校の校長より学校についての説明を受けた際、校長の話の中に、「学校は生徒にとって”家”のような存在にしたい。前向きに丁寧な指導を心がけている。」という言葉がありました。この言葉から、個別最適な、細やかな指導を前向きに行うことを大切にしていることを強く感じました。
小学2年生と中学2年生に向けて、「日本の学校生活紹介」の授業実践を行いました。小学校2年生の授業実践では、日本の四季を紹介しながら、日本の遊びを体験する授業を行いました。福笑いやけん玉といった日本の遊びに積極的に取り組む児童達の姿から、日本の文化への興味や理解を深めることのできる授業だったように思います。
中学2年生向けの授業実践では、日本の学内でよく掲示される生徒作の啓発ポスターを紹介しました。日本の中学生からのメッセージもペルーの生徒に配布し、とても興味深そうな反応を示していました。私も授業者として参加し、最終的には生徒から感謝の言葉と握手を求められ、とても嬉しかったです。
学校でのプログラム終了後、6グループに分かれてホームビジットを行い、グループごとにさまざまなおもてなしを受けました。私が訪問したお宅では家族5人から手厚い歓迎を受けました。料理を振る舞ってもらい、伝統的な音楽やダンスを教えていただきました。14歳の息子さんは英語が達者で、将来の夢について聞いたり、とても充実した時間を過ごすことができました。

(大阪府立第二工芸高等学校 濱島 築 先生)

2024年8月14日(水)日本・ペルー地震防災センター(CISMID)、中央広場、大統領官邸

この日は、日本・ペルー地震防災センター(CISMID)を訪問しました。このセンターでは、地震は「将来必ず発生するもの」として捉え、地震の被害をどうすれば最小限にできるのかを研究しています。ペルーで予想されている地震や防災研究について聞いたり、施設の見学をさせて頂いたりと、貴重な体験をしました。特に印象に残っている点は、地域を巻き込んだ防災活動です。地域に住む方々に防災講座を開催したり、子ども向けの防災教育に関する教材を作成したりされていました。また、研究室にはJICAが提供した地震の研究装置が数多くあり、日本が長年にわたって、ペルーの地震研究を支えていることを知りました。
日本でも最近、比較的大きな地震があり、それが巨大地震につながるのではないかと日本中が不安に駆られています。日本とペルー、地震が多い両国における防災対策の必要性は高まっており、教師である私たちにできることは、子どもたちへの防災教育を進めていくことだと、防災教育の大切さを改めて身に沁みて感じる時間でした。
午後からは旧市街地へ訪れ、スペイン植民地時代の、ヨーロッパの街並みを感じる中央広場等を視察しました。
(京都市立朱雀中学校 粟津 美沙 先生)

JICA関西教師海外研修 
https://www.jica.go.jp/Resource/kansai/enterprise/kaihatsu/kaigaikenshu/index.html

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