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JICA研修がつなぐ国際協力~日本で得た学びをエジプトの新生児医療の未来へ

エジプト保健・人口省 集中・緊急医療中央管理局 新生児・小児集中治療室室長
名前:アハメド ロバ サミー エルサイド
研修コース名:2025年度「妊産婦・新生児保健・臨床ケア」
研修期間:2025年9月16日から10月29日まで(遠隔研修期間を含む)

JICA関西では、愛仁会高槻病院の協力のもと開発途上国の医療従事者や行政担当者を対象に「妊産婦・新生児保健・臨床ケア」研修を実施しています。この研修では、参加者である行政担当者、産婦人科医・新生児科医・看護師が、日本の医療現場や考え方を学び、自国でより良い医療サービスを提供するための具体的な活動計画を作成します。そして帰国後、それぞれの所属する組織においてその計画を実施しています。

今回は、2025年に参加されたエジプトのアハメド・ロバ・サミー・エルサイドさん(以下、ロバさん)から、帰国後の取組について報告が届きましたのでご紹介します。

※以下は、ロバさんから寄せられた報告をもとに、日本語に翻訳・編集して掲載しています。

JICA KCCPの知見をもとに、エジプトの新生児医療に貢献

高槻病院の協力のもとJICAが実施したKnowledge Co Creation Program(知識共創プログラム)「妊産婦・新生児保健・臨床ケア」研修で得た知識と経験は、エジプト帰国後の私の仕事に大きな影響を与えています。
私が研修で策定した活動計画では、以下の2点を主な目標として掲げました。

  • エジプト全土における新生児ケアの分類に関する標準化された全国システムの確立
  • 新生児医療における家族中心ケア(Family-Centered Care)の推進

現在、保健・人口省において新生児医療の強化に取り組む国家的プロジェクトに積極的に参画しており、これらの目標に向けて大きな進展が見られています。
主な取り組みと成果は以下の通りです。

  • 新生児集中治療室の機能分類のための国家的枠組みの整備

新生児集中治療室を医療レベルや機能に応じて分類するための国家的枠組みの構築及び導入を支援し、新生児がその状態に適した医療機関で治療を受けられる体制を整備しています。

  • 医療従事者の研修体制の強化

新生児ケアに関わる医療従事者の研修の企画・調整に参画し、医療やケアの実践の標準化や、紹介体制の構築、医療の質向上および人材能力の強化に取り組んでいます。

  • 家族中心ケアの推進

カンガルー・マザーケア(母子の肌と肌の接触と母乳育児を組み合わせた新生児ケア)や、母乳育児支援、保護者の関与、心理社会的支援の導入など、家族中心ケアの普及に取り組んでいます。

  • 新生児医療の質向上

ガバナンスの改善、多職種連携、エビデンスに基づく医療の実践を促進し、新生児の健康状態の改善に取り組んでいます。

  • 日本での知見の共有による知識移転

日本で得た経験や教訓をエジプトの関係者や政策決定者と共有し、現地の状況に適合させることで、実効性のある知識の普及に取り組んでいます。

  • 国家患者安全ガイドラインの策定への参画

世界保健機関と連携して策定されたエジプトの新生児ユニット向け「国家患者安全ガイドライン」に、共著者として参画しました。このガイドラインは、患者安全に関する実践の標準化と新生児医療の質の向上を目的としています、また、本ガイドラインにアクセスできるQRコードを共有します。これらの資料を通じて、JICA研修で得た知識と経験が、エジプトにおける母子・新生児医療の改善に向けた具体的な取組や国家レベルの施策にどのように活かされているかをご理解いただけると思います。

シミュレーションを用いた新生児蘇生研修

ベッドサイド新生児ケア臨床研修

新生児ユニット患者安全ガイドQRコード

その他にも、国家レベルでの取り組みも行っています。

  • 国家助産プログラムへの参画

「最初の1000ゴールデンデイズ」イニシアチブのもと、保健・人口担当副大臣が主導する国家助産プログラムの立ち上げに参画しました。本プログラムは、助産師の役割強化および家族中心の質の高いケアの推進を通じて、母子・新生児医療サービスの向上を目指しています。

  • 新生児ケアに関する研修戦略への関与

保健・人口省およびユニセフ・エジプトとの国家レベルの協議に参加し、全国を対象とした新生児ケア研修戦略の策定及び実施に関与しました。本取組は、医療従事者の能力強化、新生児の健康改善、死亡率の低減、医療の質向上を目的としています。

日本での経験は、私の視野を広げるとともに、リーダーシップ能力を大きく高め、専門分野の成長やエジプトにおける母子・新生児の健康向上への取り組みに大きく影響を与えています。
特に、「相互尊重」「チームワーク」「時間厳守」といった日本の価値観や、思いやりがあり家族を中心に据えた医療のアプローチに深い感銘を受けました。これらの価値観は、私の日々の実務や医療サービスの改善にも活かされています。
そして、現在エジプトで進められている新生児ケアの前向きな変化を促す重要な契機となっていると確信しています。
私は、今後もJICAおよび高槻病院との協力関係の継続し、エジプトにおける新生児医療の発展に尽力していきます。
最後に、JICA、高槻病院、そして本プログラムに関わられたすべての皆様に、これまでのご支援とご指導、励ましに対して心より感謝申し上げます。

AIN SHAMS University、保健・人口副大臣との母子新生児の健康向上に向けた会合にて

保健・人口大臣、ユニセフ代表との新生児医療サービス強化に向けた会合にて