1年間に渡った教師海外研修の総まとめ!先生たちの学びとは!?

2024.03.27

こんにちは。JICA東京でインターンシップに取り組んでいる岡本です。
ついに、1年間にわたる教師海外研修のラストを飾る総括研修の日を迎えました!
今年の研修では、チームでの授業作りに挑戦!先生方の興味あるテーマに沿って5つのチームに分かれました。テーマは「幸せ」「ジブンゴト」「多様性」「パートナーシップ」「文化」。総括研修では特に授業実践における「手応え」と「課題」について、熱く語り合いました。ザンビア・パラグアイの訪問や授業実践を終えた先生方が、たっぷりの学びを持ち寄った最後の研修の様子をお届けします!

授業実践を経て、先生が感じた「手応え」

 朝の10時から始まった総括研修。午前中はチームの垣根を超え、他のチームではどのような授業実践を行ったのかを聞き合いました。そして、午後は元のチームに戻り、午前中に聞いた実践を共有しつつ、今回の授業実践を終えての手応えと課題、そしてその課題を乗り越えるためのアイディアを話し合いました。

授業実践において、まずは先生が感じた「手応え」を2つ紹介させていただきます。

【子ども達に考える種をまく】
 話し合いの中で、ある先生は、「生徒が、教わった知識を行動に結びつける、という目標の達成が難しかった」と話してくれました。授業を受けたことによって国際協力に興味をもち、生徒主体でザンビアの孤児院への中古パソコンの寄付を呼び掛けた、という例もありましたが、必ずしもすべての子ども達が現段階でそのような大きな行動に移っている訳ではありません。先生たちは、実際にザンビア・パラグアイを訪問し、世界の課題に対し熱い想いを持っています。だからこそ、子ども達には新しい価値観に気付くだけでなく、それを踏まえて行動まで変化してほしいと願ったのです。しかし、行動にまでは結びつかなかった・・・

 このような反省を語る先生に対し、別の先生が印象的な言葉を投げかけていました。

「私たちはすべての生徒の生活や行動を変えることまではできないかもしれない。それでも世界や社会課題について“考える種”をまくことができたと思います。そして、種まきこそが私たちの大きな役割ではないでしょうか。」

 この「考える種をまくことができた」という言葉は、他の先生方からもたくさん聞こえてきました。まいた種が今は実らなくとも、将来大学で、社会人になって、、、どこかのタイミングで、種がようやく実り行動へと移す。そんな可能性を作ることができたと先生は語っていました。


【チーム活動のメリットを子ども達に落とし込む】
 私がチームの話し合いを聞き回る中、非常に印象に残ったことが、チームで活動することによって、「先生たちの交流」だけでなく、「他の学校の子ども達との交流」も実現できたという意見でした。
 例えば、とあるチームでは学校や学年の枠を超え、ザンビア・パラグアイのクイズをするという合同授業を行いました。小学生から中学生、高校生まで交流し、年齢もバラバラな子ども達が、一緒にザンビア・パラグアイについての知識を増やすことができました。また他にも、佐渡市(新潟県)の先生と市川市(千葉県)の先生がコラボし、児童が自分の住む地域の文化や魅力を伝え合う授業もありました。
 このように、チームでの授業作りがきっかけとなって、他の学校の子ども達との交流が生まれ、想定されていた「外国(ザンビア・パラグアイ)と日本の交流」だけでなく、「日本の異なる地域間の交流」も達成できました。いつもと違う授業をすることで、子ども達の興味・関心が高まったという意見もあり、チームでの取り組みが結果的に子ども達の新しい学びにつながったと先生方は話していました。

合同授業でザンビア・パラグアイクイズを実施!予想以上に盛り上がりました!

話し合いで見つけた「課題」

 様々な「手応え」があった一方で、今回の授業実践ではできなかったことや反省点などの「課題」も見つかりました。

「伝えたいこと、情報が多すぎて、生徒が混乱してしまった」
「板書で生徒の意見を誘導してしまった」
「短時間で、世界で起こる課題を“ジブンゴト”に感じてもらうのは難しかった」
「教科とテーマを結びつけることができなかった」などなど…

 先生の「子ども達にもっと色々なことを知ってほしい」「新しい価値観に気付いてほしい」という強い想いによって、逆に授業の狙いがぶれてしまったり、気付きを促すことに想像以上に時間がかかったりした、というような反省も出ていました。
 また、日本の教育内容や制度上の縛りから、個人で対応するのは難しい課題もある、という意見もありました。「伝えたい」という大きな想いとは裏腹に、担当している教科や学校の方針・スケジュール等の制限があり、使える授業のコマ数が少ない…。教科横断的な活動をしたいけれど、同僚や管理職の同意が得られず、実現は難しい…。などなど、様々な要因で、理想通りにはいかない現実がありました。

チームごとに「手応え」と「課題」を話し合いました

課題を共に乗り越える!

 たくさんの課題に対し、今後どのような活動や行動が必要なのかという話し合いも活発に行われ、「狙いを熟考し、内容や情報を精査する必要がある」「短時間で完結すると考えず、長期的な目標立てが必要である」などの意見が出ました。
 加えて、1人の力では解決できない課題に対し、先生たちが見つけ出した解決策が「つながる」ことです。JICAとの関わり、国内での研修やザンビア・パラグアイの現地で知り合った方々との交流、そして何より今回共に活動した仲間との繋がり。お互いに励まし合い、学校や地域を超えて協力し合うことで、さらに良い授業実践やもっと大きな活動をしたいという声があがっていました。
 研修の最後には「1年に1回集まりましょう!」という提案があり、教師海外研修を通して得たつながりを今後に生かそうとする、先生たちのポジティブな発言・行動が大変魅力的でした。そのような姿に、私自身も影響を受けた素敵な総括研修でした!

集合写真をパシャリ!研修をやり切った先生の、素敵な笑顔です!

おまけ

 先生たちは、授業実践を通じて自分自身も変化したと語っています。そこで、「自分自身の変容は?」という問いに対しての先生の答えを少しだけ掲載いたします!


■自分自身の変容は?■
「これまではできない理由を考えていたが、どうやったらできるか考えるようになった」
「新しい環境・人との出会いに飛び込むようになった。“わくわく”を自分が持っていると、子供も授業に食いつくのだと知った。」
「研修を通して、もらった勇気と元気を生徒に還元することができた。」
「それぞれの立場/違いを知ることを意識するようになった。」
「チームで授業を作ることができた。教科を超えて横断的に授業を実践したいという想いもあるが、やはり自分の教科で国際教育を実践したいという想いも持った。」

授業実践や、研修を終えての先生達のコメント等、詳しい内容は報告書に掲載予定です!完成したら下記ホームページに掲載予定ですので、ぜひチェックしてみてください。

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ