インターンは見た!ぐんまグローバルセミナー2023~教師海外研修 群馬報告会~

#4 質の高い教育をみんなに
SDGs
#17 パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs

2024.03.15

群馬から飛び立ち、海外の教育現場にかかわった先生方による報告会の様子を、大学生インターン・小田島がお伝えします!

東南アジア・カンボジア、アフリカ・ザンビアから帰ってきた先生は…

2月17日(土)、Gメッセ群馬でJICA教師海外研修(注1)の参加教員と日本人学校の帰国教員による報告会が実施されました。

まずは教育行政コースに参加した、前橋西高等学校副校長の田崎潤先生による報告です。報告の中では、カンボジアで協力隊活動をしている隊員とオンラインで繋いで、リアルタイムでのインタビューも。田崎先生からは「自分が熱意をもって取り組めば、次第にいい仲間が集まってくる。興味のある人を見つけ、巻き込んでいくことが大事。それがいずれ、子どもたちの成長につながる」という言葉がありました。そういった先生方の姿勢が子どもたちに伝わると、学びへの意欲をどんどん引き出していけそうですね。

続いて一般コースでザンビアを訪れた、高崎市立矢中中学校の梅村唯斗先生。「知識構成型ジグソー法」を用いた模擬授業を行いました。ザンビアにまつわる写真を渡された参加者は、グループになってその写真にある情報を解釈し、意見交換を重ねながらこの国の課題や必要とする支援を多角的に考えました。実際の授業では、写真に対して質問があがっても一切答えず、生徒は想像力・推察力をはたらかせて写真にある情報を読み取り、それを踏まえたうえで、自分たちが日本でどのようなことができるかを考えたとのこと。「途上国だからこそいいことはたくさんある。途上国から見てみると、日本の課題がまた違ったように見えてくる」と締めくくられました。違う目線から物事を見てみることの大切さが伝わる発表でした。

(注1)教師海外研修とは、日本の先生方を開発途上国にお連れし、途上国の現状や国際協力の現場、途上国と日本との関係に対する理解を深めていただきます。教育行政コースは、学校全体で開発教育の継続的な取り組みを実施するためのスクールリーダーの能力強化すること、一般コースは、途上国での学びをご自身の授業に還元し、地域に波及していただくこと、を主たる目的としています。

写真左から:群馬県立前橋西高等学校・田崎潤先生、高崎市立矢中中学校・梅村唯斗先生

日系移住地のあるパラグアイではどんな学びが?

次は一般コースで南米・パラグアイを訪問した先生方の発表です。

3人目は、高崎市立八幡小学校の吉田裕文先生。パラグアイには日系移住者が住む地域があり、子どもたちは通常の学校が終わった後、日本語学校に通うといいます。日系移住者が孫の世代と一緒に餅つき体験をするなど、日本文化を継承する行事も多いそう。吉田先生が担任している特別支援学級の子どもたちは、日本や群馬、自分たちの学校についての紹介を、絵や文・音声入力で表現し、ラパス日本語学校へ送ったとのことです。日本語学校の子どもたちから感想が届いたら、より一層国際交流の実感が湧きそうですね。

4人目は太田市立沢野小学校の笠原香織先生。国語の「提案文を書こう」というテーマで、5年生に授業実践を行いました。パラグアイの小学生の生活や、日系の子どもたちの悩みを紹介したそうです。沢野小学校は外国籍の児童が多く、「そういった環境にいる子たちだからこそ、パラグアイの日系の子たちにも寄り添えるのではないか」と考え、この授業は練り上げられました。子どもたちは「日系の子が周りと仲良くなるにはどうすればよいか」をテーマに、考え方や話し方、遊びなどを考え提案したとのことです。このまま多文化共生の意識を持ち続け成長してほしいですね。

写真左から高崎市立八幡小学校・吉田裕文先生、太田市立沢野小学校・笠原香織先生

中国での生活、そして日本人学校ってどんななんでしょう?

今年度の群馬グローバルセミナーは、群馬県国際理解教育研究会とJICAの初の合同開催。同会は、群馬県内の国際理解教育の普及と振興ならびに充実発展に寄与することを目的した団体です。

本セミナーの最後を飾ってくださったのは、同会ご所属で、コロナ禍で上海日本人学校に赴任した玉村町立中央小学校の金井聡先生。上海日本人学校は世界で2番目に大きい日本人学校で、全国各地から先生が集まっています。発表では上海の街の様子や食べ物など、生活を感じる写真もたくさん見せていただきました。スマホの翻訳アプリがあるので中国語ができなくても支障なく生活できるとのことですが、先生は「どんどん現地コミュニティに入っていきたい!」という姿勢だったため、中国語も勉強したそうです。

日本人学校は日本にある学校と同じく、学習指導要領に基づいた教育を行っています。金井先生は中学部の担任をされていましたが、特に中学3年生の進路関連の仕事の負担が大きかったそうです。生徒たちが帰国してから進学する都道府県はそれぞれ異なるため、調査書の作成が本当に大変だったとのことでした。

日本人学校での3年間を通して、金井先生は「対応力」が必要だと感じたといいます。基本的な生活への対応力や、全国から来る教師間のギャップなど、対応力が求められる場面が多かったとのことです。困難な場面もあれど、様々な先生や生徒に触れて最終的には「意外となんでもやれるじゃん!」と感じたといいます。「海外で日本人学校の教師をするってどんな感じなのだろう?」と聞いている側もワクワクさせられる発表でした。

群馬県国際理解教育研究会は、年間通じて国際教育セミナー、帰国教員体験発表会、在外教育施設への派遣希望者セミナー等の企画・運営を行っていらっしゃいます。今回、同会と合同開催できたことで、これまでJICA単独で開催してきたときより3倍ちかい集客があったとのことです。会の方々の適確かつご丁寧な準備・企画と進行から、インターンとしても沢山のことを学びました。

写真:玉村町立中央小学校・金井聡先生

〇報告者より…
今回は群馬県の先生方による報告会についてお伝えしました。いかがでしたか?学校に1人でもこうした研修に参加した先生がいれば、周りの先生方や児童生徒の考え方・意識にも何か変化があるかもしれませんね。全く知らない人の話ではなく、自分が通っている学校の先生だからこそ、そこでの体験を聞いてみることで途上国の様子をより身近に感じられそうです。「世界の問題が自分たちにもつながっていることに気づき、それを他人事ではなくジブンゴトとして捉えてほしい」と熱い想いで授業を行ってきた先生方の姿は素敵でした。

報告者:小田島ナウラ(JICA東京・市民参加協力第一課 インターン)

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