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【JICAインターン生報告!】パキスタン技術者が日本の橋梁維持管理を学ぶ現場に同行しました。

2024.10.01

2024年8月21日から9月5日までの約2週間、パキスタン国「パンジャブ州における道路アセットマネジメントシステム能力向上プロジェクト」の来日研修を実施しました。パンジャブ州は約1億1000万人の人口を抱えるパキスタン最大の州であり、同州の道路は多くのヒトやモノの移動を支えています。そのため、道路インフラの整備は極めて重要です。しかし、技術者不足や道路・橋梁に特化した点検技術が広く認知されていないなどの技術的課題、データベースシステム等のソフト面の未整備など、道路網の適切な維持管理を妨げる慢性的な問題を抱えています。今回実施した研修では、パンジャブ州公共事業局から12名の土木技術者が参加し、パシフィックコンサルタンツ株式会社と阪神高速道路株式会社の協力のもと、戦後の高度成長期に建設された多くの道路インフラを維持管理する日本の豊富な技術やノウハウを学びました。これにより、パンジャブ州の道路や橋梁の適切な維持管理が進むことが期待されます。
同行したJICAインターン生が研修の様子を報告します。

講義と現場視察
講義では、定期的な点検により、小さな亀裂や劣化を早期に発見し、大規模な補修や取り替えが必要になる前に対処することで、コスト削減が可能であることを学びました。また、データベースシステムに基づいた適切なタイミングでの補修や修繕によって、構造物や設備の寿命を延ばすことができることも確認しました。これにより、計画的な道路や橋梁の維持管理の重要性を学びました。

今回の訪日研修では、実際に六甲アイランドや大阪市内等の現地を訪れ、日本の道路や橋梁の維持管理方法を体験しました。参加したパンジャブ州の皆さんからは、講義と現場訪問を通じて、日本の点検・診断メカニズムへの理解が深まったとの感想が寄せられました。

ディスカッション
視察後、パキスタンの現状と日本の事例を比較し、日本で体験した技術をどのようにパキスタンで応用できるかについて議論しました。最終日には、各研修員が自分の考えを発表し、自国で進めたい取り組みや帰国後にできることを共有し合いました。


インターン生の感想
パキスタンの皆さんの話を通じて、普段当たり前だと感じていた日本の環境が、世界の標準とは限らないことに気づかされました。例えば、日本では建設現場で安全器具の着用が必須ですが、パキスタンを含む一部の国ではあまり重要視されていないそうです。地域ごとのインフラ状況、法的枠組み、予算配分、さらには労働慣習や価値観の違いによって、技術や管理方法を導入する際には現地の実情に合わせた調整が必要だと学びました。

講義の風景

橋梁建設現場の視察風景

ディスカッションの風景

研修は単に日本の技術を一方的に伝える場ではなく、双方の国の状況を比較し、研修員が「日本のここを取り入れたい」「自国のここを改善したい」と気づきを得る場でもあります。その気づきに寄り添い、課題を共に検討し、具体的な行動につなげるサポートを行うことが大切です。このように共に課題に向き合い解決策を見出すプロセスこそ、研修の本質であり、持続可能な協力関係を築く鍵であると感じました。

大阪大学工学部地球総合工学科社会基盤コース3年 木本一希 (JICA関西 研修業務課インターン)

橋梁建設現場の視察風景

閉講式の風景

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