インターンは見た!埼玉で異国に向き合う1日~グローバルセミナー2024~

2024.03.04

埼玉県の先生がザンビアの子どもたちにソーラン節を伝授!

埼玉からザンビアに旅立った4人の先生の出会いと学びとは?

 去る2月4日、コーププラザ浦和で「グローバルセミナー2024」が開催されました。
 前半は、この夏にJICA教師海外研修(注)で埼玉からザンビアを訪れた4名の先生からの報告タイム。
 初めて訪れるザンビアでは、どの先生も新しい気づきが多くあったといいます。例えば「自分自身も『先進国が途上国を助けてあげている』というイメージにとらわれていたことに気づいた。実際にはそんな上下な関係ではなかった。」「共生のために助け合っていくという考え方にシフトしていく必要があると気づいた」という声があがりました。
 今回の4名は校種・教科・経験年数等さまざまですが、どの先生にも共通していたのが、生徒たちがザンビアについて理解を深めながら、まずは日本との違いに気づく機会を提供できて良かったという点です。
 特別支援学校の先生からは「間接的支援など、抽象的なことを考えるのは難しかったという部分はあるものの、生徒たちは途上国について真剣に考えて話し合うことができた」という話もありました。
 1年間の研修は終了しましたが、これからもこの1年の学びを授業に活用していったり、他の先生や生徒に体験を話したりすることで、周りの人たちの興味関心の輪も広がっていきます。先生方の挑戦はまだまだ続く!

(注)教師海外研修とは、日本の先生方を開発途上国にお連れし、途上国の現状や国際協力の現場、途上国と日本との関係に対する理解を深め、そこでの学びをご自身の授業に還元し、地域に波及していただく研修です。

ザンビアの名産の布・チテンゲでできた服を身にまとって発表した渡邊先生。

世界に目を向けた多文化共生のまちづくり~先生・市民団体からの基調発題~

 グローバルセミナー後半は、2名の先生による基調発題とワークショップでした。
まずは春日部市立武里中学校の小谷勇人先生による講演「多文化共生社会の実現に向けた学校づくりの取り組み」。小谷先生からは「私たちが異文化に対する理解や日本人としてのアイデンティティを捉えなおす必要があるのと同時に、学校もそれに対応できるようにならないといけない」という言葉がありました。
 参加者からは「日本の文化も含め、様々な文化を知るにはまず体験することが必要なのではないか」「日本における、政治や宗教へのイメージや扱い方の違いによる難しさに気づいた」といった声があがりました。
 次は外国ルーツの青少年に日本語や就学支援をしている地域団体・ESMY代表の持丸邦子先生による講演「日本語・生活支援等の実践を通して~地域での取り組み~」。外国人労働者の増加に伴い、日本語支援を必要とする子どもの数も年々増え続けています。そのような中でのESMYの活動から持丸先生が感じられた、地域での外国にルーツをもつ子どもたちへの日本語支援の実態、そして今直面している課題についてお話がありました。
 中国出身の参加者からは、「在日外国人のコミュニティを活用できないか。日本の進学システムなど、親も学ばないといけないことがたくさんある」という意見がありました。

先生から話を聞いた後は、付箋を使って感想シェア!

いま私たちにできる考え方と行動

 基調発題の後は、異文化体験ワークショップが行われました。異なる価値基準をもつコミュニティに入っていった時、自身はどうふるまうのか!?ゲーム感覚で自身の態度を見直しました。この記事でゲームの種明かしは控えますが……参加者は皆自覚していなかった自分のあり方にビックリ!「初めから常識や前提を疑うことは難しいよね」「自分のものさしで判断していたことに気づいた」という声が多くあがりました。
 このゲームで体感したことを踏まえ、多文化が共生するまちづくりのために必要な「マインド」と「アクション」を考え、意見交換を行いました。マインドの面では、「当たり前は誰にとっての当たり前なのだろうと考えさせられた」「しっかりと『自分』を持っていないと、多文化共生の時代で『自分って何だろう』となってしまう」といった意見がありました。アクションの面では、高校生の参加者から「自分の常識と異なることに遭遇した時に、自文化の押しつけではなく相手への疑問・関心に変えて学びたい」という声がありました。

報告者より…
 皆さま初めまして!JICA東京・市民参加協力第一課インターンの小田島ナウラと申します。大学3年生で、開発援助や教育に興味を持ちながら文化人類学を学んでいます。
 今回のセミナーでは、特に持丸先生による日本語支援の基調発題に興味を持ちました。日本語支援をされているボランティア団体は今や必要不可欠な存在であるのにも関わらず、多くの自治体で「ボランティア」という形態に頼りきりであることに危機感を覚えます。ある程度の日本語が理解できないと厳しい日本で在留外国人が増え続けている今、日本語支援の体制も根本的なところから考え直す必要があると感じました。
 ワークショップでは年齢も性別も関係なく、みんな一緒になって多文化共生について考えましたが、やはり参加者それぞれの立場や経験などによって、物事の見え方や考え方は変わるものだな…ということをひしひしと実感しました。今回は先生や元・先生の参加が多かったですが、もっと色々な職業やバックグラウンドをもつ人たちが集まって、一緒に多文化共生を考えてみても面白そうです。
 最後に、今回のワークショップを進行していただいたメディア総合研究所の福田さんからの問いかけを共有します。
「『認める』ってなんだろう?なぜ多様性は大事なのだろう?」
これは、答えのない問いかもしれません。今は一つの組織だけでは問題を解決できない時代だからこそ、「協働」が求められるようになっています。「多様性」を単なる流行りものとしてとらえるのではなく、なぜ今それが叫ばれ続けているのかを考え続けていきたいです。

報告者:小田島ナウラ(JICA東京・市民参加協力第一課インターン)


埼玉県内外から先生・元先生・教え子・市民団体…などなど、よりよい未来に関心のある方々が集まりました!

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