教師海外研修 授業実践レポート① 群馬県立尾瀬高等学校
2024.10.15
教師海外研修は、教員の方々が実際に開発途上国を訪問することにより、途上国が置かれている現状や国際協力の現場、途上国と日本との関係に対する理解を深め、帰国後は学校現場での授業実践等を通じて、児童生徒の教育に役立てていただくことを目的として毎年実施しています。
今年はJICA東京・JICA北陸の合同開催。1都7県(東京・埼玉・千葉・群馬・新潟・長野・福井・富山)から地域・校種・教科の異なる21名の先生達が、パラグアイ(7/26~8/10)、バングラデシュ(国内代替プログラムに変更、8/9~8/11)のコースに分かれて参加しました。
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9月からは、それぞれが学んだことを児童生徒に還元すべく、続々と授業実践が始まっています。
今回は群馬県立尾瀬高等学校の清水先生の授業を訪問しましたので、レポートします!
尾瀬国立公園の近くにある群馬県立尾瀬高等学校で英語を教える清水先生は、バングラデシュコース(国内代替研修に変更)で学んだことを生徒たちに還元すべく、「経済成長の光と影」をテーマに、ファストファッション業界が抱える環境問題、経済発展、労働条件の複雑な課題について生徒に多角的な視点から考えさせる授業を実施しました。
授業の導入では、環境問題に関連する英単語や表現を学び、授業の後半は、「環境保全と生物保護の観点からファストファッションを買わない」というある生徒の主張に対し、賛成・反対を考察しました。生徒たちは縫製工場で働く少女、バングラデシュの政府役員、JICA職員、首都からの就労者の四者の立場に分かれロールプレイを行い、それぞれの視点から意見交換をし、議論を深めました。
清水先生は、「各登場人物の背景を知り、意見交換を通じて自分の意見を持つことを目指した」と語りました。授業見学者からは、「英語の授業と経済・環境問題を関連付けていて非常に参考になった」という意見が寄せられました。
意見交換を通じて、最初は賛成だった生徒が反対に転じるなど、思考の幅を広げる良い機会となりました。この授業により、生徒たちは複雑な社会問題に対する理解を深め、自分の意見を形成する力を養いました。
尾瀬ごみ持ち帰り運動について説明する清水先生
立場が変わると考え方も変わってくる…。4人別々の視点で考えます。
JICA教師海外研修は、多くの出会いと学びに満ちていました。また、今私たちは“正解のない問と共に生きる時代”にいることを実感する毎日でした。だからこそ、「教える」のではなく「生徒と一緒に考える」授業をしたい!と思い、大自然に囲まれた尾瀬高校のテーマ“人と自然の共生”について考える授業を行いました。人は自然とどう関わるべきなのか?共生とは何を意味するのか?本校に赴任して5年目になる私自身、その答えがわかりません。正解を教えるのではなく、生徒と一緒に考えることの楽しさと大切さを、授業実践を通して学ぶことができました。 清水 紀恵
尾瀬高校は群馬県北部の中山間地域にある小規模高校です。地元生徒中心の普通科と全国から生徒が集まる自然環境科があり、互いに刺激を受けながら学びを深めています。清水先生は普段からアグレッシブで、様々な業務に創意工夫があります。この教師海外研修にもすぐ興味を示したり、今回の授業も両学科の生徒を混ぜて試みたりと、何事にもチャレンジ精神を見せてくれます。これからも、清水先生がどんな活躍をしてくれるかとても楽しみです。
群馬県立尾瀬高等学校の田崎潤校長(右)と、研修に参加した清水紀恵先生(左)
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