【新潟県・長岡市】寺泊小学校・未利用魚の授業~地元の未利用魚の活用方法を考えよう~
2025.03.05
2025.03.05
2025年1月15日、長岡市立寺泊小学校の5年生を対象に、未利用魚問題について理解を深めてもらう授業を実施しました。
寺泊は昔の漁師町で、最近では関東の方でも「角上魚類」の名前で知っている人も多いのではないでしょうか?生徒の中には漁師の家の子もおり、本物の魚を見せるとみんな興味津々でした。
驚いたのは「お肉とお魚とどっちが好き?」という質問に半数が魚と答えたことです。通常、子供の場合8割がお肉、大人でも7割がお肉と答えます。さすが、漁師町ですね。寺泊の方によれば、嘘か本当か「寺泊には肉屋がない」そうです!尖った町って素敵ですね。
寺泊小学校は食への関心が高い小学校で、地元の食材で、塩や味噌、黒ごま等を自分たちでつくり、給食にして食べる活動をしてきたそうです。その活動が認められ、昨年、新潟県環境賞を受賞しています。
講義の様子「寺泊の未利用魚は地域資源」
講義のまとめ
授業の目的は、生徒達に国際的な視点から「寺泊の水産資源の価値は高く、見た目は悪くとも調理法次第でとても美味しく食べられること」「海洋資源の持続可能な利用の重要性」「地域と世界との繋がり」を認識してもらうことです。前日の仕入れでは、寺泊漁協の協力で、エソ、ドスイカ、あおみしま、つまぐろかじか、どんこ、エイなど、売れなかったり値段がつきにくい未利用魚を教材として選んでもらいました。特に粘着性のある体液や、独特な見た目の魚を用意しました。
当日、嫌がる生徒もいるかと思いましたが、その容姿が生徒たちの好奇心を刺激し、魚に触れ、捌く体験を通して、未利用魚への理解を深めてもらいました。料理人の矢澤氏の指導の下、あおみしまを煮つけにし、ドスイカをバター醤油焼きにして試食してもらいました。どちらも、見た目が悪くネトネトで、食用として普通では絶対に選ばれない魚だと思います。
試食時間、生徒達は恐る恐る魚を口にいれていきましたが、噛むと「やわらかい!おいしい!」と声を上げて喜んでくれました。
見た目が悪い魚たち
触るとねとねと、べたべたの魚
講義では、生徒達と未利用魚問題の解決策について議論も行いました。5年生とは思えない斬新なアイデア(例えば、販売時のレシピの提供、未利用魚せんべい、日替わりメニューにする、など)や数多くの意見が寄せられ、実際に使えそうなアイデアもあり、私達を唸らせました。
この様子から、今回の未利用魚の授業は、調理や試食・その販売方法まで含んだ新たな教育アプローチとして有意義だ、と先生方から高い評価をいただきました。
最後に、寺泊小学校には少し前に4年生にミャンマーからの転入生が来たそうです。今回の授業をきっかけに、今まで取り組んできた「地元食材を使った給食」に続き、「生徒の出身国の調理法や文化を取り入れた授業を展開してみたい」と学校から新たな依頼を受けました。
開発教育に前向きな地方の尖った寺泊小学校、今後が楽しみです。
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報告: JICA長岡デスク 原 洋介
調理実習「未利用魚を調理してみよう」
試食の様子「やわらかくておいしい!」
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