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教師海外研修 授業実践レポート② 東京都立新島高等学校

2024.10.31

教師海外研修は、教員の方々が実際に開発途上国を訪問することにより、途上国が置かれている現状や国際協力の現場、途上国と日本との関係に対する理解を深め、帰国後は学校現場での授業実践等を通じて、児童生徒の教育に役立てていただくことを目的として毎年実施しています。
今年はJICA東京・JICA北陸の合同開催。1都7県(東京・埼玉・千葉・群馬・新潟・長野・福井・富山)から地域・校種・教科の異なる21名の先生達が、パラグアイ(7/26~8/10)、バングラデシュ(国内代替プログラムに変更、8/9~8/11)のコースに分かれて参加しました。

教師海外研修について、詳しくはコチラ

9月からは、それぞれが学んだことを児童生徒に還元すべく、続々と授業実践が始まっています。
今回は東京都立新島高等学校の渡邊先生の授業を訪問しましたので、レポートします!

【言語・方言の旅へ】

パラグアイコースに参加した渡邊千尋先生は、東京・竹芝から高速ジェット船で約3時間、伊豆諸島の1つ新島にある都立新島高等学校で英語を教えています。今回は、高校2年生のクラス(10名)で「言語」をテーマに2時間の授業を実践しました。

1時間目:世界の言語事情

自分たちが韓国人という設定で後輩に留学先としてお勧めするなら日本?パラグアイ?マレーシア?
国ごとに3つのグループに分かれ、まずはその国の情報を英語で読み込みます。その後、各国1人ずつで計3名のグループになり、それぞが読んだ国の情報を共有し、お勧めする留学先を決めていきます。「先住民の文化があるし、パラグアイがいいと思う」「英語が話せるからマレーシアがいいと思う」など、英語で読み取った情報を使って意見交換をしました。

英語で書かれたパラグアイ情報を確認する様子

2時間目:言語を学ぶということ

なぜマレーシアではマレー語が公用語なの?日本に「公用語」はある?
など、1時間目に出てきた3か国の言語について、多角的に考えた後、パラグアイ研修の通訳・同行でお世話になった福岡さんのインタビュー動画「言語を話せると広がる可能性」について真剣に耳を傾けていた生徒達。「様々な言語に触れることによって、多くの国の異文化を学ぶことで、自分が当たり前だと思っていた事が実は他の国では違かったりと、今まで見えていなかったものを知ることができるので良いなと思いました。」、「他の国の色んな情報も知りたくなった!言語とか特産品とか主食とか!」「(他の人の意見を聞いて)自分では思いつかなかったことを知ることができた」といった感想が出ていました。

複数の言語を話せると、どんな可能性が広がるんだろう…

「島」という環境で生活している生徒達に、自分の当たり前が当たり前でないという認識を常に持ち、他者と関わってほしいという思いでこの題材を扱った渡邊先生。この後は新島の方言の継承について授業を実践予定です。
世界の言語に目を向けた生徒たちが、今度は自分たちの地域の方言に注目し学習を進めていくのが楽しみです!

授業を終えて

普段は10名の生徒を習熟度別に3展開しており、1クラス2名から4名と少人数体制であるため、グループ活動がとても難しいです。今回は言語について多角的に考えることがねらいであったこともあり、2学年全員で行いました。普段の授業では見られない生徒の様子や、活発な意見交換があり、私にとっても良い刺激になりました。生徒たちの振り返りのコメントから英語以外の言語や他の国の文化・特色など、「さらに知りたくなったこと」も出てきたので、今後の授業づくりに取り入れます。また、教科・校種横断的に教育活動ができるような環境づくりを新島の先生方と一緒に整えていきたいです。  渡邊 千尋

校長先生より

渡邊千尋主任教諭は、本校に着任当初から英語教育・国際理解教育に熱心に取り組んでいました。海外研修後は、世界の現状について、研修で学んだことや体験したことを生徒に伝え、英語教育を通じた国際理解教育を実践しています。新島高校の教育目標は「将来の島に貢献できる人材や国際社会に貢献できる人材の育成に取り組む」ことです。今後、渡邊主任教諭にはグローバル人材育成のリーダーとなり活躍することを期待しています。

石田校長先生(左)、モヤイ像(中央)、渡邊千尋先生(右)

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