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外国人材を送り出す国にJICAインターンが聞きました:「日本は働きやすい国ですか?」各国の行政官へのインタビュー【後編】(インドネシア・ネパール)

2025.03.19

JICA関西で実施した研修プログラム(KCCP: Knowledge Co-Creation Program)「経済成長とディーセントワーク実現に向けた海外就労者の送出および帰国後のキャリア開発支援に係る労働政策」の参加者に、外国人材を送り出す国から見た日本の印象などについてJICAインターンがお話を伺いました。
海外就労の支援に携わる各国の行政官から見て、日本はどのような国なのでしょうか。


インドネシア ナフィサさん(Ms. FAHMI Nafisa Aulia)
所属:労働省
主な仕事内容:海外就労を目指す求職者の相談対応、海外就労に関する各国との連携等

プログラムに参加した感想を教えてください。
「外国人材が働いている現場を訪問できたことが良かったです。私は海外で働きたいインドネシア人を支援する仕事をしていますが、インドネシア人が働く場所を実際に訪問するのは初めてでした。今回の来日中、日本の労働環境や働き方について貴重な情報を得ることができました。インドネシアに戻ったら、相談に来た人たちに日本の労働環境をこれまでより具体的に伝えられるようになります。」

日本の労働環境についてはどう思いましたか。
「日本は都市部だけではなく地方に行っても設備が整っていて、恵まれた職場環境だと感じました。今回現場で話したインドネシア人たちも満足していました。」

ナフィサさん(インドネシア)

印象に残っていることは何ですか。
「神戸市西区の事例紹介や、茨城NPOセンター・コモンズの講義を受けましたが、コミュニティが外国人材をサポートしている事例が素晴らしいと思いました。
受け入れる団体だけでなく、自治体や地域の人たちも協力して、外国人と地域住民が交流するイベントを開催したり、外国人へ日本の生活に必要な情報を提供している事例が参考になりました。」

今のお仕事に対する思いを教えてください。
「私は海外就労の支援という今の仕事が好きで、支援している人がうまく仕事をみつけられたときにやりがいを感じます。将来的には、大学院に行って人材育成などについて学びたいと考えています。実は私はインドネシアにある日本企業で働いていたことがあるのですが、日本人の仕事の仕方や日本の文化が好きなので、今回日本に来ることができてとても有意義でした。」


ネパール リマルさん(Mr. Megha Nath Rimal)
所属 : 労働・雇用・社会保障省
主な仕事内容:省内の人材採用・育成

プログラムに参加した一番の目的を教えてください。
「日本人の働き方や職場環境について知ることです。また、日本人がネパール人に対してどのように接するかについても知りたいと考えています。私はこれまで様々な日本人とネパール国内で会ったことがありますが、日本国内での体験はこれが初めてです。日本のパスポートは査証なしで入国できる国数が世界でトップクラスに多く、それだけ日本が信頼されていることだと思います。成功の背景にある要因、特に仕事熱心で勤勉で規律を守る日本人の姿勢がどのように影響しているのか学ぶつもりです。」

病院の視察の際にネパールの方と話されていましたね。
「病院で働いていた人たちに、彼らの仕事や給料について聞きました。住居環境や労働状況については満足しており、特に夜勤になると給料が増えることが嬉しいと言っていました。彼らはやはり給料に高い関心がありますね。」

リマルさん(ネパール)

彼らのように、ネパールでは、若者が海外に働きに出るのはよくあることなのでしょうか?
「ネパールでは、農業など国内の産業に携わる人が少なく、ほとんどが外国に行ってお金を稼ぎたいと考えています。外国に行くことがネパールの若者の間で、一種の流行になっています。ネパールとインドの国境は開かれていて自由に行き来できるため、多くのネパール人がインドで仕事を見つけたり、買い物をしたりしています。」(補足:ネパールの人口約3,000万人のうち、約500万人が海外で働いていると言われています。)

日本で働くネパールの方々が抱えている問題をあえて一つあげると、何ですか? 
「日本語です。日本には多くのネパール人がいて、ほかの国と比べて給料や環境、保険制度が良いのですが、ただ一つの課題は言語です。働くためには日本語を学ばなければならず、介護施設などでは特に、高齢者の言葉を理解することが難しいようです。5,6か月の日本語トレーニングを受けた後も、日本語に苦労する事があります。」 

海外に働きに出ると、家族と離れる人も多いと思いますが、ネパールでは、家族が離れて暮らすことの問題はいかがでしょうか。
「ネパールでは離婚率が増加していますが、夫と妻が異なる国で生活していることが大きな要因です。夫が海外に行き、妻がネパールに残る、もしくは別の国に行く、これが原因でお互いを責め合うことがあります。また、夫が外国に働きに行っている間に、妻が別の男性と浮気して、子供も一緒に暮らすということも起きています。 親戚が子供の面倒を見る文化がネパールにはあり、移民労働者の家庭を支えていますが、それでも問題は解決されていません。」

閉講式の様子(8名全員が無事修了証書を受け取りました!)

インタビューを終えて:
普段、日本語学校でのアルバイトを通じて、外国人労働者や留学生が直面する課題について漠然と理解していましたが、今回のインタビューで、それぞれの国には異なる背景と事情があり、それぞれが希望する海外就労の形態や、日本に求める事も異なっていることを実感しました。特に、海外に働きに行くことをリマルさんが「like a fashion」と表現していたことが印象的でした。
 私たちは海外から来た人々を見たとき、「外国人」と一括りに捉えがちですが、そこにいるのはそれぞれ背景の異なる方々であり、抱える課題や解決方法も様々です。今回のJICA研修には、インターン生として参加しましたが、各国からの参加者からたくさん学ぶことができました。(インターン 原口曜霞)

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