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【群馬】「夢を持って世界に羽ばたく市内企業の話」を聴きました!

2025.03.26

”夢を持って世界に羽ばたく市内企業の話を聴こう!”
というテーマで高崎市と共催のセミナーを開催しました。

 2021年10月にJICA東京高崎分室が開設されて以降、毎年高崎市と共催でセミナーを開催しております。
 今回のセミナーでは、中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)に採択され、夢と実益を追いながら途上国ビジネスにチャレンジしている市内企業の経営者たちによるユニークかつ真摯な気持ちや経験を、将来の途上国ビジネスへの挑戦を胸に秘めた経営者や地元の学生たちに向けてお届けしたほか、JICA東京スタッフによるJICA Biz事業の説明を行いました。
 対面・オンラインのハイブリッド形式での開催となりましたが、県内外の多くの方にご参加いただくことができました。

 以下、ご登壇いただいた3名のご紹介と、それぞれが語る海外事業への思いと今後の構想・メッセージです。

ごみも感染症もないクリーンな燃焼(株式会社キンセイ産業/金子 啓一常務取締役)

 焼却プラントのメーカーである株式会社キンセイ産業は、これまでペルーとタイでJICAの民間連携事業を実施したほか、ODAを通してカンボジアにも焼却炉を導入した実績があります。
 同社における海外事業を担当する金子常務は頻繁にさまざまな国に出張しており、海外ビジネスに対するアンテナが非常に高い方です。地球を綺麗にしたいという思いを持って入社した常務は、同社の持つ乾溜ガス化という燃焼させても煙が出ず環境に良い技術を日本だけでなく世界にも広めたい一心でこれまでチャレンジを続けてきたそうです。
①海外事業への思い
 「いろんな国に行って、”燃焼”という科学の話をするのがモチベーションになるし本当に楽しく、地球を綺麗にしたいという夢に進んでいるような気がする。」
②今後の構想・メッセージ
 「乾溜ガス化という技術が世界のどこまで役に立てるかをこれからも追いかけていきたい。海外事業は大変だが、JICA事業を経験した中小企業同士で交流が生まれるなど、国内外で縁が深まり楽しさがある。途上国の経営者は若く野心のある経営者が多く、これからのビジネスの可能性を感じる。そのような現実を発信しながら、より多くの仲間たちに知ってもらいたい。」

日本のシルク産業を世界で活かす(日本蚕糸絹業開発協同組合/小林 幸夫理事長)

 群馬県のご当地かるたとして知られている上毛かるたで「繭と生糸は日本一」と詠われているように、群馬県は明治から昭和にかけて養蚕と絹織物産業で発展を遂げました。全盛期に比べると流通量が劇的に少なくなりながらも、今も地場産業として続いております。
 小林理事長の本業は着物の裏地を作るメーカーですが、日本のものづくりを守るため、同業者だけではない絹織物産業に関わる上流から下流までの様々な企業が加盟する組合を組織し、更には海外にその技術を広めていくためにミャンマーやウズベキスタンへ進出しました。
①海外事業への思い
「海外に出ていくということは良い面も悪い面も両方あるが、一筋縄にいかないのは当たり前で、日本の中の常識が非常識だったり、日本で感じたことのなかった良さを知ることもある。まず、身をもって知るということが大事。」
②今後の構想・メッセージ
「次の世代への種まきをしていきたい。シルクは従来の製糸産業だけではなく、医療分野などにも普及できると信じており、次の分野においても海外で事業をしていきたい。」

知的障害者も楽しく働ける植物工場(株式会社成電工業/瀧澤 啓代表取締役)

 自動制御システムの設計・製造、LEDの材料となる半導体材料の加工等を行う株式会社成電工業は、近年それらの技術を合わせた野菜栽培装置の開発・製造を行っており、障害者就労支援事業における農福連携事業も積極的に推し進めています。
2024年度のJICA Bizにおいて、同社が提案した「モンゴル国農福連携による野菜工場のニーズ確認調査」が採択され、次年度より調査が開始される予定となっております。
①海外事業への思い
「海外での事業は若い社員に対しての教育効果にも期待できる。自分自身も若い頃に国外で仕事をする機会を通して日本にいるだけでは経験できないことを経験することができた。」
②今後の構想・メッセージ
「中小企業は多角化していく必要があると感じており、これまで製造、農業、福祉と繋げてきた。海外展開もその1つであり、グループ全体の多様性を作っていきたい。」

3社に共通する「海外での仕事の心構え」とは

 今回3名が共通して仰っていたこととして、「海外進出において必ずしも語学力が必須というわけではない」として意見が一致していることも印象深いです。特に地方の中小企業にとって、語学力は海外に進出するにあたっての大きなハードルの一つだと思われるかもしれませんが、
「ある程度親しくなってくると表情や身振りなどでコミュニケーションが取れると思うので、臆せずチャレンジしてほしい。」
「現地に行って、現地の人と関わる中で分かり合える部分が増えてくる。」というような意見が出ました。
もちろん有能な通訳者の確保が前提とはなります。

 セミナー後に実施したアンケートの回答には、
「生の声を聞くことで、少し壁が低くなった気がして良かった。」
「これから挑戦しようとする方にとってためになる内容だと思った。」などのご意見をいただきました。
 ビジネス、留学等目的はさまざまあっても、まずは一歩踏み出してみること。この重要性が参加いただいた皆さんにも届いたのではないでしょうか。

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