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教師海外研修のご縁を繋いで~パラグアイから一時帰国のパロサント専門ブランドMIDORI主宰 立川氏 都立高校で講演~

2024.11.06

「パロサントという、パラグアイ特産の素晴らしい木の価値を、世界中の人に知ってもらいたいと思っている」2017年創業のパロサント専門ブランドMIDORIは、この木に惚れ込んでパラグアイ移住の継続を決意した立川巧雪さんの、強い意志と仲間たちに支えられて成長を続けています。
10月23日午後、東京都立第五商業高校の視聴覚室は、パロサントの香りと、立川さんの情熱にあふれた起業の物語に満たされていました。実際の製品を回覧しながら、「改善点はあるか」「君ならどんな製品を提案するか」と問いかけられた高校生は、次々に自分なりの意見をぶつけていました。

パロサントの可能性にかけて

パロサントは非常に成長が遅く、密度が高く、非常に硬く、耐久性にも優れていることから、高級家具や調度品に加工されてきました。ところがその廃材は、わずかに燃料として利用されている程度でした。その廃材の可能性に着目した立川さんは、MIDORIを立ち上げ、木工製品の製作を開始します。最初の製品は、パラグアイの日系人やアジア系の人々、観光客の需要を想定して作成した箸だったと言います。手にしっくりとなじみ、香り高く、また耐久性に優れたその箸は、今ではパラグアイ外務省に買い上げられ、日本からの要人来訪の際のおもてなしにも使われているそうです。

素晴らしい素材と、日本人の感性とデザインの力で生み出される製品は、次第に顧客の心をつかむようになっていきました。MIDORIは、その収益の一部を、パラグアイの少数民族との共生や、森林再生の社会課題に還元するようになります。そうした姿勢が共感を呼び、日系人のみならずパラグアイ人に愛されるブランドに成長していきました。

今では大人気製品となった、パロサントで作った箸

パロサントで作ったお香を紹介する立川さん

教師海外研修との出会い

JICA パラグアイ事務所が、教師海外研修の訪問先としてMIDORIを初めて紹介したのは2019年でした。起業間もない日本人移住者の工房ながら、現地の社会課題に正面から取り組む姿を、日本の教員の皆さんに見てもらいたいと考えたからでした。
この研修に参加したのが、現在、都立第五商業高校で学校設定科目「ビジネスアイデア」担当の主幹教諭藤井宏之先生です。藤井先生はMIDORIの取り組みに深く感銘を受け、帰国後ずっと立川さんとのご縁を繋いできました。前任校でも一度、一時帰国中の立川さんに講演を依頼したことがあり、課題を発見し、ビジネスの力で解決を試みるMIDORIの姿勢が、高校生に大きな刺激を与えることを実感していました。ただ、今回は約200人の高校2年生全員を対象にした講演であり、十分なコミュニケーションが図れるのか、藤井先生にも、立川さんにも、未知数のところがありました。
結果は予想を大きく上回り、実際の製品を回覧していただいて改善点や提案を促された高校生は次々に自分なりの考えをぶつけました。授業後に先生に伺ったところでは、普段授業では消極的な生徒たちが積極的に発言していたとのことでした。

MIDORI工房のパロサント製品

2019年教師海外研修で訪問したMIDORIの工房。左から2番目が立川さん、3番目が藤井先生。

社会課題の解決には様々な方法があります。自分なりの道を見つけて追及する、そんな生徒さんが育っていくお手伝いが出来たら、こんなに嬉しいことはありません。教師海外研修のご縁を繋いできた藤井先生、応えてくれた立川さん、二人を応援してくださった学校の皆様、ありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いします。

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