未来の国際協力の種をまく 課題別研修「健康危機における結核制圧と薬剤耐性のための最新診断」が埼玉県の小学校を訪問
2024.10.23
「エリトリアやマリってどこにあるのでしょう?」
「JICAのJは何の頭文字?」
日本の小学生が世界各国への理解を深めるとともに、日本が国際社会に対してどのような取組みを行っているか学びを深めるきっかけづくりとして、JICA研修員5名が埼玉県所沢市立東所沢小学校を訪問し、4年生と交流をしました。
子ども達が世界とのつながりを肌で感じ、楽しみながら多様な文化・価値観に触れる。━━そんな人と人との交流を通じ、子どもたちが海の向こうの遠い世界の出来事としてではなく、知ったこと、理解したことを、自らさらに調べたり、仲間と話し合ったり、世界の未来にとって大切なことを考えて行動していく。そんな「ジブンゴト」として学びを深めるきっかけづくりをJICAは研修員の学校訪問の形で応援しています。
同校小学校4年生の授業「総合学習」では、3学期に向けて世界の国々について学ぶため、そのひとつの試みとして、今回、学校訪問をしました。訪問したのは、エリトリア、マリ、マーシャル、タイから来日した研修員です。
JICA研修員が小学校に到着すると、まず校内を見学させてもらいました。保健室には、応急処置用の医薬品が置いてあるだけでなく、体調が悪くなった児童が休めるようにベッドが置いてあったり、低学年の児童が下着を汚してしまった時のためにシャワーが設置されていたり、替えの下着の準備もあります。体重計・身長計測計を見た研修員からは「どのくらいの頻度で児童の体重・身長を測るのですか?」、「測ったデータを授業で使うことがあるのですか?」といった質問が出ていました。
普段は自国のラボ(検査室)で仕事をしている研修員達にとって、理科室の見学は興味津々です。実験器具の保管の様子や人体模型を見せてもらいました。理科室に飼われているウーパールーパーを見て、タイの研修員はとても興味を持っていました。
保健室を見学するJICA研修員
理科室では、実験器具の保管状況について説明を聞く
さて、交流の時間です。まず、児童から東所沢小学校の紹介がありました。リレー大会、運動会などの学校行事にどのように取り組んでいるのか発表をしてくれました。中には、パワーポイントに英語を入れて発表資料を作成してくれた児童もおり、研修員は大きく頷きながら聞いています。
次に、JICA研修員それぞれから、各国の挨拶、自国での仕事、伝統衣装の紹介等、写真を交えてしました。また、最後に自国のダンスや遊びを紹介し、児童に体験してもらいました。それぞれの研修員が何を紹介し、児童の反応はどのようなものだったか簡単に紹介します。
エリトリアの研修員からは、エリトリアの音楽に合わせたダンスを紹介。肩を上下に動かす見たことのない動きに子供達は最初驚き、楽しそうに真似をします。
マリの研修員は、自国から楽器を沢山持ってきてくれました。「演奏してみたい人は?」と聞くと沢山手が挙がります。研修員が1つ1つの楽器の演奏方法を実演してくれ、最後には学校へ楽器を寄贈してくれました。
マーシャルの研修員は、紙飛行機の作り方を紹介しました。日本の紙飛行機とは少し折り方が違います。飛ばしてみると、風を切ってよく飛び、それを見た子供達から歓声が上がりました。
タイの研修員は、タイのダンスを紹介しました。右手を反らせて、左手を身体の中心に持ってきます。「ワン、ツー、スリー、フォー」とステップを練習した後、音楽に合わせて皆で輪になり踊ります。
タイの研修員が自国での仕事や民族衣装について発表
マリから持参した太鼓を披露する研修員
最後の質疑応答時には、マリの研修員(医師)より、児童へ質問がありました。
「将来医師になりたいと思っている人はいますか?」
複数の児童が手を上げます。研修員から児童に対して、メッセージが贈られました。
「医師になるということは、社会のために働き、社会へ貢献するということです。また、医師になるだけでなく、(大学教員等の)教育者になるということは、社会のためにさらに貢献することになります。社会へ貢献することは他に替えられない素晴らしいものを与えてくれます。ぜひ、あなたの住む社会のために頑張ってください。」
児童からは、こんな感想を頂きました。
「今日はすごく勉強になりました。結核の治療を学んだり、国の国技や、伝統的な服もわかりました。国旗も学べたと思います。国のやっていることやJICAのこともよく学べました。すごくわかりやすかったです。」
「JICAの方々の住んでいる国の伝統的な衣装や、遊び、している仕事を忙しい中教えに来てくれました。東所沢小のこともいっぱい聞いてくれました。また、東所沢小に来てほしいです。」
「勉強になったことは、それぞれの国のあいさつや、伝統的な衣装、楽器などのものを見せてもらったり、触れたりしたことです。そして、楽しかったのは、紙飛行機やダンスをしたことです。特に、輪になって踊るのが楽しかったです。」
また、先生からは「研修員の方々のお話を聞いて、子供達は今後の学習にとても意欲的になりました。伝統的な衣装や、楽器など、外国の国を調べるのに新たな視点をいただきました。」と感想を頂きました。
終了時には、多数の児童が研修員のもとへ集まり、握手をしている様子がとても印象的でした。多くの児童にとって、マリ、マーシャル、エリトリア、タイの人と初めて会い、その国について知り、興味を持つきっかけとなったことと思います。また、日本が実施している政府開発援助について知るきっかけとなったらとても嬉しく思います。東所沢小学校の皆さん、ありがとうございました。
マリの研修員が小学校へ寄贈した楽器
タイの研修員が作成した花とマーシャルの紙飛行機
scroll