琶湖をめぐる開発と保全の教訓 JICA留学生15名が琵琶湖を学ぶ2日間!
2026.04.03
2026年3月10日(火)〜11日(水)の2日間、15名(15か国)のJICA留学生(以下、留学生)*1を対象に、地域理解プログラム*2「琵琶湖をめぐる開発と保全の教訓」を実施しました。
琵琶湖は日本最大の湖で、京都、大阪を含む約1,400万人の暮らしを支える関西の水源です。治水や琵琶湖疏水といった水をめぐる開発の歴史に加え、1970年代の「石けん運動」など市民主体の環境保全の知見も蓄積されています。
2日間のプログラムで、留学生は琵琶湖の開発、防災、利水、環境保全、地域文化などを幅広く学びました。
本プログラムは、公益財団法人国際湖沼環境委員会(ILEC)の協力のもと、2019年度から毎年実施しており、今回で7回目を迎えました。
【琵琶湖の開発の歴史と重要性の認識を学ぶ講義】
ILECの中村科学アドバイザーにご登壇いただき、留学生は関西圏の水源としての琵琶湖の重要性、高度経済成長期の公害、琵琶湖疏水の開発、水質管理などについて理解を深めました。講義はオンラインでも配信し、合計83名の留学生が聴講しました。
留学生からは「自国の都市開発、水政策に応用したい」、「多分野に通じる示唆があった」といった声が寄せられました。
【琵琶湖博物館で湖と暮らしを体感】
自然、歴史、人の暮らしを横断する展示を通じて、琵琶湖の成り立ちから生態系、暮らしとの関わりまでを体験的に学びました。留学生からは「インタラクティブな展示でわかりやすい」、「湖を主役にする博物館はユニークで、学ぶ意義がある」などの感想がありました。
【立命館守山中学校の教育から見る琵琶湖】
同校1年生が取り組む「琵琶湖学習」の集大成として、「2050年の滋賀を活性化するプロジェクト」をテーマに生徒が発表。ピッチ形式で発表されるプロジェクトに対して模擬通貨による投資コンペもあり、留学生は「投資家」として参加しました。
「浄水剤を使用したランタン流しイベント」などユニークな発表が多数あり、生徒の創造性と課題意識の高さに留学生も驚いていました。留学生と生徒の質疑応答も活発で、双方にとって学びが深まる機会となりました。
【フィールド学習:大津市守山地区】
大津市守山地区は比良山系、里、琵琶湖が非常に近い距離にあり、美しい自然に囲まれていますが、山が近いため災害リスクもある地域です。山から里、琵琶湖へとつながる水の流れを実際に辿りながら、守山地区の地形、歴史、生活、地域主体の防災も学びました。
・里での水利用:カワト(コミュニティ共同の水場)を利用する際は下流に配慮し、汚れを流さない等の生活ルールがあります。こうした地域の習慣が水環境保全にも直結していることを学びました。
・排水、防災の仕組み:住民が中心となった防災活動の一例として、大雨時に自治会長が排水バルブを操作し、カワトや農業で利用するための配水から川への放流へ切り替える作業を、留学生も実際に体験しました。
・石と産業の歴史:土砂災害で生じた石は「守山石」として知られており、山から琵琶湖へ運ばれ、船で琵琶湖疏水を通って京都の庭園に用いられました。琵琶湖の広がり、運送路としての歴史を学びました。
・湖岸で漁師から学ぶ:漁具や釣りあげた魚を見せていただきながら、伝統漁法「えり漁」、琵琶湖で暮らす人々の生活への理解を深めました。
留学生は地域社会が自然や琵琶湖と共生するあり方を学びました。留学生からは「地域社会が主体となって防災や琵琶湖の保全に取り組んでいるのは非常に興味深い」との声がありました。
2日間のプログラムでは、「琵琶湖をめぐる開発と保全の教訓」を多面的に学びました。水資源管理、地域開発、治水、利水、環境教育などの分野で、留学生が得られた知見を母国で活かしていくことが期待されます。
*1:JICA留学生
JICAは「JICA開発大学院連携プログラム」を通じて、日本と途上国をつなぐ次世代の親日派・知日派リーダーとなりうる人材を戦略的にJICA留学生として受け入れています。留学生は母国の将来を担う意欲と能力を持った行政官や研究者等で、帰国後は母国の国づくりを担い活躍することが期待されています。
*2:地域理解プログラム
「JICA開発大学院連携プログラム」の一環として、JICA留学生を対象に、地域特有の開発事例を学ぶさまざまな「地域理解プログラム」を提供しています。
JICA開発大学院連携/JICAチェア | 事業について - JICA
関連リンク:
▼本プログラムについて(ILEC記事)
JICA関西 2025年度 地域理解プログラム「琵琶湖をめぐる開発と保全の教訓」への協力 | International Lake Environment Committee | 公益財団法人 国際湖沼環境委員会(ILEC)
▼過去のプログラムの様子
・2024年度(ILEC記事)
JICA関西2024年度 地域理解プログラム「琵琶湖をめぐる開発と保全の教訓」への協力 | International Lake Environment Committee | 公益財団法人 国際湖沼環境委員会(ILEC)
・2022年度
長期研修員向け地域理解プログラム「琵琶湖をめぐる開発と保全の教訓」を 実施しました。 | 日本国内での取り組み - JICA
・2020年度
長期研修員向け地域理解プログラム「琵琶湖をめぐる開発と保全の教訓」を実施しました。 | 日本国内での取り組み - JICA
▼ニカラグアで活かされている琵琶湖の知見
【COP26でも紹介】ニカラグアの巨大な湖の水をきれいにする!:日本の「琵琶湖」をお手本に「BIWAKOタスクフォース」が大活躍 | ニュース・広報 - JICA