jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

過去の教訓を未来への備えにつなぐ ― 神戸のコミュニティから生まれた「BOKOMI」が世界へ ―

2026.04.07

研修コース名:コミュニティ防災
日程:2026年1月14日~2月13日
主催:JICA  協力:一般財団法人日本国際協力センター
コースリーダー:神戸大学名誉教授 室崎益輝教授

JICA関西は、開発途上国で防災を担う行政官を対象に、地域の力を生かした防災・減災の取組を学ぶ研修「コミュニティ防災」を実施しています。日本のコミュニティレベルでの防災活動や実践的な取組を学ぶことで、参加者が自国に適した防災活動を企画・実践できるようになることを目指しています。
今年は、ヨルダン、モルディブ、パプアニューギニア、フィリピン、北マケドニア、セルビア、ソロモン諸島、ソマリア、スリランカ、東ティモールの10か国から11名が参加しました。研修の様子をご紹介します。

お互いを知る-研修のはじまり-

研修のはじめには、自国の災害リスクや防災活動の現状、直面している課題を発表しました。自然条件や社会背景が異なる各国の状況を共有することで、参加者同士がお互いを知り、理解を深めるとともに、その後の研修に向けた共通認識を築く機会となりました。
研修中は、大規模災害を経験した日本の取組事例の一つとして、神戸で誕生した防災福祉コミュニティ「BOKOMI」の活動に触れながら、「自助・共助・公助」の考え方や、地域住民が主体となって進める地区防災計画について理解を深めました。また、兵庫県や神戸市の防災体制を例に、行政の役割や地域との連携の重要性を学び、参加者同士がそれぞれの経験やアイデアを共有しながら、実践的で活発な議論が行われました。さらに、防災マップ作りやゲーム、グループディスカッションなどの参加型プログラムを通じて、参加者間の交流が促進され、チームとしての一体感が生まれていきました。

防災イベントで実感した「共助」の大切さ

1月17日は、ふれあいのまちづくり協議会主催の防災訓練に参加しました。水消火器訓練やバケツリレーなどを体験し、訓練を通じて世代を超えた協力体制や日頃からの備えの大切さを実感しました。また、1月25日にはHAT神戸で開催された防災イベント「イザ!美かえる大キャラバン2026」に参加し、楽しみながら学ぶ防災を体験しました。参加者はブース運営にも関わり、来場者との交流を通じて、防災を“自分ごと”として伝える工夫を発見しました。特に、学生の主体的な参加と家族の結束力に感銘を受け、若者を巻き込む視点を各国の防災教育に応用したいとの感想が寄せられました。

過去の教訓と未来への備え-日本の防災最前線を訪ねて-

研修旅行では、2018年の豪雨災害で大きな被害を受けた岡山県倉敷市真備町を訪問し、復旧・復興の過程を現地で学びました。被災後、住民と行政が協力しながら地域の再建を進めてきた経験は、参加者にとって多くの学びと気づきを与えるものでした。
続いて訪れた徳島県海部郡美波町では、南海トラフ地震を見据えた「事前復興」の考え方のもと、住民・地域・行政が一体となって複合災害に備える取組を視察しました。津波避難場所や免震構造の病院、廃校を活用した避難所運営など、平時からの具体的な備えに触れ、日常的な意識づくりと地域のつながりの重要性を改めて認識しました。

次世代を担う高校生との出会い

神戸市立科学技術高等学校の皆さんとの防災教育交流会を実施しました。同校の環境防災班による発表では、これまでの活動成果や今後の課題を共有するとともに、神戸の街をモデルにした水害対策模型を用いたデモンストレーションを行っていただきました。また、空飛ぶ車いす研究会からは、使われなくなった車いすを修理・整備し海外へ届けるボランティア活動の紹介があり、若い世代の技術力と行動力が、防災や社会課題の解決に直結していることを学びました。こうした世代や立場を超えた交流は、参加者にとって自国における防災教育や人材育成を考える上で、大きな刺激となりました。

広がるJICA研修員のネットワーク

過去に本研修に参加した帰国研修員との情報交換会をオンラインで実施しました。2023年度の参加者からはブラジル、アルメニアの2名、2024年度の参加者からはマラウイ、ラオス、セルビアの研修員が参加し、帰国後の活動進捗状況やアドバイスを共有し合いました。ブラジルのビクターさんは、「予算がなくてもできることは必ずあると思って、何でも挑戦してみることが大切です」と前向きなメッセージを送ってくれました。そして、研修最終日には、研修員一人ひとりが、学びを踏まえた帰国後の行動計画(アクションプラン)を発表しました。

フィリピン・ニールさんの感想

日本の専門家や各国からの研修参加者との交流を通じて、多くの人とのつながりを築くことができました。帰国後は、住民や学校、女性グループ、高齢者、若者などと協働し、地域防災・減災管理計画を共同で策定するとともに、学校を中心とした子ども主体の防災活動を強化していくことを目指します。さらに、日本のBOKOMIに類似した「防災に強い福祉コミュニティ」の考え方を現在の取組と結び付け、地域レベルにおける自助・共助を、より組織的で持続可能なものへと発展させていきたいと考えています。

コースリーダー(室崎益輝教授)からのメッセージ

アクションプランは、策定して終わりではありません。日本の取組をそのまま取り入れるのではなく、皆さんの国や地域の実情に合った形で創造的に発展させ、日本の私たちが学ぶべきモデルを生み出してほしいと思います。学び合いは双方向です。参加者同士はもちろん、過去の参加者からも積極的に学び、国際的なコミュニティ防災のネットワークを広げていきましょう。できることを、できる形で、粘り強く取り組まれることを願っています。

結びに

参加者は、研修で得た知識や実践事例、地域住民との交流から得た気付きを活かし、帰国後、それぞれの国や地域の実情に応じたコミュニティ防災の取組を推進していきます。こうした取組が、各地における持続的な地域防災力の向上につながることを期待しています。本研修の実施にあたり、ご協力いただいたすべての皆様に、心より感謝申し上げます。

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ